この記事では、PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)の住宅ローンの団信(団体信用生命保険)について、地方在住のFPがやさしく解説します。がん保障の上乗せ金利は2026年6月に改定されているため、最新の内容で整理しています。

「ネット銀行の住宅ローンは金利は低いけれど、団信(だんしん)はどうなの?」というご相談を、FPとしてよくいただきます。PayPay銀行は、ジャパンネット銀行という名前で日本で最初に誕生したインターネット銀行です。銀行名も変わり、株主構成も約20年の間に大きく変わりました。2025年4月からはスマホ決済のPayPay株式会社の連結子会社となり、三井住友銀行も引き続き出資しています(PayPay銀行公式発表・2025年4月14日)。

PayPay銀行はネット銀行としての歴史は長いのですが、住宅ローンの取り扱いを開始したのは2019年7月です。住宅ローン業界としては比較的あとから参入した銀行に分類されます。そのぶん後発ならではの新しい商品性が多く備えられており、この記事で中心的に解説する団信は、auじぶん銀行やソニー銀行を意識した手厚い内容になっています。

それでは、団信・疾病保障の解説に入る前に、住宅ローンそのものの基本的な特徴をおさらいしておきましょう。

PayPay銀行の住宅ローンの特徴

金利は低い(特に変動金利)

PayPay銀行の住宅ローンの大きな特徴は、変動金利タイプの金利の低さです。メガバンクや地方銀行などの従来型の金融機関では実現しにくい低金利で提供されていて、変動金利は業界内でもかなり低い水準にあります(2026年6月時点。住宅ローン金利は毎月見直され、月中に変わることもあるため、最新の適用金利は必ず公式サイトでご確認ください)。

メガバンクや地方銀行よりは確実に低金利で、ネット銀行の中でも低い部類です。ただし、これから解説する団信(疾病保障)の上乗せ金利まで含めて考えると、必ずしも総合的な条件が一番とは言い切れない場面もあるので、注意が必要です。地方にお住まいの方は、地元の地銀・信用金庫の安心感とネット銀行の金利・保障を、「金利+団信の上乗せ+手数料」のトータルで見比べるのがFPとしてのおすすめです。

詳しくは、この記事の後半でケース別に比較しながら解説します。

保証料・印紙代・一般団信保険料・一部繰上返済手数料が無料

PayPay銀行の住宅ローンは、保証料・契約書に貼る印紙代(電子契約を採用)・一般団信の保険料・一部繰上返済手数料などが無料です。その代わり事務手数料が借入金額の2.20%(税込)となっていて、auじぶん銀行やソニー銀行の住宅ローンとほとんど同じような商品設計になっています。

PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)の諸費用は多くのゼロ円を取り揃えています。

来店不要&電子契約で非対面で手続き完了

PayPay銀行の住宅ローンは、ネットで手続きを完結できるようになっています。住宅ローンを組むための金銭消費貸借契約(金消契約)も電子契約となっていて、書類や契約書の郵送にかかる時間を削減できるだけでなく、電子契約にすることで契約書に貼る収入印紙が不要になります。地方にお住まいで近くに店舗がない方でも、スマホとパソコンで手続きを進められるのは心強いポイントです。

申込前に「手続き専用画面」を利用できるようにする必要があるなど、申し込みから契約までの手続きの流れもauじぶん銀行とほとんど同じです。

PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)の住宅ローンナビ

なお、PayPay銀行は2025年6月30日から最長50年の借入期間も選べるようになりました。返済期間を35年より長くすると月々の返済額を抑えられますが、お借入期間が35年を超える場合は年0.1%の金利上乗せが発生します。総返済額は増えるため、期間を延ばすかどうかは家計のバランスを見て慎重に判断したいところです。

団信(団体信用生命保険)ラインアップ

ここからは、この記事のメインの話題である団信の話に入ります。細かい解説に入る前に、同じような団信を提供しているライバル銀行との違いを大まかに把握しておきましょう。

PayPay銀行の住宅ローンの団信は、カーディフ生命保険が提供しています。カーディフ生命保険は国内の多くの金融機関の住宅ローンで団信の引受保険会社に採用されていて、大手では三井住友銀行が採用しています。

引受保険会社が共通しているので、団信のラインアップや保障内容はほとんど同じです。違いが出やすいのは、各団信を利用するときの保険料負担(上乗せ金利)です。とくにここは把握しておくと良いでしょう。なお、PayPay銀行は2026年6月1日のお借入分より、がん50%保障団信の上乗せ金利を改定しています(従来は無料→現在は上乗せ金利が必要)。下表は最新の内容で整理しています。

 がん50%保障がん100%保障11疾病保障(生活習慣病)ワイド団信その他
PayPay銀行+0.10%+0.15%
(満51歳未満)
取り扱い中止+0.3% 
auじぶん銀行無料(がん50%保障、4疾病保障、全疾病長期入院保障)※1+0.05%(全疾病長期入院保障も付帯)※1取り扱いなし+0.3% 
ソニー銀行無料+0.1%+0.2%+0.2%最大100万円のがん診断給付金

※2026年8月時点の各社公表内容をもとに作成。上乗せ金利・適用条件は改定されることがあるため、最新は必ず各行の公式サイトでご確認ください。

※1 満50歳までの方が加入可能。

ここが今回の大事な変更点です。以前のPayPay銀行は、がん50%保障団信を上乗せ金利なし(無料)で付帯できる点が魅力でしたが、2026年6月1日のお借入分からは、がん50%保障団信に年0.10%、がん100%保障団信に年0.15%(満51歳未満)の上乗せ金利が必要になりました。一方で、auじぶん銀行・ソニー銀行はがん50%保障を引き続き無料で付帯できます(2026年8月時点)。「がん保障を無料でつけたい」という方は、最新の条件で各行をしっかり比較しましょう。

PayPay銀行の団信について

団体信用生命保険(団信)と団信の役割

団体信用生命保険(団信)とは?/団信の仕組み

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済中に契約者が死亡もしくは高度障害状態となった場合に、生命保険会社から住宅ローン残高に相当する保険金が支払われ、住宅ローンの支払い義務がなくなる生命保険です。残されたご家族に「住まいだけは残る」という安心につながる、とても大切な仕組みです。

一般的には、5,000万円までの住宅ローンであれば医師の診断書は不要で、過去3年以内の通院・病歴を告知し、その内容に基づいて保険会社が加入審査を行い、問題なければ加入できる仕組みです。

近年は、団信の保険料はほぼ銀行が負担する仕組みになっているだけでなく、団信への加入が事実上必須になっています(フラット35を除く)。

PayPay銀行が取り扱う団信のラインアップ

PayPay銀行の住宅ローンでは、先ほどの比較表で紹介した団信を取り扱っています。最初に、それぞれの保障内容を確認しておきましょう。

一般団信プラス

一般団信プラスは、がんと診断されたときに100万円の給付金が受けられる保障と、がんの先進医療を通算1,000万円まで保障する特約が付帯された一般団信です。

入院保障はありませんが、一般的ながん保険に近い保障が付帯されていると考えると分かりやすいと思います。ネット銀行で広がっているがん50%保障と比べると、がんへの備えという面ではやや軽めです。

がん50%保障団信

がん(※1)と診断されたときに、住宅ローンの残高が半分になるのが「がん50%保障団信」です。がんと診断されるだけで保険金が支払われるのが大きな特徴です。PayPay銀行では2021年7月から金利上乗せなしで付帯できましたが、2026年6月1日のお借入分より上乗せ金利が改定され、現在は年0.10%の上乗せ金利が必要になっています。

一方で、auじぶん銀行とソニー銀行は、このがん50%保障団信を引き続き無料で付帯できます(2026年8月時点)。

auじぶん銀行の最新の金利はこちら

ソニー銀行の最新の金利はこちら

がん100%保障団信

がん(※1)と診断されたときに住宅ローンの残高が0円になるのが「がん100%保障団信」です。がん50%保障と同じく、がんと診断されるだけで住宅ローン残高全額に相当する保険金が支払われるので、将来のがんに対する備えとしては万全と言える疾病保障です。

PayPay銀行でこの団信をセットする場合、2026年6月1日のお借入分より年0.15%(満51歳未満が対象)の金利上乗せが必要です。ソニー銀行は同様のがん100%保障を年0.1%の上乗せで提供しているので、がん100%保障を重視するなら上乗せ金利の水準もあわせてチェックしておきましょう。

ソニー銀行の最新の金利はこちら

※1「上皮内がん」、「皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がん」は対象外

11疾病保障団信(生活習慣病)

がん100%保障団信の保障内容に加えて、10種類の生活習慣病で180日継続入院となった場合に住宅ローン残高がゼロになる保障がついているのがこの疾病保障です。

非常に手厚い疾病保障ですが、PayPay銀行でこの疾病保障を利用する場合、0.3%の上乗せ金利が必要なので注意が必要です。ソニー銀行であれば0.2%の上乗せ金利で済むので前向きに検討しやすいですが、180日の長期に渡って継続的に入院することになるのは稀ではあるので、保障内容と経済負担をしっかりと確認するようにしましょう。

厚生労働省が毎年発表している「病院報告」によると、入院の平均日数は一般病棟で17日、療養病棟で149日となっていますんで、180日の継続入院の保険金支払条件の厳しさがわかります。

病院報告(入院数の平均日数)

ワイド団信

ワイド団信は、持病や治療中の病気があるなどの理由で一般の団信に加入できない人向けに提供されている団信です。保障される内容は一般団信と同じですが、加入条件が緩和されている代わりに、加入するには住宅ローンの上乗せ金利で費用を負担する必要があります。

PayPay銀行でワイド団信を利用する場合は0.3%の金利上乗せです。上乗せ金利の水準は一般的で、楽天銀行・SBI新生銀行などワイド団信を取り扱っていない住宅ローンよりは選択肢になりますが、ソニー銀行が同じワイド団信を0.2%の上乗せで提供しているため、ワイド団信を検討する人にはソニー銀行も人気です。

ソニー銀行の最新の金利はこちら

なお、持病があってワイド団信が取り扱えない銀行を検討する場合でも、SBI新生銀行のように一般団信(上乗せ0円)に加えて全疾病保障付団信を上乗せ0円で選べる銀行もあります。健康状態や希望する保障によって選び方は変わるので、団信は金利と同じくらい大切な比較ポイントとして見ておきましょう。ワイド団信をもう少し詳しく解説した記事も用意しているので、あわせて参考にしてください。

ペアローン向けの連生団信

PayPay銀行ではペアローン需要の高まりを受けて、2024年6月からペアローン向けの団信「連生団信(れんせいだんしん)」の取り扱いを開始しました。

「連生団信」は全国区の住宅ローンでは、フラット35や三井住友銀行などしか取り扱いがなかったもので、ネット銀行としては初の取り扱いとなりました(auじぶん銀行も2025年1月からペアローン連生団信を導入しています)。

連生団信は、夫婦やパートナーのどちらか一方が亡くなったり高度障害を負った場合に、お二人ぶんのローン残高が全額支払われる保険です。これにより、残されたパートナーが経済的に困窮するリスクを大幅に軽減できます。共働きで収入を合算してペアローンを組むご家庭が増えているので、FPとしても注目している保障です。

PayPay銀行では、がん保障などを組み合わせた充実の連生団信を取り扱っており、ご家庭のニーズに応じた疾病保障を選べる強みもあります。

PayPay銀行の住宅ローンの連生団信

団信の保険料(上乗せ金利の負担イメージ)について

最後に、上乗せ金利でどの程度の負担増になるのかを確認しておきましょう。借入期間は35年を前提にした、総返済額の増加額の目安です。下表は上乗せ金利0.1%の場合0.3%(ワイド団信)の場合の例です。

 上乗せ0.1%の場合上乗せ0.3%の場合(ワイド団信)
2,000万円353,926円1,074,693円
3,000万円530,989円1,612,103円
4,000万円708,042円2,149,574円
5,000万円885,093円2,687,018円
6,000万円1,062,153円3,224,436円

PayPay銀行のがん100%保障団信は現在0.15%の上乗せなので、負担額の目安は上表の「上乗せ0.1%の場合」のおよそ1.5倍とお考えください(例:3,000万円なら約80万円が目安)。やむを得ないことですが、住宅ローンの借入額が大きくなるほど、上乗せ金利による費用負担も大きくなります。

これまで解説したように「PayPay銀行」「auじぶん銀行」「ソニー銀行」は、引受保険会社が同じでよく似た団信を提供しています。この3つの住宅ローンを比較するときは、「住宅ローンの金利」と「団信の上乗せ金利」を足した最終的な適用金利で比べると、どこに申し込むのが有利なのかを把握しやすくなります。

上乗せ金利は2026年6月の改定で各行に差が出ています。申込前に最新の金利と上乗せ条件をチェックして、どこに申し込むのが自分にとってオトクなのかをしっかり把握してから契約先を決めましょう!

FP相談でよくいただく質問(FAQ)

Q. PayPay銀行のがん50%保障団信は、いまも無料ですか?
A. 2026年6月1日のお借入分から改定され、現在は年0.10%の上乗せ金利が必要です。がん50%保障を無料でつけたい場合は、auじぶん銀行・ソニー銀行も候補になります(いずれも2026年8月時点。最新は各行公式でご確認ください)。

Q. がん50%保障とがん100%保障、どちらを選べばよいですか?
A. がん50%保障は「残高が半分になる」、がん100%保障は「残高がゼロになる」保障です。すでに十分な貯蓄やがん保険がある方は50%保障で足りることもありますし、教育費や生活費に不安が残るご家庭は100%保障で手厚くする選び方もあります。上乗せ金利による総負担も踏まえ、ご家庭の家計バランスで判断しましょう。

Q. 地方に住んでいますが、ネット銀行で住宅ローンを組んでも大丈夫ですか?
A. PayPay銀行は来店不要・電子契約でお手続きができるため、近くに店舗がなくても利用できます。一方で、地元の地銀・信用金庫は対面の相談や地域事情に詳しいという安心感があります。金利・団信・手数料のトータルコスト相談のしやすさの両面で、ご自身に合う組み合わせを選ぶのがおすすめです。

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