住宅ローンの返済がキツいと感じたら、最初にやることは、教育費と老後資金が「いつまでに・いくら」必要かをキャッシュフロー表で見える化することです。そのうえで足りない分を、収入を増やす、固定費を減らす、貯蓄の効率を上げる、の3つで埋めていきます。借り換えは、金利が上がっている今は試算を見るまで決めないほうが安全です。
当サイトの無料相談フォームに、まさにこのテーマのご相談をいただきました。ご相談の内容は以下の通りです。
夫30代前半3600万円、妻30代前半2500万円、35年返済、固定金利で、四年前から住宅ローンを組んでマンションを購入しました。
ボーナス返済は各々プラス五万円ほどです。
夫年収額面900万円、妻年収額面400万円です。
子供は2人です。
毎月の返済は管理費修繕費込みで20万ほど。
生活費など差し引くと毎月3万円程しか貯金してません。
1番心配なのは子供達の教育費と老後の貯蓄です。
どのように貯めればいいのか、どの程度貯めればいいのかわからず不安です。
教えて下さい。
ローンを組みすぎであればいくらが妥当かも知りたいです。
なお、問題点や不安面だけ教えて頂き、解決方法についての回答は
正式な依頼の後、と言うことであれば全ての回答は不要です。
その旨だけご返信下さい。(不安を煽られてだけのご返信だと
辛いので)
よろしくお願いします。
マンションは購入済みで、住宅ローンの返済と管理費・修繕積立金で毎月20万円が出ていき、生活費を差し引くと貯金に回せるのは月3万円ほど。そのため、子どもの教育費や老後資金の準備が不安だ、というご相談です。
まず「いくら貯めればいいか」を見える化しましょう
このようなお悩みは、漠然と考えていても解決しません。いつまでに、どの程度貯める必要があるのか、目標の金額をはっきりさせるところから始めましょう。
貯金が必要だと思っていても、いくら貯めればいいのかがわからなければ、いくら貯めても「これでいいのか」と不安が残ります。貯金すること自体が目的の生活になってしまうおそれもあります。
必要な金額をつかむ方法は、キャッシュフロー表(ライフプラン表)を作ってみることです。子どもの教育費にいくらかかり、老後にいくら必要なのかを、ご家庭ごとの収入と支出の流れに沿って年ごとに並べていきます。
作り方はライフプラン表をエクセルで作る16の手順の記事で紹介しています。表ができれば、毎月3万円の貯金で足りるのかどうかが数字で判断できます。
毎月3万円で足りないとわかったら、できることは3つ
毎月3万円の貯金では足りないとなったら、次の3つのことができないかを考えていきます。
- 収入を増やす
- 支出を減らす
- 貯蓄の効率を上げる
収入を増やすのはすぐには難しいでしょうし、簡単に増やせるなら最初から取り組まれていると思いますので、ここでは支出と貯蓄の2つを中心にお話しします。
生活の満足度を下げずに固定費から減らす
まず取り組みたいのは支出を減らすことですが、日々の生活の満足感に直結する食費などの生活費は、できるだけ削らないでください。毎日の楽しみを削って節約しても長続きせず、家族の暮らしがつまらなくなってしまいます。
減らすなら、生活にあまり影響しない固定費からです。見直しの候補になるのは、次のような支出です。
- 住宅ローンの見直し(借り換え・返済期間の調整・ボーナス返済の変更)で毎月の負担を減らす
- 生命保険や医療保険の見直し。疾病保障付きの団信と重なっている保障がないか確認する
- 携帯電話の料金の見直し。格安SIMや大手のオンライン専用プランに切り替える
保険の見直しは、ぜひ取り組みたい項目です。ご相談者の年収なら、ご夫婦で月5,000円〜10,000円以内の保険料に収まるケースが多いと考えています。住宅ローンに疾病保障付きの団信が付いていれば、民間の医療保険や就業不能保険と保障が重なっていることもあります。
ボーナス返済が負担になっている場合は、返済方法の変更手続きでボーナス併用返済を毎月返済だけに切り替えられる金融機関も多くあります。手数料や条件は金融機関ごとに違うため、取扱いはお借入先の窓口で聞けます。
携帯電話の料金も、大手キャリアのプランをそのまま使っているなら、格安SIMなどへの切り替えで毎月数千円単位の差が出ることがあります。手続きは一度で済み、その後は毎月の支出が下がり続けます。
金利が上がっている今の借り換えは試算を見てから
この記事を最初に書いたころは超低金利が続いていて、借りて間もないなら借り換えで金利が下がる可能性が高い、とお伝えできました。今は事情が違います。日本銀行は2026年9月18日の会合で政策金利を1.25%程度へ引き上げ、10月30日の会合ではこの水準に据え置きました(日本銀行 金融政策決定会合)。
住宅ローン金利も上向きです。当サイトが2026年10月1日に14の金融機関・機関の公式金利ページを確認し、前月と比べられた127件(商品・金利タイプ・期間などの組み合わせ数)を集計したところ、121件が引き上げ、6件が据え置きで、引き下げは0件でした(当サイト調べ)。
そのため、低金利の時期に借りた住宅ローンは、いま借り換えるとかえって金利が上がることが多くなっています。それでも、次のような場合は今でも見直しの効果が出る余地があります。
- 金利優遇が小さい時期や条件で借りていて、いまの優遇後の金利より高い金利を払っている場合
- 毎月の返済額そのものを軽くしたい場合(返済期間を延ばす借り換えや、金融機関への返済条件変更の相談)。総返済額は増えるので、キャッシュフロー表とあわせて判断します
- 保障の薄い団信で借りている場合。疾病保障付きの団信に切り替えて民間保険を減らせば、家計全体では軽くなることがあります
団信の保障内容は金融機関によって差があり、たとえばSBI新生銀行は2026年3月から、上乗せ金利なしで選べる全疾病保障付団信を扱っています。一方で、同行の事務手数料は借入額×2.20%(税込)です。
このように借り換えは、金利差や保障だけでなく、事務手数料や登記費用などの諸費用込みで損得が決まります。複数の金融機関で同じ条件の試算を出してもらい、総額で比べてください。注意点は住宅ローン借り換えの諸費用・審査・団信の注意点で解説しています。
変動金利で借りている人は、利上げがいつ自分の返済額に反映されるかも大事な点です。多くの銀行は元利均等返済に「5年ルール」を設け、5年間は毎月の返済額を変えずに元金と利息の内訳だけを見直しますが、こうしたルールを置かない銀行もあります。仕組みは変動金利の5年ルール・125%ルールの解説をご覧ください。
返済がどうしても苦しくなりそうなら、延滞してしまう前に、お借入先の金融機関の窓口へ相談してください。返済期間の延長や一定期間の返済額の軽減など、返済条件の変更に応じてもらえる場合があり、延滞後より事前のほうが相談できる内容は多く残ります。家計全体を見直すなら住宅ローンのFP無料相談の仕組みと注意点も参考になります。
貯蓄の効率を上げる(金利のある時代の運用)
最後は貯蓄の効率を上げること、具体的には運用に挑戦することです。日銀の利上げを受けて預金にも金利が付くようになってきましたが(水準は銀行や時期で異なります)、教育費や老後資金のように10年・20年単位で準備するお金は、預金だけでなく運用も組み合わせたほうが効率が上がります。
たとえば、30年間で3,000万円を貯めたいとします。毎月末に積み立て、月複利で運用できたと仮定した概算では、利回り0%なら毎月約83,000円が必要ですが、年1%なら約71,500円、年3%なら約51,500円で届きます。同じゴールでも、利回りによって毎月の負担は3万円以上変わります。

もちろん運用の利回りは確定していないので、想定の利回りから計算した金額より少し多めに積み立てておくほうが安全です。
長期の積立投資には、運用益が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)も使えます。つみたて投資枠は年間120万円まで、生涯の非課税保有限度額は1,800万円で、投資できるのは長期・積立・分散投資に向いた一定の投資信託に限られます(金融庁 NISA特設ウェブサイト)。
運用は元本が保証されないので、商品の内容とリスクを理解したうえで、無理のない金額から始めてください。教育費のように使う時期が近いお金は、預金など元本の減らない形で確保しておきましょう。
返済がキツいときによくあるご質問
Q. 毎月20万円の住居費は組みすぎなのでしょうか?
A. 世帯年収1,300万円(額面)に対して住居費は年約240万円+ボーナス返済なので、比率だけなら直ちに危ない水準とは言えません。ただ貯蓄が月3万円にとどまっている以上、組みすぎかどうかは教育費のピークと老後に赤字が出ないかで決まり、キャッシュフロー表を作れば判断できます。
Q. ソニー銀行の変動金利が上がりすぎと感じます。返済額はいつ変わりますか?
A. ソニー銀行は11月1日の基準日の金利で12月の返済日の翌日から適用金利を見直し、1月の返済分から新しい返済額になります(ボーナス月の設定で1〜2か月ずれます)。5年ルール・125%ルールがないため、金利の上昇分はそのまま返済額に反映されます。
ソニー銀行は2026年10月適用分で、変動セレクト住宅ローンの変動金利を年0.500%引き上げました。返済中の方の新しい返済額は基準日にメールで案内され、ログイン後の返済予定でも確認できます。届いた金額をキャッシュフロー表に入れ直し、家計が回るかを早めに確かめておくと、借り換えや条件変更の相談にも余裕を持って動けます。
過去を責めず、今できることに取り組む
すでに組んでしまった住宅ローンのことを悔やんでも、良いことは一つもありません。それより、目標額の見える化、固定費の削減、貯蓄効率の改善という順番で、今できることに一つずつ取り組んでいきましょう。
実際に借り換えや保険の見直しを決める段階では、各金融機関の最新の金利や条件をご自身でも確かめてから判断してください。