フラット35は100%借りられるが・・・

頭金なしでもフラット35で100%借り入れする裏技

フラット35は2014年度から購入価格の100%融資を受けられるようになりました(それ以前は購入価格の90%まででした)。頭金なしでフラット35を借りたい人にとっては朗報のように見えますが、実は100%融資のフラット35は金利が割高で、そのまま使うメリットはほとんどありません

理由は2つです。1つは、フラット35を融資率100%(9割超)で借りると、9割以下よりもかなり高い金利になること。もう1つは、フラット35を取り扱う金融機関の専用商品で不足の10%分を借りて、残りの90%を金利の低いフラット35で借りたほうがオトクになるからです。

FPとして「頭金が貯まっていないけれど家を買いたい」というご相談をよくいただきます。それでは、頭金なしでフラット35をおトクに使う方法を、順に解説していきます。

ARUHI フラットαの活用で100%融資・フルローンが格安

SBIアルヒ(ARUHI)では、ARUHI フラットαというフラット35と組み合わせる商品があり、フルローン(100%融資)をフラット35の9割超でそのまま借りるよりもお得に借りられます。

SBIアルヒ(ARUHI)は16年連続でフラット35の取扱件数1位の実績があり、安心して相談できるメリットがあります。さらに「全国の店舗でしっかり相談できる」点が、頭金なしでフラット35を借りる場合に重要です。

このケースでは、フラット35だけでなく、10%分を借りるための別の契約も必要になるので、ネットと電話だけで申し込むフラット35だと、手続きがスムーズに進まず時間と手間ばかりかかることが多いためです。

ARUHI フラットαを活用したフラット35はこちら

さらにその昔は100%借りられていた

2014年度に100%融資に対応したフラット35ですが、もともとは100%借りることができていました。それが2012年4月にマイホームの購入価格の9割までの融資に引き下げられ、2014年度から再び100%借りられるようになったのです。そのため、住宅ローン業界に詳しい人は当時「100%融資の再開」と呼んでいました。

融資限度額が90%から100%になっただけではない

これまでも何度か融資限度額の割合が変わってきたことはありました。以前は融資限度額が変わるだけで、他の条件は変わりませんでした。しかし現在の制度では、融資率90%以内とそれを超える借入とで、適用される金利そのものが変わります

融資率9割以下と9割超で借入金利が変わる

9割以内とそれを超える借入では、適用金利が異なります。具体的に、2026年7月資金受取分のフラット35(買取型・返済期間21〜35年・新機構団信付き)の最頻金利を確認しておきましょう。フラット35の借入金利は毎月第1営業日の正午ごろに住宅金融支援機構のサイトで更新されるため、本記事執筆時点ではこれが公表されている最新の金利です。

融資率フラット35の最頻金利(2026年7月資金受取分)備考
9割以下年3.140%頭金1割を入れた場合などに適用
9割超(100%融資)年3.250%頭金なしのフルローンで適用

このとおり、9割以下と9割超では0.110%の金利差があります(2026年7月資金受取分。フラット35の金利は2026年に入り3%台で推移しています)。わずかな差に見えても、35年の長期では無視できません。なおフラット35は申込時ではなく実行(資金受取)時の金利が適用される点と、金利は毎月見直される点に注意してください(最新の金利は住宅金融支援機構(フラット35公式)でご確認ください)。

※ちなみに、以前(2019年9月ごろまで)は9割以下と9割超の金利差がもっと大きい時期もありました。

融資比率が90%を超えると金利が変わるわけですが、マイホーム購入時は家のお金だけでなくさまざまな支払いが発生します。融資率9割にしようとすると、単純に建築費や購入価格の1割を準備すればよいわけではないので、余裕をもって自己資金を用意しておかないと不足することがあります。フラット35は住宅金融支援機構がルールを定めて平等に提供しているので、「少しぐらい足りなくても特別に低い金利で貸してもらえる」というような融通はききません。10万円足りないだけで、何千万円もの住宅ローンの金利が一段上がってしまうことすらあり得ます。

フラット35の100%融資をそのまま使うべきでない理由

9割以内と9割超では金利が0.110%違います。これはどれくらい返済額に差が出てくるのでしょうか?

返済額に大きな差が出てくる

借入額2,500万円・返済年数35年・元利均等返済(ボーナス返済なし)の条件で、2026年7月資金受取分の金利(9割以下3.140%/9割超3.250%)で試算した結果が以下です(諸費用は含みません。月々の返済額は円未満切捨ての概算です)。

 金利3.140%(9割以下)金利3.250%(9割超)差額
毎月の返済額98,176円99,734円1,558円
総返済額41,233,920円41,888,280円654,360円

金利が0.110%違うだけで、総返済額では約65万円もの差が出ます(あくまで上記条件での試算例。金利水準が動けば差額も変わります)。これだけの差があれば、疾病保障を充実させる費用にもまわせます。頭金1割を用意できるかどうかで、支払う総額がこれだけ違ってくるということですね。

頭金はないけれどすぐ家が欲しいという人にとって、フラット35の100%融資(9割超)はいい選択のように思えますが、同じ100%を借りるのでも、次に紹介する方法のほうが総返済額を抑えられるので、9割超をそのまま使うのは避けたいところです。

頭金0でも融資率9割以下の金利でフラット35を借りる方法

次に、頭金がなくても融資率9割以下の金利でフラット35を借りる方法を紹介します。

裏ワザ1:金融機関独自の1割融資を利用する

フラット35の借入を9割までにし、不足の1割を金融機関独自のローンで融資してもらう方法です。たとえば、フラット35の取扱シェアが高いSBIアルヒ(ARUHI)には、ARUHI フラットαという商品名で不足の1割を融資してくれるものがあります(フラット35の9割以下と組み合わせて、物件価額の10割まで借りられます)。

金利などの条件はフラット35とは異なる

不足1割分のローン(ARUHI フラットαなど)の金利は、フラット35本体とは別に設定され、変動金利型などで本体より高めになるのが一般的です。それでも、「9割以下の低い金利のフラット35+1割分の別ローン」を合わせたほうが、9割超のフラット35を1本で借りるより総返済額を抑えられるケースが多いのがポイントです。1割分は借入額が小さいため、多少金利が高くても全体への影響は限定的だからです。実際にどちらが有利かは、各ローンの最新金利で試算して比較しましょう(金利は時点で変わるため、必ず各社公式の最新金利でご確認ください)。

不足1割を融資してくれ、フラット35で100%借り入れ可能になる金融機関(一例)

不足の1割を融資してくれる金融機関はSBIアルヒ(ARUHI)だけではありません。代表的な商品をまとめると次のとおりです。

代表例がSBIアルヒ(ARUHI)の「ARUHI フラットα」です。フラット35【買取型】と組み合わせる変動金利型のローンで、フラット35の9割以下の金利を活かしながら物件価額の10割まで借りられます(2026年8月時点・SBIアルヒ公式で取扱を確認)。このほかにも、フラット35取扱金融機関の一部が同様の「併せ融資(不足1割分のローン)」を提供しています。ただし、取扱の有無・商品名・金利は金融機関ごとに異なり、時期によって変わりますので、必ず各社の公式サイトで最新の取扱状況をご確認ください。

注意点として、かつて同様の併せ融資「プラスワン」を提供していた優良住宅ローンは、現在フラット35・プラスワンとも新規受付を停止しています(フラット35事業は2025年3月にSBIアルヒへ譲渡されました)。古い比較記事に載っている商品が今も申し込めるとは限らないので、この点でも最新情報の確認が大切です。

頭金がなくても9割以下の金利でフラット35を借りられる方法があるのに、わざわざ金利が高い9割超のフラット35を1本で借りる理由はありません。ただし、不足1割分のローンは融資手数料や事務手数料がかかる場合があるので、手数料も含めた総コストで比較してください。

裏ワザ2:親などから資金援助をもらう(贈与税に注意)

裏ワザというほどではありませんが、どうしても頭金を準備できない場合、親から資金援助をもらうのも一つの手です。親からお金をもらうのが難しい場合は、親に1割部分を借りるという方法もあります。

FPからの注意点:親からお金を「もらう」場合は贈与税の対象になり得ます。住宅取得資金の贈与には一定の非課税特例がありますが、適用には要件・期限があります。また親から「借りる」場合も、借用書(金銭消費貸借契約書)を作り、適正な金利と返済の実態がないと、税務上「贈与」とみなされ贈与税がかかることがあります。金額が大きいときは、事前に国税庁の情報を確認するか、税理士・FPにご相談ください。

親から借りると、あなたも親も得をすることがある

親からお金を借りるなんて気が引ける…と思われるかもしれません。しかし、親がしばらく使う予定のないお金を低い金利の預金に置いているなら、そのお金を借りて適正な利子を付けて返すことで、あなたは銀行の1割融資より低い金利で借りられ、親は預金よりよい利回りで運用できる、という双方にメリットのある形になり得ます。

たとえば、不足の1割を親から年1%程度の金利で借り、銀行の1割融資(変動金利型)と比べると、借入額や金利差によっては数十万円規模で総返済額を抑えられることもあります。なお、2026年は金利上昇局面で、普通預金金利もメガバンクで年0.4%前後、ネット銀行では年0.75%の例も出てきています(時点で変わります)。親側の「預金に置くより子に貸したほうが得」という差は以前より小さくなっている点も踏まえ、無理のない範囲で、必ず契約書を交わして進めましょう。

裏ワザ3:住宅ローンミックスプランを利用する

この方法は裏ワザ1の「金融機関独自の1割融資を利用する」と似ています。フラット35とその銀行独自の住宅ローンを合わせて借りる方法で、この場合フラット35の割合は9割でなくてもよく、4割でも5割でも構いません。

頭金と諸費用が準備できないというやむを得ない事情でミックスプランを利用するのはよいですが、変動か固定かを選びきれずに、なんとなくミックスにするのはおすすめしません。金利上昇局面では、変動と固定をどの比率で組むかが返済計画に大きく影響するため、目的を持って選びましょう。

100%融資・頭金なしは審査に影響する?

結論から言うと、返済負担率が基準を下回っていれば、頭金なし(100%融資)でも審査に大きく影響することはありません。もちろん頭金があると返済負担率が下がるので、その面では頭金がある方が有利になります。

フラット35の返済負担率

100%融資を受ける=危険、ではない

ファイナンシャルプランナーのアドバイスでは「全額借りるのは危険だ!」とよく言われます。しかし、本当にそうなのでしょうか?

なぜ100%融資は危険だと言われるのか?

それは、もし支払えなくなったときに、家を売っても住宅ローンを完済できない(オーバーローンになる)可能性があるからでしょう。

新築の場合、建物の値段には建築会社の利益が含まれています。この利益は売るときの値段には反映できないので、家を建ててすぐ売っても買った値段では売れません。たとえば2,000万円の建物で2割が利益だとすると、純粋な建物の価値は1,600万円ということになります。ここで住宅ローンが2,000万円残っていると、支払いに困って家を売りたくても、売っても住宅ローンを返しきれず売れない、ということになりかねません。

頭金を2割程度入れておけば、万が一支払えなくなったときも家を売って住宅ローンを完済しやすい、というのが「頭金を入れるべき」と言われる理由です。

支払いに無理のない金額なら、100%融資でも問題は小さい

100%融資が危険だと言われる理由が「支払いに困ったとき」のことなら、支払いに無理のない借入額であれば、過度に恐れる必要はありません。頭金を貯める本当の目的は「ほしい家を買って、住宅ローンを無理なく返していくため」です。

2割・3割が貯まっていなくても、家を買って住宅ローンを払っていけるなら、極端な話、頭金はゼロでも構いません。ただし、2026年は金利が上昇している局面でもあるので、将来の金利上昇や収入の変化があっても返していけるかを、余裕をもって試算しておくことが大切です。地方では車の維持費や教育費もかかりやすいので、住居費だけでなく家計全体で見ておきましょう。

FP相談でよくいただく質問(FAQ)

Q. 頭金ゼロでフラット35の100%融資(9割超)を使うのは損ですか?
A. 9割超は9割以下より金利が高く(2026年7月資金受取分で年3.250%と年3.140%)、総返済額が増えます。同じ100%を借りるなら、9割以下のフラット35+不足1割の別ローンを組み合わせたほうが総返済額を抑えられることが多いです。手数料も含めて試算して比べましょう。

Q. 親から頭金を借りても大丈夫ですか?
A. 可能ですが、借用書を作り、適正な金利と返済の実態を残すことが大切です。これがないと贈与とみなされ、贈与税の対象になることがあります。住宅取得資金の贈与非課税特例もあるので、金額が大きいときは国税庁の情報を確認するか、専門家にご相談ください。

まとめ:100%借りるのは返せるなら問題なし。フラット35以外も含め、総返済額で選ぼう

今回お伝えしたように、フラット35の100%融資(9割超)をそのまま使う必要はありません。その代わりに、頭金がなくても9割以下の金利でフラット35を借りる裏ワザや、その他の選択肢をご紹介しました。

また、フラット35(全期間固定)の金利は2026年に入り年3%台まで上昇しており、変動金利型の民間住宅ローンとの金利差も広がっています(フラット35の金利は毎月見直されます。最新の金利は住宅金融支援機構(フラット35公式)でご確認ください)。100%借りたいなら、フラット35の裏ワザを使った方法と、民間の変動金利型住宅ローンなど他の選択肢で総返済額がどちらが少なくなるかを必ず試算して選びましょう。たとえばSBI新生銀行は、保証料・一般団信・一部繰上返済手数料が0円で、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、はじめての方でも比較・相談しやすい選択肢の一つです。固定で安心をとるか、変動で当初の負担を抑えるか、ご家庭の家計と価値観に合わせて、無理のない住宅ローンを選んでください。