住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、「最大13年間、住宅ローン年末残高の0.7%が所得税から控除される」という税の優遇措置です(新築住宅等は原則13年。中古住宅は原則10年ですが、2026年以降に入居する場合、省エネ基準に適合する中古住宅は控除期間が13年に拡充されました。所得税から引ききれない分は一定額まで住民税からも控除されます)。
景気刺激策の1つでローンを組んで家を買った人は社会経済活動への貢献が大きいですし、住宅ローンの返済が楽になるように所得税を安く(確定申告や年末調整で還付)してもらえる制度です。なお、この制度は令和8年度税制改正で適用期限が5年延長され、2030年(令和12年)12月31日までに入居した場合まで利用できることになりました(2026年8月時点。住宅の省エネ性能などによって借入限度額等が異なります。詳細は国土交通省・国税庁の公式サイトでご確認ください)。今回の改正では、省エネ性能の高い中古住宅の借入限度額引き上げ・控除期間の13年への拡充のほか、床面積要件の40㎡以上への緩和(新築・中古とも。合計所得金額1,000万円超の方などは50㎡以上)も行われており、中古住宅やコンパクトな住宅を検討している方には追い風の内容です。
「家を買う」という行為は税制上ではお得な節税方法の1つなのですが、その制度を利用するためには初年度に必要書類をそろえて確定申告しなければなりません。申告期間は原則2月16日から3月15日ですが、会社員の方が還付を受けるだけの「還付申告」であれば、年明けの1月から提出できます(混雑前に済ませられるので、FPとしては早めの申告をおすすめしています)。
2年目以降は年末調整で会社経由で手続きすることも可能ですし、確定申告で手続きしても戻ってくる金額は同じです。
ちょっとだけめんどくさい住宅ローン控除の手続き。この記事では、住宅ローン控除の申請に必要な書類と入手方法をまとめました。
目次
住宅ローン控除の必要書類は最大で8つ
- 確定申告書
- 確定申告をする年分の源泉徴収票(添付は不要・記入用に手元に用意)
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅ローンの年末残高等証明書(※調書方式の場合は不要)
- 土地・建物の登記事項証明書
- 売買契約書または建築請負契約書の写し
- 住宅の性能を証明する書類(住宅の種類・性能区分による)
- マイナンバーの本人確認書類
※2年目以降は、年末調整の場合「税務署から交付される控除証明書(住宅借入金等特別控除申告書)」と「年末残高等証明書(調書方式の場合は不要)」があれば手続きできます。確定申告で手続きする場合も、初年度よりずっと少ない書類で済みます。
書類の不備で再手続きが必要になると時間も手間も余計にかかってしまうので、一度で確定申告をしっかり完了できるように書類をきちんと集めて確定申告を終わらせるようにしましょう。
確定申告書
日本は、一年間に得た収入や所得、経費、控除などを自分でまとめて税務署に申告し納税する制度で、いわゆる「申告納税制度」をとっています。
会社員として働いている人、年金収入を得ている人、農業をしている人、自分でビジネスをしている人も基本的には確定申告が必要になります(会社員は通常、年末調整で完結しますが、住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要です)。
確定申告書は、その年の収入や所得、控除、所得税等を記入するための書類です。以前は「A様式(会社員・年金受給者向け)」と「B様式(自営業者向けなど)」の2種類がありましたが、令和4年分(2023年提出分)からA様式が廃止され、様式は1つに統一されました。現在は会社員も自営業者も同じ「確定申告書」を使いますので、様式選びで迷う必要はありません。
確定申告をする年分の源泉徴収票
確定申告では、「一年間でいくら稼いだのか」「保険や年金等の控除がいくらあるのか」を自分で確定申告書に記入し、提出します。会社員の場合、そのもとになる数字が書かれているのが「源泉徴収票」です。源泉徴収票は、サラリーマンとして働いている人であれば年末調整後(12月〜1月頃)に会社から交付されます。
なお、2019年4月以降に提出する確定申告書には、源泉徴収票の添付は不要になりました。ただし、申告書に収入金額や源泉徴収税額を書き写すために必ず手元に必要ですので、「添付しない=いらない」と勘違いして捨ててしまわないようにしてください。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅ローン控除などの特別な控除を利用する場合、税務署指定の書類を添付する必要があります。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、購入した不動産にいつから住んでいるのか、いくらで買ったのかなどを詳しく記入するための書類です。
住宅ローンの年末残高等証明書(調書方式なら不要)
住宅ローン控除では、ローン残高によって控除額が変わります。そのため、ローン残高を証明するための書類である「住宅ローンの年末残高等証明書」が必要なのです。従来は毎年の年末頃に金融機関から郵送されてくる証明書を添付する方式(証明書方式)でした。
ここが近年の大きな変更点で、2024年(令和6年)以降に入居した人で、借入先の金融機関が「調書方式」に対応している場合は、金融機関に「住宅ローン控除の適用申請書」を提出しておけば、年末残高等証明書の添付が不要になります(金融機関が残高情報を直接税務署に提出し、マイナポータル連携などで残高情報を取得できる仕組みです。この場合、金融機関からの証明書の郵送自体がなくなります)。
ただし、調書方式に対応していない金融機関から借りている場合は、従来どおり証明書の添付が必要です。地方の銀行・信用金庫・ろうきん等では対応状況が分かれますので、ご自身の借入先が対応しているかは金融機関または国税庁ホームページの対応金融機関一覧でご確認ください。証明書方式の場合、この書類は2年目以降の年末調整でも毎年使いますので、届いたら捨てずに保管しましょう(金融機関によっては依頼しないと送ってくれない場合もあります)。
土地・建物の登記事項証明書
いわゆる、「全部事項証明書」や「登記簿謄本」などとも呼ばれる書類のことです。不動産の住所地や所有者などについての情報が記載された書類で、住宅ローンを組んで購入した土地や建物が、本当に本人のものかを証明するために提出を求められます。
登記情報を管理しているのは法務局なので、当然記載内容にごまかしもありません。なお、計算明細書に不動産番号を記載することで登記事項証明書の添付を省略できる場合があります。詳しくは税務署または国税庁ホームページでご確認ください。
売買契約書または建築請負契約書の写し
住宅ローン控除を利用するからには、「実際に家を買った」という証明が必要になります。そのため、不動産業者や家の売り主と交わしているはずの売買契約書、または工事業者と取り交わす建築請負契約書の写しも必要です。
住宅ローン控除のように節税効果が高い制度を利用するためには、さまざまな角度から「本当に家を買ったこと」や「住宅ローンの残高」を証明しなければなりません。
住宅の性能を証明する書類
現行の住宅ローン控除は、住宅の省エネ性能などによって借入限度額が変わる仕組みになっています(長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅など)。そのため、認定長期優良住宅の認定通知書や、省エネ基準への適合を証明する「建設住宅性能評価書」「住宅省エネルギー性能証明書」などの写しが必要になる場合があります。
どの書類が必要かは住宅の種類・性能区分によって異なりますので、新築なら施工会社や販売会社に「住宅ローン控除に使う性能証明書類」を確認しておくとスムーズです。原則として2024年以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準に適合しないと住宅ローン控除の対象外となる点にも注意してください。また、2026年以降の入居では、省エネ基準に適合する中古住宅は控除期間13年・借入限度額引き上げの対象になるため、中古住宅でも「住宅省エネルギー性能証明書」「建設住宅性能評価書」などの性能証明書類の有無が控除額に直結します。中古住宅を購入する方は、契約前に不動産会社へ性能証明書類の有無を確認しておくことをおすすめします。
マイナンバーの本人確認書類
マイナンバー制度の導入にともなって、確定申告書にもマイナンバーを記載するようになりました。確定申告書には、マイナンバーを記載するための記入欄もつくられています。
ただ、番号を記入しただけでは本当のマイナンバーなのか、また本人が確定申告の手続きをしているのかがわかりません。マイナンバーがわかる書類、それと本人確認書類も必要です。
必要書類の入手方法を解説!

各書類の入手方法についてまとめました。
確定申告書は「税務署」か「国税庁ホームページ」で
確定申告書は、最寄りの税務署に行けば入手できます。用紙の記入方法なども指導してもらえるので、可能であれば税務署へ相談に行きましょう。
ただ、税務署は夕方になると閉まってしまうので、書類を取りに行くのは大変です。
そこで役立つのが、国税庁のホームページです。24時間いつでもPDF形式の確定申告書を出力できます。自宅やコンビニのプリンター等を使って印刷しましょう。さらに今は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、パソコンやスマートフォンの画面の案内に沿って入力するだけで申告書が作成でき、マイナンバーカードがあればe-Tax(電子申告)で自宅から提出まで完結できます。書類の郵送や税務署に並ぶ手間が省けるので、FPとしてはこちらをおすすめすることが多いです。
源泉徴収票は「職場」から発行してもらう
源泉徴収票は、とくに手続きしなくても12月か1月の給与明細と一緒に渡されます。年度の途中で転職しているなど、源泉徴収を受けている勤め先が複数ある場合は、以前の職場に連絡して源泉徴収票を発行してもらいましょう。
前述のとおり確定申告書への添付は不要になりましたが、申告書の作成には必要です。すべての勤め先の分をそろえてから申告書を作成してください。
計算明細書は「税務署」か「国税庁」で
確定申告書と同じく、各地域の税務署に行けば置いてありますし、国税庁のホームページからダウンロードして印刷することも可能です。確定申告書等作成コーナーを使う場合は、画面の案内に沿って入力すれば自動で作成されます。
住宅ローンの年末残高等証明書は「金融機関」から
証明書方式の場合、年末残高等証明書は住宅ローンを組んだ金融機関から送られてきます。
10月〜12月頃に送付されることが多いのですが、金融機関によっては頼まないと送ってくれない場合もあるので注意しましょう。
調書方式(2024年以降入居・対応金融機関)の場合は、金融機関に「住宅ローン控除の適用申請書」を提出しておけば証明書の取り寄せは不要です。ご自身がどちらの方式かは、借入先の金融機関にご確認ください。
土地・建物の登記事項証明書は「法務局」で発行
不動産の登記事項証明書は、住所地を管轄する法務局に頼んで発行してもらわなければなりません。
法務局の窓口で請求する場合は1通600円、オンライン請求で書類を郵送してもらう場合は500円(最寄りの登記所・法務局で受け取る場合は480円)の手数料がかかります(2026年8月時点・法務省)。オンライン請求のほうが安く、平日の夜まで請求できるので便利です。
家を買ったときに司法書士へ登記を代行してもらっているなら、その司法書士に依頼して取得してもらうという方法でも大丈夫です。
売買契約書・建築請負契約書の写しは貰った書類をコピー
家を買ったとき、または建築請負契約をしたときにもらった書類をコピーしましょう。
確定申告の際に提出した書類は戻ってこないので、提出するのは写しだけです。
住宅の性能を証明する書類は「施工会社・販売会社」に確認
認定通知書や住宅性能評価書などは、通常、引き渡し時の書類一式に含まれています。見当たらない場合や、どの書類が該当するかわからない場合は、施工会社・販売会社に「住宅ローン控除に使う性能証明書類が欲しい」と伝えれば案内してもらえます。
マイナンバーの本人確認書類は身分証明書のコピーでも可
マイナンバーカードを持っている場合は、表裏の両面をコピーしたものを確定申告書と一緒に提出します。
マイナンバーカードがない場合、マイナンバーが載っている住民票の写し(または住民票記載事項証明書)と、運転免許証やパスポートをはじめとした身分証明書のコピーで代用可能です。
※マイナンバーの「通知カード」は2020年5月25日で新規発行が廃止されていますが、記載された氏名・住所などが住民票の内容と一致している場合に限り、引き続き番号確認書類として使えます(引っ越しや結婚で記載事項が変わっている場合は使えません)。また、通知カード廃止後に送られている「個人番号通知書」は番号確認書類としては使えないので注意してください。
8つの必要書類をそろえてお得に節税しよう
住宅ローン控除を利用するためには、初年度に自分で確定申告をする必要があります。確定申告、そして住宅ローン控除の申請に必要な書類は最大で8つあり、必要なものが1つでも欠けていると手続きが完了しません。
一部の書類は取り寄せるまでに多少時間がかかりますし、各書類の記入も慣れていないと大変なので、家を買ったら新年に入ってすぐに確定申告の準備をはじめましょう。
FPとしてよくいただくご質問(FAQ)
Q. 初年度の確定申告を忘れていました。もう控除は受けられませんか?
A. あきらめる必要はありません。会社員の方の還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から5年間さかのぼって提出できます。たとえば入居した年の申告を1〜2年忘れていても、期限内であれば申告して還付を受けられます。気づいた時点で早めに税務署に相談しましょう。
Q. 2年目以降の年末調整では、何を会社に出せばいいですか?
A. 初年度の確定申告後に税務署から交付される「住宅借入金等特別控除申告書(控除証明書)」と、証明書方式の場合は金融機関からの「年末残高等証明書」を年末調整の際に会社へ提出します(調書方式の場合、残高証明書は不要です)。控除証明書は残りの控除年数分がまとめて交付されるので、なくさないように保管してください。
住宅ローンを借り換えても控除は続きます
住宅ローンを借り換えても、「新しいローンが当初の住宅ローンの返済のためのものであることが明らか」「借り換え後の償還期間が10年以上」といった要件を満たせば、住宅ローン控除は引き続き利用できます(控除が受けられる年数自体は延びません)。特に注意してほしいのは「借り換え後の住宅ローンの償還期間が10年以上」という条件で、残り期間を短くしすぎると控除が受けられなくなってしまいます。
なお、2026年は日銀の利上げを受けて住宅ローン金利が全体として上昇傾向にあり、かつての超低金利期のように「借り換えれば誰でも大きく得をする」という状況ではなくなっています。それでも、以前の高い金利のまま返済を続けている方や、団信の保障内容を見直したい方には、借り換えの検討価値があるケースもあります。金利差・残高・残期間・諸費用を含めて総返済額で試算し、判断に迷う場合はFPなど中立的な専門家に相談してみてください。最新の金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
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