PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)が住宅ローンの取り扱いを開始したのは2019年の夏。ネット銀行の住宅ローンの中でも比較的新しい住宅ローンです。

2021年4月に「ジャパンネット銀行」から現在の「PayPay銀行」へ商号変更されました。

この特集ページでは、そんなPayPay銀行の住宅ローンについて、FPの視点でどこよりもわかりやすく整理してみたいと思います。

まず、PayPay銀行の住宅ローンは、auじぶん銀行など他のインターネット銀行の住宅ローンに近い金利・商品内容になっています。

なお、このページの中段でPayPay銀行の住宅ローンの審査基準を解説していますが、PayPay銀行の住宅ローンは個人事業主・自営業、同族経営の会社の経営者は利用できません(正社員・契約社員は利用できます)。

自営業・個人事業主や同族会社の経営者の方は、これらの職業でも利用可能なauじぶん銀行の住宅ローンや、審査手続きのサポートが手厚いSBIアルヒ(旧ARUHI)のフラット35などを選択肢に加えておくようにしましょう。

また、審査に不安があり、かつ、変動金利タイプを利用したいと考えている人は、民間銀行の住宅ローンの中でも比較的審査に通りやすい基準が設定されているイオン銀行の変動金利タイプもおすすめです。

この記事ではキャンペーンは紹介していませんので、最新のキャンペーン情報はこのページや公式サイトで事前に確認しておくようにしてください。

それでは、1つ1つ詳しく確認していきましょう。

PayPay銀行の住宅ローン金利

変動金利が低金利!

PayPay銀行の住宅ローンの特徴は、変動金利タイプの金利が低いことです。今月の金利も業界トップクラスの低金利水準ですし、疾病保障サービスも充実しています。

ただし、auじぶん銀行の住宅ローンは、条件を満たせばPayPay銀行の住宅ローンよりも低い変動金利で借りられる場合があります。

また、「がん50%保障団信」より手厚い「がん100%保障団信」という商品があります。ソニー銀行などでは、わずかな上乗せ金利でがん100%保障の団信を選べる場合がありますので、がんに対する保障を充実させたい場合は、各行の保障内容と上乗せ金利を比べてみるとよいでしょう(最新の保障内容・上乗せ金利は各行の公式サイトでご確認ください)。

PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)はauじぶん銀行・ソニー銀行の住宅ローンと似たような内容になっているので、この2つのネット銀行の住宅ローンとしっかり比較しておくことをおすすめします。

auじぶん銀行の住宅ローン・疾病保障の詳細こちら

ソニー銀行の住宅ローン・疾病保障の詳細こちら

全期間引下型と当初期間引下型の2つを用意

PayPay銀行の住宅ローンには「全期間引下型」と「当初期間引下型」の2つが用意されています。

ざっくりいえば、変動金利は全期間引下型という金利タイプ、固定金利は当初期間引下型という金利タイプになっています。他の住宅ローンに比べるとかなりシンプルです。

端的に説明すると、「全期間引下型」は金利優遇幅が借入期間中ずっと変わらない金利タイプで、「当初期間引下型」は最初の固定期間の金利優遇幅を大きくする代わりに、固定期間が終わると金利が上がる金利タイプです。

シンプルではありつつも少しわかりにくいので、住宅ローンの金利がどのように決まるのかを具体的に説明すると、以下のようになります(金利の数値は決まり方を説明するための例です)。

変動金利 全期間引下型のみ。変動金利を利用し続けているかぎり「基準金利−1.9%が適用される」ので、基準金利が変わらなければ全期間引下型の金利が継続します。

途中で固定金利に切り替えると「基準金利−1.4%」が適用されます。例えば、その時点の基準金利を前提にした10年固定金利が適用されることになります。

そこから10年経ってまた変動金利に戻ると、「基準金利−1.9%が適用される」というルールが復活します。

固定金利 当初期間引下型のみ。最初に選んだ固定金利期間は「基準金利−1.9%が適用される」ので、その期間は固定金利が適用されます。

固定期間が終わって変動金利に変わると「基準金利−1.4%が適用される」ので、その時点の基準金利を前提にした変動金利が適用されます。

※上記は金利の決まり方(全期間引下型・当初期間引下型のしくみ)を説明するための例です。2024年以降の日本銀行の利上げを受けて、住宅ローンの基準金利は上昇傾向にあり、現在の適用金利は数年前より高くなっています。実際の最新金利は必ずPayPay銀行の公式サイトでご確認ください。

全期間引下型と当初期間引下型の住宅ローンを用意する金融機関は多いですが、金利の適用ルールは各社で異なります。特に当初固定金利タイプは、固定期間終了後の金利適用ルールが各行で全く違いますので、当初固定金利タイプを利用する予定の人は注意しましょう。

借り換えにおすすめの金利タイプは?

PayPay銀行の住宅ローンは借り換えにも対応しており、定期的に借り換え専用のキャンペーン金利を提供することもあります。

近年は世界的なインフレと各国の利上げを背景に、日本でも金利が動き始めています。日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げ(約31年ぶりの高水準)、7月31日の金融政策決定会合でも1.0%程度に据え置きつつ、利上げ路線を続ける姿勢を示しています。長期金利の上昇を受けて、フラット35などの固定金利タイプは数年前より大きく上がっています。2026年8月適用の金利でも、大手銀行5行は10年固定型を引き上げた一方で変動型は据え置いたと報じられており、「固定が先に上がり、変動はあとから動く」という構図がはっきりしてきました。変動金利は、各行の基準金利(短期プライムレート)の引き上げを受けて、今後の見直しで上昇する可能性があります。

それでも、現時点(2026年8月時点)では変動金利は固定金利より低い水準にあります。低金利の変動金利を活かしたい方にとって、借り換えは引き続き検討価値があります。ただし、これからは「金利の水準」だけでなく「金利が上がったときに返済を続けられるか」という視点も大切です。借り換えを検討する際は、各金融機関のキャンペーン金利・条件を比較し、ご自身の家計に無理のない返済計画かどうかをあわせて確認しましょう。

こうした観点から、PayPay銀行の変動金利タイプの住宅ローンは、有力な借り換え先の選択肢の一つと言えるでしょう。

手数料・保証料などの諸費用や借入可能金額は?

超低金利と充実した疾病保障がPayPay銀行の大きなメリットといえますが、それ以外の細かな商品性についても重要なポイントを確認しておきましょう。良さそうに見えてどこかに落とし穴があることもありますので、しっかり確認しておきたいですね。

チェックポイント 内容
事務手数料 借入金額×2.20%(税込)
借入可能金額 500万円以上2億円以下(10万円単位)
諸費用の借り入れ 可能(新規借入の場合:売買契約書の金額の10%まで、借り換えの場合:借り換えに伴う諸費用金額の範囲内)
リフォーム資金 借り換えと同時にリフォーム資金を組み込み可能
返済方法 元利均等返済(元金均等返済の取扱い無し)
繰上返済 1万円以上1円単位、ホームページからの一部繰上返済は無料(電話は5,500円・税込)、全額繰上返済時の手数料は33,000円(税込)
保証料 無料
5年ルール・125%ルール 適用されない

目立つのが借入可能金額で、PayPay銀行の住宅ローンは2億円までの高額借り入れに対応しています。また、住宅ローンに関わる諸費用も住宅ローンの金利で借り入れできるように設計されています。

ホームページからの一部繰上返済手数料は無料、保証料もかからないので、住宅ローンの基本的なサービス内容も問題なさそうです。

注意点をあげるとするなら、事務手数料が借入金額の2.20%(税込)かかるため高額になるほど事務手数料が高くなる点と、変動金利タイプに5年ルール・125%ルールがない点だと思います。

※5年ルール・125%ルールは、簡潔にいうと「変動金利は金利が上がる可能性があるけれど、金利が上がっても急に毎月の返済額が増えないようにしますよ」というルールです。逆にいえば「金利上昇による返済額の増加分を先送りにする」という側面もあり、ルールのある銀行でも、返済額が据え置かれている間は利息の支払いが優先されて元金の減りが遅れたり、将来「未払い利息」が生じたりする可能性があります。FPとしては、ルールの有無だけで優劣を決めず、金利が上がったときの返済額を試算しておくことをおすすめしています。

住宅ローンの審査基準は厳しい?甘い?

次に住宅ローンの審査基準を確認しておきましょう。利用条件が合っていなかったり、審査に落ちてしまうようでは、どんなに優れた住宅ローンでも意味がなくなってしまいます。

審査基準など 内容
年齢 借入時の年齢が20歳以上65歳未満で、かつ、完済時年齢が80歳未満。
年収 前年度の年収が200万円以上
国籍 日本国籍または永住許可のある人
職業 個人事業主・家族が運営する会社の経営者は利用不可(正社員・契約社員は利用可)
収入合算・ペアローン 収入合算・ペアローンともに利用可能
資金使途 戸建・マンション購入(中古もOK)、戸建ての新築費用、借り換え費用。諸費用の借り入れも可能。

下記の住宅では利用不可となっています。

・事業用物件(店舗併用住宅を含む)
・賃貸用物件(賃貸併用住宅を含む)
・コーポラティブハウス
・セカンドハウス
・市街化調整区域の物件
・非線引き区域の物件
・都市計画区域外の物件
・専有面積40平米未満のマンション
・建築基準法およびその他の法令の定めに合致していない物件
・借地物件(普通借地・定期借地)
・連棟式住宅、長屋
・保留地や仮換地上の物件
・離島の物件

まず、わかりやすいのが年収基準で、前年度の年収200万円以上となっています。住宅ローンの中でも比較的利用しやすい条件設定といえます。

その一方で、「個人事業主」「家族経営の会社の経営者」の利用は不可となっており、会社員(正社員・契約社員)への貸し出しに力を入れていることがうかがえます。正社員はもちろん、契約社員もPayPay銀行の公式によくあるご質問で「申し込みできる」と案内されています(ただしパート・アルバイトの方は主たる債務者にはなれず、収入合算者としての利用となります)。

個人事業主・会社役員(家族経営)の方や、主債務者として申し込めないパート・アルバイトの方は、審査基準が異なるauじぶん銀行SBI新生銀行など幅広い働き方を受け入れている銀行の住宅ローンか、SBIアルヒ(旧ARUHI)で申し込めるフラット35の利用を検討するとよいでしょう。なお、SBI新生銀行は「前年度税込年収300万円以上の正社員または契約社員」を申込条件としており、保証料0円・一般団信0円など諸費用のわかりやすさも魅力です。

住宅ローンの審査の必要書類は?

住宅ローンの審査に申し込む(仮審査申込)時に提出が必要な書類はありませんが、仮審査に通って本審査の手続きに入るときには書類の提出が必要です。PayPay銀行の場合、パソコンやスマホから書類を電子化したものをアップロードして提出できるので、提出にかかる時間を短縮できるというメリットがありますが、必要書類をすべて集めようとすると時間がかかります。

仮審査を申し込みつつ、必要書類の準備も並行して行っておくことをおすすめします。以下は提出が必要になる主な書類の一覧です。書類集めの参考にしてください。

  新規借り入れの場合 借り換えの場合  
住民票の写し  
健康保険証  
運転免許証(またはパスポート)  
源泉徴収票 直近1年分(3年分が必要になる場合も)
住民税決定通知書または住民税課税証明書 直近年度のもの
給与明細  
確定申告書 確定申告をしている場合
納税証明書 給与以外の収入がある場合
売買契約書  
不動産売買時の重要事項説明書  
登記事項証明書  
物件のちらし   中古物件の購入時のみ
返済予定表 他の借り入れがある場合
職務経歴書 転職・転籍3年未満の場合
雇用契約書 転職・転籍3年未満の場合
給与明細書 転職・転籍3年未満の場合
賞与明細書 転職・転籍3年未満の場合

上記は代表的な必要書類です。住宅ローンの必要書類は、雇用形態・勤務期間・購入する物件の条件などで複雑になります。PayPay銀行の公式サイトにチェックリストが用意されていますので、ご自身の状況に照らし合わせ、提出を求められる書類の種類について事前に確認しておくようにしましょう。

「ヤフーの住宅ローン」(3万円キャッシュバック)は終了しました

かつて、Yahoo! JAPAN IDを持つ人向けに、PayPay銀行の住宅ローンへ最大3万円のキャッシュバック特典が付く「ヤフーの住宅ローン」が提供されていました。しかし、LINEヤフー株式会社によるPayPay銀行の銀行代理業は2025年9月30日で終了し、これに伴って住宅ローン・カードローンの各種特典(3万円キャッシュバックを含む)も終了しています。

なお、PayPay銀行本体の住宅ローンは、引き続き通常どおり申し込み・提供が続いています。最新のキャンペーンや特典の有無は、申し込み前にPayPay銀行の公式サイトでご確認ください。

まとめ

日本で最初に誕生したインターネット専業銀行で、個人・法人合算で1,000万口座超(2026年時点)を抱えるPayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)。もともとヤフー(現・LINEヤフー)と三井住友銀行を主要株主としてきましたが、2025年4月にPayPay株式会社(ソフトバンクグループ)の子会社となり、PayPayとの連携を強める体制になりました。住宅ローンへの参入は他のネット銀行から遅れてのスタートでした。

後発での参入だけに、金利水準・疾病保障サービスなど、他のネット銀行をしっかり研究してきた印象があります。

変動金利の低さと充実した疾病保障を武器に、ネット銀行の住宅ローンの中でも競争力のある一本に仕上がっています。

※PayPay銀行の住宅ローンは正社員・契約社員が利用可能です。個人事業主・自営業、同族企業を経営されている方は利用できません。また、市街化調整区域・非線引き区域の住宅物件は借入不可となっています。

なお、以下は、PayPay銀行が住宅ローンに参入した背景について、当時(2019年)の決算情報をもとにFPなりに分析したものです。背景が気になる方は参考にしていただければと思います。

PayPay銀行が住宅ローンを始めた理由(2019年当時の分析)

PayPay銀行の財務状況を確認

会社が新しいサービスや商品を取り扱うときには何かしらの目的がありますので、当時の決算情報をもとにその目的を探ってみました。PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)が住宅ローンに参入した理由は、預金・貸出金などの推移をみると見えてきます

以下は2019年3月末までのPayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)の財務状況の推移です。

PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)の財務状況

この5年間でPayPay銀行の預金は約2,500億円増えて約8,038億円になっています(上記の図の①のところ)。また、貸出金も約400億円増えていますが(②)、有価証券(日本国債など)は700億円弱減っています(③)。

金額は少ないですが「要管理債権」の残高が2018年度に7,600万円に増えています。「要管理債権」とは、貸しているお金の元金や利息の支払いが3か月以上延滞していたり、お金を貸している人が立ち直るための支援を受けたりすると分類されるもので、要は「お金をちゃんと返してもらえるのか注意が必要」な債権(貸しているお金)です。

PayPay銀行が住宅ローンに参入するメリット

銀行は「集めたお金(預金)を貸したり(貸出金)、金融商品を買ったり(有価証券)して利益をあげる」会社です。お金を集めるだけだと、預金してくれた人に支払う利息だけが増えてしまいます。PayPay銀行はこの5年間で預金が2,500億円も増えて、貸出金が400億円増え、有価証券が700億円減りました。

かんたんな算数の計算式にすると・・・

 2,500億円−400億円−(−700億円)=2,800億円 
この5年間で約2,800億円も金あまり(集めた預金を有効活用できていない)状態が進んだことになります。

PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)では、すでにカードローンなどお金を貸す商品にも取り組んでいましたが、カードローンなどの無担保ローンで数千億円単位を貸し出すのは難しいものです(何十年もカードローンをやっている業界1位のアコムでも約8,000億円ぐらい)。実際、「要管理債権」も増えていましたが、貸し倒れリスクの高い人への貸し出しを増やすわけにもいかないことから、当時のローン商品だけではこの金あまりを解消できないと判断したのだと思います。

まとめると、住宅ローンは金利引き下げ競争が進み、金利も低くて儲かりにくいから当初はやるつもりがなかったけれど、会社の金あまり状態を改善するには住宅ローンに参入するしかない、と判断してようやく重い腰をあげた、ということだと思います。

余ったお金を貸し出せる先が増えて金あまりの状態を少しでも解消できれば、大きくは儲からないとしてもPayPay銀行としては十分メリットがある——財務状況を確認することで、そんな背景が見えてきました。

これからの連携はPayPay・ソフトバンクとの融合へ

PayPay銀行は2025年4月にPayPay株式会社(ソフトバンクグループ)の子会社となりました。かつて期待されていたYahoo!(LINEヤフー)との連携(銀行代理業による「ヤフーの住宅ローン」)は2025年9月で終了しましたが、今後はPayPayやソフトバンクグループのサービスとの連携が、住宅ローンを含む金融サービスのカギになると考えられます。

たとえば、住宅ローン利用者へのPayPay残高の還元や、PayPayアプリを通じた手続き・繰上返済の利便性向上など、PayPay経済圏ならではのサービスが登場すれば話題を集めそうです(あくまで今後の可能性であり、実施を保証するものではありません)。最新の特典・連携サービスは公式サイトでご確認ください。

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