この記事ではauじぶん銀行の住宅ローンとPayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)の住宅ローンについて解説しています。

この2つの銀行は、日本を代表する大手銀行が出資しているという共通点もあります。住宅ローンに限らず、ネット銀行の代表例として比較される機会が増えてきました。

今回はこの2つの銀行の住宅ローンを比較しながらそれぞれの特徴を確認していきたいと思います。

auじぶん銀行とPayPay銀行の概要

最初にauじぶん銀行とPayPay銀行の会社としての概要についてチェックしていきたいと思います。

 PayPay銀行auじぶん銀行
設立2000年2008年
母体(出資企業)三井住友銀行、ZフィナンシャルKDDI、三菱UFJ銀行
格付けAA-(JCR)AA(R&I)
資本金722億1千万円(2023年8月)835億円(2023年8月)
預金残高(2022年3月)1兆4,617億円2兆2,703億円
預金残高(2023年3月)1兆6,669億円2兆7,302億円
貸出残高(2022年3月)4,167億円1兆5,978億円
貸出残高(2023年3月)6,244億円2兆3,287億円

どちらも日本を代表する企業が親会社で、経営基盤は盤石です。なお、Zフィナンシャルはヤフーを傘下にもつLINEヤフー株式会社の子会社なので、PayPay銀行はLINEヤフー株式会社ともグループ会社ということになります。

なお、長引く低金利で住宅ローンの収益性がかなり低くなっていた2019年7月にPayPay銀行は住宅ローンに参入しています。収益性が低いのがわかっていたにもかかわらずPayPay銀行が住宅ローンに参入したのは、預金超過(貸出残高の少なさ)があり、融資残高をとにかく増やしたかった、と言われていました。

auじぶん銀行の住宅ローンについて

auじぶん銀行は2015年12月より住宅ローンの取扱いを開始し、サービス開始直後から変動金利タイプで圧倒的な低金利を設定していました。その後、他の金利タイプも非常に魅力的な水準に引き下げ、住宅ローン業界の台風の目となっています。すでに価格.comなどの住宅ローンのランキングでも上位の常連です。

日本で初めて、書面での契約を不要とするネット完結型の住宅ローンを提供して注目を集めました。また、ガンに対する疾病保障を無料で付帯させるサービスはそれまでの住宅ローンの常識を靴がしたと言っても言い過ぎではありません。金利、審査・契約フロー、付帯サービスの面で最先端の住宅ローンとして今もなお注目を集めています。

auじぶん銀行の住宅ローン申し込み画面はこちら

auじぶん銀行の住宅ローン

※審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5 年、10年に限定されます。


auじぶん銀行は今月も非常に魅力的な低金利で住宅ローンを提供しています。また、auじぶん銀行の住宅ローンの魅力は金利だけでなく、充実した疾病保障です。疾病保障の内容についても事前にこちらのページなどで確認しておくようにしてください。


auじぶん銀行の住宅ローンの詳細はこちら


auじぶん銀行の住宅ローンの注意点

auじぶん銀行の住宅ローンの注意点として審査の厳しさがあげられます。

銀行としては、基本的には住宅ローンを貸すことで得られる手数料や利息で利益をあげなければなりません。また、住宅ローンを低金利で提供していくためは、貸し倒れを回避する必要があります。

そのため、金利の低さ・サービス性の高さを維持するために、審査を厳しくせざるを得ないという側面があります。auじぶん銀行の住宅ローンは審査が厳しいと言われることも多くありますし、審査に落ちたという口コミも多くみかけます。

この課題を解決するために2021年1月に取扱いが開始されているのが静銀信用保証を保証会社とした「保証付金利プラン」です。

それまでの審査基準では、単純に審査に落としていた人を保証会社を利用することでauじぶん銀行の住宅ローンを利用できるようにすることを目的として作られたる仕組みです。

保証会社への保証料相当額を上乗せした金利で契約する必要がありますが、魅力は落ちてしまいますが、「どんなに魅力的な住宅ローンでも自分が利用できなければ意味がない」と考えると、利用できる可能性が広がったのはメリットだと思います。

PayPay銀行の住宅ローンについて

PayPay銀行は2019年7月より住宅ローンの取扱いを開始しています。PayPay銀行の住宅ローンの特徴は無料で付帯させられる疾病保障が2種類あり、選べる点です。一般団信プラス(がん先進付)とがん50%保障の2種類をそろえています。

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PayPay銀行の住宅ローン

疾病保障を無料で付帯させつつ、変動金利から超長期固定金利まですべての金利タイプで非常に魅力的な水準の金利を実現しています。

また、Yahoo!IDを持っている場合には最大3万円(月額500円を最大5年間)のキャッシュバックが受けれる特典も用意されています。(Yahoo!住宅ローン)

 

PayPay銀行の住宅ローンの注意点

PayPay銀行の住宅ローンの注意点としては、審査基準が厳しいこと。審査申し込みできるのは正社員・契約社員のみとなっており、会社経営者、非正規雇用、個人事業主、同族企業勤務の方は申し込むことすらできないものとなっています。

auじぶん銀行の住宅ローンの注意点でも取り上げましたが、住宅ローンを低金利で提供していく以上は、貸し倒れを回避するために住宅ローンの審査を厳しくせざるを得ない面がありますが、PayPay銀行では正社員・契約社員しか利用不可とし申し込み時点で高いハードルを設けている仕組みを採用しています。

PayPay銀行の住宅ローンの詳細はこちら

auじぶん銀行とPayPay銀行の住宅ローンの比較表

次に両行の商品性の違いを一覧にして比較してみたいと思います。

両行ともネット完結型の住宅ローンを実現し、かなり似た商品性と言ってよいと思いますが、疾病保障、雇用形態、店舗・対面対応の有無が大きく異なっています。また、PayPay銀行は新規借り入れ時の自己資金の有無で金利が異なりますし、借り換えの金利も異なります。ご自身の条件にあった金利を事前に確認しておくようにしてください。

 auじぶん銀行PayPay銀行
金利最新金利はこちら最新金利はこちら
事務手数料(税込)2.20%2.20%
保証料0円(審査の結果、保証会社を利用することになった場合、保証料相当額を上乗せした金利が設定されますが保証料は金利に含まれます)0円
団信保険料0円0円
団信引受保険会社ライフネット生命保険クレディ・アグリコル生命保険
一部繰り上げ返済手数料0円0円
無料の疾病保障がん50%保障、4疾病保障、全疾病長期入院保障
※満50歳までの方が加入可能。
がん50%保障もしくは一般団信プラス(がん先進付)
ワイド団信取扱い(年0.3%)取扱い(年0.3%)
年収200万円以上200万円以上
利用可能な職業(雇用形態)正社員、派遣社員、契約社員、会社役員、個人事業主正社員、契約社員
電子契約対応対応
ペアローン・収入合算対応対応
店舗・対面対応一部auショップ直営店、ARUHI店舗、不動産業者の提携もありなし
中古住宅戸建て、マンション戸建て、マンション
諸費用の借り入れ可能可能
リフォーム資金対応非対応借り換え時のリフォーム資金にのみ対応
つなぎ融資取り扱いなし取り扱いなし

疾病保障の違い

auじぶん銀行とPayPay銀行の疾病保障の根本的な違いはauじぶん銀行が無料で疾病保障を付帯させる、PayPay銀行が疾病保障はユーザーが必要に応じて有料で付帯させるという考え方になっている点です。

auじぶん銀行の疾病保障はがん50%保障、4疾病保障、全疾病長期入院保障※という疾病保障が無料で付帯する一方で、PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)はがん診断給付金とがん先進の特約が無料で付帯されるのみです。

※満50歳までの方が加入可能。

具体的に両行の無料の疾病保障を比較すると以下のようになります。

 auじぶん銀行PayPay銀行
がん診断住宅ローン残高の50%住宅ローン残高の50%※がん50%保障を選んだ場合
がん診断給付金なし100万円※一般団信プラスを選んだ場合
がん先進医療なし1,000万円まで(1回500万円まで)※一般団信プラスを選んだ場合
全疾病長期入院保障(入院保障)住宅ローン残高の100%なし
全疾病長期入院保障(月次保障)毎月のローン返済額なし

auじぶん銀行とPayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)では変動金利は2024年4月時点で年0.06%程度の差しかありませんが、疾病保障で大きな差があることには注意が必要です。

大きな買い物であるマイホーム購入後にがんになり治療が必要になった場合、住宅ローン残高が半分になるとするとその安心感は変えがたいものとなることは想像にたやすいのではないでしょうか。

auじぶん銀行ではがん保障以外に精神疾患以外のすべての病気とけがを保障する全疾病保障を付帯することも大きなポテンシャルです。

auじぶん銀行の住宅ローンの疾病保障の詳細はこちら

PayPay銀行の住宅ローンの詳細はこちら

審査基準(雇用形態)

両行の大きな違いの一つであるのが住宅ローン審査基準で、auじぶん銀行はアルバイト、パート以外の方で継続的な収入があれば審査申し込みが可能ですが、PayPay銀行は正社員と契約社員のみ申込可能となっています。(正社員でも同族企業勤務は不可)

PayPay銀行では、会社経営者、個人事業主・自営業、派遣社員の方が申し込みすらできないというかなり厳しい審査基準になっています。

2019年10月に発表されたSBIホールディングスとZホールディングスの業務提携ではPayPay銀行が2020年にも住信SBIネット銀行のフラット35を取り扱いを開始するとしていましたが、取り扱いが開始が遅れているようで、2023年12月時点ではPayPay銀行では会社経営者、個人事業主・自営業、派遣社員の方が住宅ローンに申し込めないという状況です。

一方、2021年1月にauじぶん銀行は静岡銀行グループとの提携を発表、静銀信用保証が保証する住宅ローンの取り扱いを開始、これまで審査に落ちていた方でもより審査に通りやすくなる仕組みを実現しています。(審査の結果、保証会社を利用する場合は、保証料相当額を上乗せした金利が設定されますが、別途発生する保証料はありません)

店舗・対面対応

auじぶん銀行の住宅ローンは取り扱い開始から時間が経過していることもあり、不動産業者やARUHIとの提携で対面のチャネルを拡大している一方でPayPay銀行は完全にネット完結型となっており対面でのチャネルはない状況です。

まとめ

auじぶん銀行もPayPay銀行も、大手ネット銀行の中では住宅ローンの取り扱いが後発組です。後発組というのは決して悪いことではなく、後発=最新の住宅ローンと言える状況で、メガバンクや地銀の住宅ローンと比較した場合には極めて魅力的な商品設計になっています。

いずれも魅力的な住宅ローンですが、この2つの住宅ローンを比較して優劣をつけるのであれば、疾病保障の内容と審査基準を考えてauじぶん銀行の住宅ローンのほうが魅力的な面や使いやすい面が多いと思います。

もちろん、仮申し込みの段階でどちらかに決めてしまう必要はありません。両行の住宅ローンに審査申し込みをして審査に通ったほうを選ぶことが筆者のおすすめです。

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