様々なアンケート調査の結果を見ると、最近は住宅ローンを契約する約60%の方が変動金利を選んでいます。

変動金利は”将来金利があがるかもしれないタイプの住宅ローン”なので、10年後・20年後・30年後までに自分の組んでいる住宅ローンの金利があがるのかを気にしているはずです。

このページでは、20年後の住宅ローン金利の水準を予想すると共に、その根拠・理由について解説したいと思います。

過去20年の住宅ローンの金利推移は?

1991年のバブル景気崩壊の後、日本の政策金利は引き下げが相次ぎ、「失われた20年」と呼ばれる景気低迷が続いたことで、国内の金利は右肩下がりでした。

それに拍車をかけたのが2016年に実施されたマイナス金利政策の導入で、これにより日本の住宅ローンの金利水準は大幅に低下することとなります。

特に、ネット銀行間の金利引き下げ競争は激しく、歴史的低金利水準で住宅ローン金利が推移しています。

民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

上記は住宅ローンの基準金利の水準をグラフ化したものです。基準金利はかえずに、基準金利から優遇する幅を広げて実際に適用する住宅ローン金利を低くしている状況です。

長期金利の推移

次に、固定金利タイプの住宅ローン金利と相関性がある長期金利(10年も国債利回り)の推移を確認してみましょう。

長期金利は今から30年ぐらい前には5-6%程度でしたが、20年前には2%程度、10年前には1.5%程度と段階的に低下していました。一気に金利低下を加速させたのが2016年(平成28年)に日銀が導入したマイナス金利政策です。これにより長期金利が0%以下、つまり、マイナスの利回りまで低下しています。

下がり切った感があるため、長期金利の急上昇の可能性をほのめかすような内容で報道されることがありますが、金利が右肩上がりで上昇する可能性はほとんどなくなりましt。もともとなかったのに新型コロナウイルスによる経済活動の停滞により、さらに低金利が続く可能性が高まっています。

長期金利の推移・動向

直近の長期金利・短期金利の動向

長期金利の推移

2016年のマイナス金利政策導入以後、0.2%近くまで上昇した場面もありましたが、2019年に入ってからはマイナス圏で推移、9月に入り反転し、2020年に入ってからはプラス圏に復帰しています。

反転したと言っても、マイナス0.3%がゼロ%になるか、ならないかという低空飛行です。

長期金利の推移・動向(過去1年)

引用:三井住友銀行

短期金利の推移

次に変動金利の指標となる無担保コール翌日物の金利推移です。こちらも2016年のマイナス金利政策の導入でマイナスが定着していますが、マイナス金利政策以前の金利が年0.1%以下の水準であったため、変動幅は0.15%程度と極めて少ないものになっています。

無担保コール翌日物の金利推移

引用;日本銀行

金利の下落幅、引き下げ幅がほとんどない

以上、過去20年の金利推移を確認しましたが、マイナス金利政策で無担保コールも長期金利もマイナス圏での推移となっており、これ以上の金利引き下げ幅が状況です。現在、世界で最も内ナス金利政策を積極的に導入しているヨーロッパのスイスでも、長期金利はマイナス0.65%、ドイツでもマイナス0.50%程度です。こうしてみると日本の長期金利にも多少の引き下げ幅があると考えても良さそうですが、その幅はほとんどないと言ってよい状況です。逆にマイナス金利政策をより徹底することで金融機関の業績がより悪化するなどの副作用が目立ってくるようになると思われます。

アメリカでは2019年7月、9月、11月の合計3回、金利が引き下げられ、世界的に中央銀行が金利を引き下げる動きに出ていますが、日銀ではほとんど策がない状態であり、金利の引き下げようがないという状況に陥っています。

日本の経済状況が厳しいのは今後も変わらないと思われる

アベノミクスの名の下に大規模な金融緩和が実施されましたが、目標の物価2%上昇は達成されない状況であり、実現そのものが厳しい状況です。今後も日本経済は緩やかに衰退していくと当サイトでは推測しています。

下記にその根拠を解説していきたいと思います。

人口の減少

日本はすでに2011年から人口減少時代に入っており、2010年に1億2,800万人であった人口は、2040年には1億727万人と20年後には20%も人口が減少することとなります。この減少スピードは人類初と表現されるほどのものであり、人口減少に伴い急速な経済規模の縮小が間違いなく起こります。

今後20年の間に人口減少により経済的な縮小を穴埋めできるような移民政策の実現、新たな産業の確立はなかなか現実的に難しいと思われます。
日本の人口の予測

高齢化の進展

少子化と並び問題なのが、高齢化です。人口が20%減少しますが、人口に占める高齢者の割合は劇的に増加、高齢者率は36%にまで増加すると予測されています。2010年の高齢者率は23%でしたので、高齢者の割合が1.5倍にも増えることとなります。

高齢者は医療費や介護費など政府の財政負担が大きい一方、現役世代と比較して消費への貢献は少ないため、国家の経済として考えれば負担はより大きくなります。

これを穴埋めするために消費増税や社会保険料の値上げなどが今後も実施されることとなり、現役世代には大きな負担となってくるでしょう。

日本をリードするような新興企業が生まれていない

戦後、日本ではトヨタ、SONY、パナソニックなどの企業が世界で活躍する規模にまで拡大しました。この数十年でこうした規模の企業はファーストリテイリングやソフトバンクグループくらいしか思い浮かびませんね。

米国では旧来の産業が下火になるのに比例し、Facebook、Amazon、Google、Appleなどの世界的な企業が出現し、世界的な企業が生まれています。こうした企業が投資や移民を受け皿となり、経済発展に貢献しており、新陳代謝が進むことで経済全体が縮小することなく拡大を続けていますが、日本ではこうした循環がうまくできていません。

日本人の教育、雇用形態などざまざまな理由はあると思いますが、新興企業が多く出てきて、そうした企業の活躍がないと経済が縮小していくのは仕方の無いことと言えます。

景気がよくならないと原則的に金利は上がらない

景気が良くなることで中央銀行の金融緩和も縮小され、金利が上昇フェーズに移りますが、人口減少、高齢化、新興企業の不足など日本の抱えている問題は景気拡大にはなかなか結びつかず、残念ながら緩やかに衰退していくと考えるほうが妥当でしょう。こうしたことから日本で極めて金利が上がりにくい状況と言えます。

金利が上がるとみんなが困るはず

まず日本政府がとても困る

日本国政府は金利が上昇すると国債にかかる利払いが増加するため困ることとなります。平成31年度の国債残高は897兆円、利払いは8.8兆円になっています。国債残高が急増していますが、利払いは30年前に10兆円を超えていた事を考えると、いかに金利の低下が大きなインパクトを与えるかということが分かりますね。仮に金利が30年前と同じ6%もあれば、利払いは6倍にもなり、50兆円近い予算が必要となります。50兆円は日本政府の歳入とほぼ同じですので、いかに金利の低下が大きな意味を持っているかが分かります。逆に金利が上昇してしまうと利は利払いが急増することも分かりますね。現状金利は1%で予算組みされていますが、これが2%になれば、利払いだけで9兆円近い支出増ですので、国家財政には大きな影響を及ぼします。

国債の残高を見えると、景気の状況は抜きにして、日本政府は意図的に金利を低くしておかなければならない状況であることが理解できますね。

日本政府の国債残高

日本国民も困る

国民の代表的な借金と言えば住宅ローンです。新規で住宅ローンを借りる人の60%が変動金利を利用しているとされています。仮に2019年に3000万円の住宅ローンを年0.5%の変動金利で借りたものが、11年後に年2.5%に上がった場合の月々の返済額の違いを確認してみましょう。

 年0.5%のまま金利が変わらず11年後から年1.5%に金利が上昇
月々の返済額77,875円当初10年 77,875円

 

11年後以降 98,381円

総返済額32,712,944円38,818,332円

月々の返済が25%程度、約2万円増えることとなります。3,000万円の借入でこのインパクトですので借り入れ金額がより大きな場合にはより返済額の上昇が大きくなります。現在でも住宅ローンが原因で年間1万人の方が自己破産という道を選んでいるといわれています。金利が上昇することで自己破産する方が急増することは容易に想像できます。日本国民も金利が上昇するのは困る状況にあります。この点は政府・日銀も十分に理解しているでしょう。

20年後の住宅ローン金利を予測

当サイトでは20年後の住宅ローン金利も大きくは上昇しないと予想します。変動したとしても1%程度の上昇が限界ではないかと考えます。

今後20年間の住宅ローン金利の予想

変動金利年0.30%~年1.40%
10年固定金利年0.30%~年1.50%
35年固定金利年1.00%~年2.20%

特に今後5年程度は現状の住宅ローン金利から大きな変動はないと考えられますので、変動金利で住宅ローンを組むことがもっともコストを抑えることができる選択肢と言えるでしょう。

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金利は2020年5月時点