住宅ローン控除を初めて受ける年は、確定申告書に計算明細書・登記事項証明書・契約書の写しなど最大8種類の書類をそろえて税務署へ出します。会社員なら2年目以降は、税務署から届く控除証明書と金融機関の年末残高等証明書を勤務先へ出すだけで、年末調整の中で手続きが終わります。
控除の中身は、年末のローン残高の0.7%を所得税から差し引くもので、新築や省エネ基準に適合する住宅なら最長13年続きます。令和8年度の税制改正で、2030年(令和12年)12月31日までに入居した人まで使えるよう5年延長され、省エネ性能の高い中古住宅も控除期間が13年に広がりました(2026年10月時点)。
所得税から引ききれない分は、一定額まで翌年度の住民税から差し引かれるので、共働きで所得税が少なめの家庭でも、控除をある程度は使い切れる仕組みになっています。
床面積の要件も、新築・中古とも40㎡以上に緩められています。ただし、合計所得金額が1,000万円を超える人や、子育て世帯向けの上乗せを使う人は50㎡以上が必要なので、コンパクトな物件を考えている方は、登記上の床面積を契約前に確認してください(国土交通省「住宅ローン減税」)。
申告期間は原則2月16日から3月15日ですが、会社員が還付を受けるだけの還付申告なら、年が明けた1月から出せます。入居した年の申告をうっかり忘れていた場合も、対象の年の翌年1月1日から5年間はさかのぼって申告できるので、気づいた時点で動けば控除は受けられます。
住宅ローン控除の必要書類は最大で8つ
- 確定申告書
- 確定申告をする年分の源泉徴収票(添付は不要・記入用に手元に用意)
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅ローンの年末残高等証明書(※調書方式の場合は不要)
- 土地・建物の登記事項証明書
- 売買契約書または建築請負契約書の写し
- 住宅の性能を証明する書類(住宅の種類・性能区分による)
- マイナンバーの本人確認書類
※2年目以降は、年末調整の場合「税務署から交付される控除証明書(住宅借入金等特別控除申告書)」と「年末残高等証明書(調書方式の場合は不要)」があれば手続きできます。確定申告で手続きする場合も、初年度よりずっと少ない書類で済みます。
書類に不備があると、税務署から連絡が来て出し直しになり、還付の時期も遅れてしまいます。一度で申告を終えられるよう、1月に入ったら手元の書類を一つずつ照らし合わせておくのが、結局いちばん手間の少ない進め方だと考えています。
確定申告書
日本は、一年間に得た収入や所得、経費、控除などを自分でまとめて税務署に申告し納税する、いわゆる申告納税制度をとっています。会社員は普段は年末調整で済みますが、住宅ローン控除の初年度だけは自分で確定申告をする必要があります。
確定申告書は、その年の収入や所得、控除、所得税等を記入するための書類です。以前は会社員・年金受給者向けのA様式と、自営業者向けなどのB様式がありましたが、令和4年分(2023年提出分)からA様式が廃止され、様式は1つになりました。今は会社員も自営業者も同じ確定申告書を使うので、様式選びで迷うことはありません。
確定申告をする年分の源泉徴収票
確定申告では、一年間でいくら稼いだのか、保険料や年金などの控除がいくらあるのかを自分で申告書に書き込みます。会社員の場合、そのもとになる数字が載っているのが源泉徴収票で、年末調整が終わった12月から1月ごろに会社から渡されます。
2019年4月以降に提出する確定申告書には、源泉徴収票を添付しなくてよくなりました。ただ、申告書に収入金額や源泉徴収税額を書き写すときに必ず使うので、添付しないからといって捨てないようにしてください。住宅ローンを申し込むときに金融機関から求められた納税証明書は、控除の添付書類には入っていません。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅ローン控除を使うときに、確定申告書と一緒に出す税務署指定の書類です。購入した住宅にいつから住んでいるのか、いくらで買ったのか、補助金を受けたかどうかなどを書き込み、控除額を計算します。
住宅ローンの年末残高等証明書(調書方式なら不要)
住宅ローン控除は年末のローン残高で控除額が決まるため、その残高を証明する書類が必要になります。従来は、毎年の年末ごろに金融機関から郵送されてくる証明書を申告書に添付する方式(証明書方式)でした。
これに対し、金融機関が残高の情報を税務署へ直接出す調書方式では、借入先に「住宅ローン控除の適用申請書」を出しておけば、年末残高等証明書の添付はいりません。
法令上は2023年以降に入居した人が対象ですが、金融機関のシステム対応を待つ経過措置があり、実際には2024年以降に入居した人から、対応を終えた金融機関ごとに切り替わっています(国税庁「調書方式に関するよくある質問」)。
借入先が調書方式に対応していなければ、これまでどおり証明書の添付が必要です。地方銀行や信用金庫、ろうきんは対応の時期が分かれているので、借入先が対応しているかは、国税庁ホームページの対応金融機関の一覧で調べられます。証明書方式の人は、2年目以降の年末調整でも毎年この証明書を使うため、届いたら捨てずに保管しておきましょう。
土地・建物の登記事項証明書
全部事項証明書や登記簿謄本とも呼ばれる書類で、不動産の所在地や所有者、床面積などが載っています。住宅ローンで買った土地や建物が本当に本人のものか、床面積の要件を満たしているかを確かめるために使われます。
登記事項証明書は、計算明細書に不動産番号を書けば添付を省略できますし、証明書の写しを付ける方法も認められています(国税庁 タックスアンサーNo.1211-1)。不動産番号は、登記完了後に司法書士から受け取る書類や、取得済みの証明書に記載されています。
売買契約書または建築請負契約書の写し
住宅ローン控除を受けるには、実際に家を買った、または建てたという証明が要ります。不動産会社や売主と交わした売買契約書、工務店などと交わした建築請負契約書の写しが、その証明になります。取得価格は控除額の計算にも使われるため、金額の分かるページも含めて提出します。
住宅の性能を証明する書類
今の住宅ローン控除は、長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅といった住宅の省エネ性能で借入限度額が変わります。そのため、認定通知書や、建築士などが発行する住宅省エネルギー性能証明書、建設住宅性能評価書の写しを添付します。
2024年以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準に適合しないと控除の対象外です。一方で、2025年4月1日以後に建築確認を受けた省エネ基準適合住宅なら、性能評価書の写しの代わりに検査済証の写しを使えるようになりました。新築の場合、引き渡しの書類一式にどれが入っているかは、施工会社に聞けばすぐに分かります。
中古住宅の場合は、省エネ基準に適合することの証明に加えて、昭和57年以降の建築であるか、耐震基準適合証明書などで耐震性が確認できることが条件です。2026年以降の入居では、省エネの証明書類があるかどうかで控除期間と借入限度額が変わるので、契約前に不動産会社へ書類の有無を聞いておいてください。
マイナンバーの本人確認書類
確定申告書にはマイナンバーを書く欄があります。ただ、番号を書いただけでは、それが本人の番号なのか、本人が申告しているのかが分からないため、番号を確認できる書類と本人確認書類の両方が必要になります。
家の種類や買い方によって追加で必要になる書類
上の8種類は、ほとんどの人に共通する書類です。国税庁の案内では、これに加えて家の種類や資金の出どころによって追加の書類が求められます。ご相談でよく伺うのは、土地から買った人や親から資金援助を受けた人が、追加の書類を知らずに申告直前で慌てるケースです。
| ケース | 追加で用意する書類 | 備考 |
|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 認定通知書の写し、住宅用家屋証明書または認定住宅建築証明書 | 新築の引き渡し書類に含まれることが多い |
| ZEH水準・省エネ基準適合住宅 | 住宅省エネルギー性能証明書または建設住宅性能評価書の写し | 2025年4月1日以後の建築確認なら検査済証の写しでも可(省エネ基準適合住宅) |
| 中古住宅 | 耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し、既存住宅売買瑕疵担保責任保険の付保証明書など | 昭和57年以降の建築なら耐震の証明は不要 |
| 土地も住宅ローンで買った | 土地の売買契約書の写し、土地の登記事項証明書 | 建築条件付きの土地は条件が分かる書類も |
| 国や自治体の補助金を受けた | 補助金の交付決定通知書など | 取得価格から補助金を差し引いて計算する |
| 親などから住宅資金の贈与を受けた | 贈与税の申告書の写しなど | 非課税の特例を使った金額も取得価格から差し引く |
出典は国税庁「マイホームを持ったとき」で、令和8年中に入居した場合の内容です(2026年10月時点)。
中古住宅では、性能の証明書類が控除額に直結します。たとえば、40歳未満の夫婦が床面積60㎡の中古マンションを買い、2,500万円を借りたと仮定します。省エネ基準適合の証明が取れれば借入限度額3,000万円・控除期間13年となり、年末残高が2,500万円なら1年目の控除は最大17万5,000円です。
同じ物件でも証明書類がなければ、その他の中古住宅として借入限度額2,000万円・控除期間10年になり、1年目は最大14万円にとどまります。年3万5,000円の差に加えて控除が3年短くなるので、書類の有無はかなり大きな違いです。控除額の出し方は「住宅ローン控除の計算方法」の記事で紹介しています。
夫婦それぞれが申告するケースも増えています。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」によると、2025年4月から9月に住宅ローンを借りた人のうち、ペアローンか収入合算を使った人は38.7%でした(住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」)。
必要書類の入手方法を解説!

書類ごとに、どこでもらえるのか、手数料はいくらかかるのかをまとめると次のようになります。時間のかかる書類ほど早めに頼んでおくと、申告が遅れずに済みます。
確定申告書は「税務署」か「国税庁ホームページ」で
確定申告書は最寄りの税務署でもらえますし、窓口で書き方を聞くこともできます。ただ、税務署は平日の日中しか開いていないので、仕事をしている方には少し行きにくいかもしれません。
そこで便利なのが、国税庁の確定申告書等作成コーナーです。パソコンやスマートフォンの画面の案内に沿って入力すると申告書ができあがり、マイナンバーカードがあればe-Tax(電子申告)で自宅から提出まで済ませられます。郵送や税務署の行列の手間がなくなるので、車で税務署まで出向くのが大変な地域の方には、この方法が向いています。
源泉徴収票は「職場」から発行してもらう
源泉徴収票は、特に手続きしなくても12月か1月の給与明細と一緒に渡されます。年の途中で転職したなど、勤め先が複数ある場合は、前の職場にも連絡して発行してもらいましょう。申告書への添付は不要でも作成には使うので、すべての勤め先の分がそろってから入力を始めると、途中でやり直さずに済みます。
計算明細書は「税務署」か「国税庁」で
確定申告書と同じく税務署に置いてあり、国税庁のホームページからダウンロードして印刷することもできます。確定申告書等作成コーナーを使う場合は、画面の案内に沿って入力すれば自動で作られます。
住宅ローンの年末残高等証明書は「金融機関」から
証明書方式の場合、年末残高等証明書は住宅ローンを組んだ金融機関から送られてきます。10月から12月ごろに届くことが多いものの、金融機関によっては依頼しないと送ってもらえないこともあります。調書方式の場合は、借入先に適用申請書を出しておけば取り寄せは不要です。自分がどちらの方式かは、借入先の金融機関に問い合わせると分かります。
土地・建物の登記事項証明書は「法務局」で発行
登記事項証明書は法務局で発行してもらいます。窓口で請求すると1通600円、オンラインで請求して郵送で受け取ると520円、オンラインで請求して法務局の窓口で受け取ると490円です(令和7年4月1日からの手数料・法務省「登記手数料について」)。オンライン請求のほうが安く、平日の夜まで受け付けているので使いやすいと思います。
家を買ったときに司法書士へ登記を頼んでいるなら、その司法書士に取得をお願いする方法もあります。先ほどのとおり、計算明細書に不動産番号を書けば添付そのものを省略できます。
売買契約書・建築請負契約書の写しは貰った書類をコピー
家を買ったとき、または建築請負契約をしたときに受け取った契約書をコピーします。提出した書類は戻ってこないため、原本ではなく写しを出します。
住宅の性能を証明する書類は「施工会社・販売会社」に確認
認定通知書や住宅性能評価書、検査済証は、通常は引き渡し時の書類一式に入っています。見当たらないときや、どれが該当するか分からないときは、施工会社や販売会社に住宅ローン控除で使う性能の証明書類がほしいと伝えれば案内してもらえます。中古住宅の場合は、売主側の不動産会社が窓口になります。
マイナンバーの本人確認書類は身分証明書のコピーでも可
マイナンバーカードを持っている場合は、表と裏の両面をコピーして確定申告書と一緒に出します。マイナンバーカードがない場合は、マイナンバーが載った住民票の写し(または住民票記載事項証明書)と、運転免許証やパスポートなどの身分証明書のコピーで代わりになります。
※マイナンバーの通知カードは2020年5月25日で新規発行が終わっていますが、記載された氏名・住所などが住民票の内容と一致している場合に限り、今も番号確認書類として使えます。引っ越しや結婚で記載事項が変わっている場合は使えません。通知カードの代わりに送られている個人番号通知書は、番号確認書類としては使えない点に注意が必要です。
8つの必要書類は年明けすぐに集め始める
住宅ローン控除を受けるには、初年度だけ自分で確定申告をする必要があります。必要な書類は最大で8つあり、家の種類や資金の出どころによってはさらに増えるので、1つでも欠けると手続きが終わりません。
源泉徴収票が届き、年末残高等証明書もそろう1月に入ったら、まず手元の書類を並べて足りないものを洗い出してください。法務局や施工会社に頼む書類は届くまでに数日かかることもあるので、早めに動くほど還付も早く受け取れます。
住宅ローン控除の書類でよくいただくご質問
Q. 2年目以降の年末調整では、何を会社に出せばいいですか?
A. 初年度の申告後に税務署から届く住宅借入金等特別控除申告書(控除証明書)と、証明書方式なら金融機関の年末残高等証明書を勤務先に出します。控除証明書は残りの年数分がまとめて届くので、2年目以降の手続きのたびに使います。
Q. 夫婦のペアローンで借りています。確定申告は2人とも必要ですか?
A. はい、初年度は夫婦それぞれが自分の借入残高と持ち分に応じて確定申告をします。収入合算でも連帯債務なら2人とも申告できますが、連帯保証人として合算した人は控除を受けられません。2年目以降は、それぞれの勤務先の年末調整で手続きできます。
Q. 確定申告の添付書類はコピーでも大丈夫ですか?
A. 売買契約書や請負契約書、性能の証明書類はもともと写しを出す書類です。登記事項証明書も写しで代えられ、計算明細書に不動産番号を書けば添付自体を省けます。夫婦で申告する場合も、1通をそれぞれコピーして使えます。
ペアローンや連帯債務の違いは「ペアローン・連帯債務・連帯保証の違い」の記事で詳しく解説しています。
住宅ローンを借り換えても控除は続きます
住宅ローンを借り換えても、新しいローンが当初のローンを返すためのものであることが明らかで、借り換え後の償還期間が10年以上あれば、控除は引き続き受けられます(控除の年数自体は延びません)。残りの期間を短くしすぎて10年を切ると控除が受けられなくなるので、期間を縮める借り換えは特に慎重に考えてください。
2026年は日銀の利上げを受けて住宅ローン金利が全体に上がっており、かつてのように借り換えれば誰でも大きく得をする状況ではありません。それでも、以前の高い金利のまま返している方や、団信の保障を見直したい方には検討の余地があります。金利差・残高・残りの期間・諸費用を含めた総返済額で比べると、借り換える価値があるかどうか判断できます。
実際に申告する段階では、税務署や国税庁の最新の案内をご自身でも確かめてから手続きを進めてください。
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