貯金がたくさんある人であれば別ですが、マイホームを購入するための資金計画と言うのは、いくら住宅ローンを借りるのかを決めることとほぼ同じです。
借入金額の目安があったとしても、色々な物件を見ていると良い条件の物件に目移りして、目安の金額があまり意味のないものになったり・・・、家を選んでいるうちに自分がいったいいくらまでなら住宅ローンを借りても大丈夫なんだろうか、と悩むようになります。
そこで、この記事では、年収別にいくらまで住宅ローンを借りれるか、また借りても大丈夫か(返済できるか)の目安を紹介します。
住宅ローン借入可能額と借入の目安にすべき額は職種、年齢、借りる住宅ローンの金利タイプにより異なります。
共通して言えるのは、税込年収(額面)ではなく手取年収でシミュレーションするのことが重要という点です。
なお、年収ごとの借入可能額は各金融機関の公式サイトからシミュレーションできることが多くなっています。本ページでは変動金利、長期固定金利ともに金利が低いSBI新生銀行でシミュレーションを行っていきます。
目次
住宅ローン借入額前提条件
さて、今回の計算の前提条件は以下の通りです
- 年収は手取り額で計算する(ざっくり税込年収の80%をイメージ)
- 住宅ローンの返済年数は35年とする(40代後半以降の人は完済年齢に要注意)
- 住宅ローンは変動金利(SBI新生銀行の年0.290%)、固定金利(35年固定のステップダウン住宅ローンの年1.70%)で試算(※金利は2024年4月適用)
- 住宅ローン借入額の目安は手取り年収に対し返済負担率25%で計算
- 借入可能額は税込み年収より各銀行のシミュレーション機能より算出
無理なく返済できる住宅ローンの借入額の目安を計算する時に、少なくとも自分の頭の中の収支計算で税込み(額面)で計算しないようにしましょう。
税込とはいわゆる「額面」のことです。手取りとは「所得税や住民税・健康保険・年金」を引いた収入のことです。
手取の収入こそが家計に入ってくるお金なので、その収入に対して住宅ローンの返済割合がどれぐらいなのかを把握するように心がけましょう。
家の値段を下げる前に、一度、低金利なauじぶん銀行・住信SBIネット銀行、SBI新生銀行で、住宅ローンの借入可能額や毎月の返済額をチェックしておくことをおすすめします。
住宅ローンの返済負担率とその計算方法
住宅ローン返済負担率とは、年収に占める各種ローン返済額の割合です。本ページのシュミレーションでは住宅ローン以外の返済が無いものとして計算しています。
計算方法は以下の通りです
- 住宅ローンの年間返済額÷年収×100
この計算式で25%以下になれば住宅ローンを借りても大丈夫な金額(目安)とします。
それでは、年収別の住宅ローン借入可能額と目安額をご覧ください
年収300万円の人の住宅ローン借入可能額と目安額
手取り年収300万円(税込み375万)の場合 | ||
---|---|---|
借入可能額 | 借入目安額 | |
SBI新生銀行の変動金利 | 3,220万 | 2,500万 |
月々の返済額 | 80,632円 | 62,602円 |
SBI新生銀行のステップダウン住宅ローン | 3,220万 | 2,000万円 |
月々の返済額 | 101,776円 | 63,215円 |
手取りの25%、75万円が年間の返済目安額となります。
変動金利では住宅ローン借入可能額と目安額では返済額は毎月約17,000円の違い、長期固定金利になると4万円近い差が出てきます。
続いて、年収400万円の場合を見て行きましょう
年収400万円の人の住宅ローン借入可能額と目安額
年収400万円(税込み500万)の場合 | ||
---|---|---|
借入可能額 | 借入目安額 | |
SBI新生銀行の変動金利 | 4,300万 | 3,500万 |
月々の返済額 | 107,667円 | 87,644円 |
SBI新生銀行のステップダウン住宅ローン | 4,300万 | 2,600万 |
月々の返済額 | 135,912円 | 82,179円 |
手取りの25%、100万円が年間の返済目安額となります。
こちらも変動金利と固定金利での差は大きくなっており、借入可能額と返済負担率25%に収まる借入目安の金額では1,000万円以上の違いが出ています。
それでは、年収500万円の場合を見て行きましょう
年収500万円の人の住宅ローン借入可能額と目安額
年収500万円(税込み625万)の場合 | ||
---|---|---|
借入可能額 | 借入目安額 | |
SBI新生銀行の変動金利 | 5,370万 | 4,100万 |
月々の返済額 | 134,471円 | 102,688円 |
SBI新生銀行のステップダウン住宅ローン | 5,370万 | 3,400万 |
月々の返済額 | 169,732円 | 107,465円 |
手取りの25%、125万円が年間の返済目安額となります。
こちらも変動金利と固定金利では差が大きくなっており、借入可能額と借入目安額も大きくなっていますね。
続いて年収600万円の場合を確認してみましょう。
年収600万円の人の住宅ローン借入可能額と目安額
年収600万円(税込み750万)の場合 | ||
---|---|---|
借入可能額 | 借入目安額 | |
SBI新生銀行の変動金利 | 6,450万 | 5,000万 |
月々の返済額 | 161,515円 | 125,205円 |
SBI新生銀行のステップダウン住宅ローン | 6,450万 | 3,900万 |
月々の返済額 | 203,868円 | 123,269円 |
手取りの25%、150万円が年間の返済目安額となります。
固定金利は住宅ローン返済額に倍ちかい開きが出てきましたね・・・、ただ、手取り年収600万円(年俸制として、月の手取り50万円)とした場合に、月々の住宅ローンの返済20万円はかなりキツイ印象です。
年収の何倍までなら住宅ローンを借りられるのか?
もちろん、金融機関によって何倍までなら大丈夫というのは違うと思います。
フラット35の場合は借入可能額の計算方法が公表されています。
- 税込み年収400万円未満の場合:返済負担率30%以下
- 税込み年収400万円以上の場合:返済負担率35%以下
となっています。年収の何倍まで大丈夫かは年収によって違いますが、上記で計算した例なら7.8倍から10倍まで大丈夫という計算になります。しかしこれは金融機関が定める貸し出せる上限ですので月々の返済が問題なく行えるか、借りて大丈夫か?とはまた違う金額になってくるのは本ページの試算で確認いただけたと思います。
他の人は年収の何倍くらい住宅ローンを借りているのか?目安は?
ここで気になるのは、他の人は一体年収のいくらぐらいの住宅ローンを借りているか?ですよね。
そこで、調べると年収別と家族構成別にいくら借り入れしているのかを調査したSUMMOのページが有りました。(かなり古いデータですが)
そのページが公表していたデータは以下の通りです
住宅ローン借入額 | 毎月の返済額 | 税込み年収の倍率 | 手取り年収の倍率 | |
---|---|---|---|---|
年収400万円代 | 2750万円 | 81,626円 | 6.1倍 | 7.6倍 |
年収500万円代 | 3026万円 | 85,839円 | 6.05倍 | 6.8倍 |
年収600万円代 | 3159万円 | 92,276円 | 4.86倍 | 6倍 |
年収700万円代 | 3392万円 | 97,996円 | 4.5倍 | 5.65倍 |
※調査結果はSUMMO、年収別8213人家とお金調査より抜粋
調査結果では年収◯◯円台となっていたので、住宅ローンの借入額が年収の何倍になっているかを計算するときには400万円台なら450万円で計算しました。
こう計算してみると、年収の低い人ほど年収に占める住宅ローン返済の割合が高い、年収に対して住宅ローンの借入金額の倍数が高いということが言えますね。
手取り年収で住宅ローンの倍率を計算すると5倍以内になっていない
上の調査結果では、年収700万円の人は税込み年収で計算すれば住宅ローンの借入額は年収の4.5倍となっています。しかし、手取り年収で計算すると5.65倍と、年収の5倍以内に抑えるべきというアドバイスは全く無視されていることがわかります。
住宅ローン返済のことを考えたら、住宅ローンの借入額は抑えないといけないとわかっていても、一生に一度の買い物だし、何十年と生活するからいい家がほしいという気持ちが買ってしまい、ついつい住宅ローンの借入額が多くなってしまうのでしょうか。
住宅ローンを借りられる額と借りても良い金額は違う
さて、手取り年収、年収300万円から600万円までの人の住宅ローンの借入「可能額」と借りても大丈夫そうな「目安額」の2つを見てもらいました
変動金利、固定金利とも結構借入額、返済額ともに開きがあることに気がついていただけたと思います。
住宅ローンの借入額が増えれば、諸費用も固定資産税も増える
住宅ローンの借入額が増えているということは、より高額な土地や家を買っているということですね。
そうなると、家を買った後に発生する固定資産税が増えますし、諸費用の中でも仲介手数料や登記費用、住宅ローン融資手数料や火災保険料もそれにともなって増えていきます。
つまり、増えるのは月々の住宅ローン返済額だけではないということです
ちなみに、登記費用や火災保険料は節約する方法を知っておくことで、数十万円の節約が可能です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
- 登記費用の節約:新築時の登記費用はいくら?小学生でも登記で20万円節約する方法
- 火災保険の節約:火災保険料が60%安くなる省令準耐火のメリット・デメリット
一戸建て、マンションにかぎらずマイホームを買うと必ず固定資産税がかかります。つまり、固定資産税も住宅ローン返済の金額として計算しておくべきです。
経営者、自営業や歩合給がある人は住宅ローンに対してこんな考え方もできる
普通に考えると住宅ローンの借入額は「返していける金額」にする方がいいです。支払えなくなると住宅ローンを払うだけの人生になってしまいます。
しかし、経営者や個人事業主・自営業、営業職で歩合給がある人、つまり頑張ったらがんばった分収入を増やせる人に関しては、住宅ローンを借りれるだけ借りておいて支払えるだけの収入を得るために頑張るという考え方もあります
おしりに火をつけて収入アップさせるモチベーションにするということですね。
実際私自身も一時期住宅ローン返済に困って離婚しかけましたが、これを機に仕事を死ぬほど頑張り、収入をアップさせた経験があります。
収入以上の人生にはならないので、思い住宅ローンの負担をわざと背負ってみるというのもひとつの選択です。
ただ、住宅ローンの借入額は少ないほどいいかというとそうではない
一般的には住宅ローンの借入額は少ない方がいいと言われます。借入額が多いと余分な利息を支払うことになるからです。
しかし、住宅ローンの借入額が多いほうが有利になる場合もあります。その理由についてはこちらの記事で詳しく解説してるのでぜひご覧ください。
本当に賢い住宅ローン返済方法は、繰上げしない、長く借りる、なぜ?
住宅ローンの借入目安額がわかれば予算を計算できる
あなたがマイホーム購入にいくらお金をかけても大丈夫かの予算は住宅ローンの借入目安額がわかれば計算することができます。
マイホーム購入予算のかんたんな計算方法は以下の通りです
- 借りても大丈夫な住宅ローンの金額+準備できる頭金
準備できる頭金は計算しなくてもわかると思うので、住宅ローンの借入目安額を計算すること=マイホーム購入予算を計算することに繋がります
今回の計算はあくまで目安。本当に借りても大丈夫な住宅ローンの金額は人によって違う
今回はあまり参考にすべきでない住宅ローンの返済負担率25%以内という指標を使って住宅ローン借入額の目安を計算しました。
しかし、本来はきちんとライフプラン表を作成して、お金の使い方にあなたの価値観を反映した上でマイホーム購入にいくらのお金を遣うことができるかを計算するようにしましょう。