民間の銀行などの金融機関や住宅金融支援機構などが実施している調査結果を見ると、近年は住宅ローンを契約する人の7〜8割が変動金利タイプを選んでいます(住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」2026年1月調査では75.0%)。
この”住宅ローンの変動金利タイプ”は、将来、銀行側の判断で金利があがるかもしれないので、10年後・20年後・30年後に自分の組んでいる住宅ローンの金利があがるのかが気になることがあります。実際、2024年以降は日銀の利上げを受けて変動金利の上昇が始まっており、この不安はいよいよ現実のものになりつつあります。
このページでは、20年後の住宅ローン金利の水準を予想すると共に、その根拠・理由について解説したいと思います。

上記は、2025年4月にSNS「X」に投稿された、auじぶん銀行の住宅ローン利用者による反応です。auじぶん銀行は、これまで“業界最低水準”の低金利を前面に打ち出し、住宅ローンの貸出を拡大してきました。
しかし、2025年以降は周辺の銀行と比べても速いペースで住宅ローン金利が引き上げられており、利用者の間では返済負担の増加に戸惑う声も見られます。金利上昇局面では、これまで低金利で注目されていた銀行ほど、見直し後の金利水準に対する反応が大きくなりやすい点には注意が必要です。
一方で、SBI新生銀行は、比較的金利の引き上げを抑えていることから、相対的な魅力が高まっています。住宅ローンは、借入時の金利だけでなく、金利見直し後の水準や団信、手数料、返済ルールなどを総合的に比較することが大切です。
どの住宅ローンを選ぶ場合でも、各金融機関の最新金利や商品内容を確認しておくことは重要です。注目を集めている住宅ローンについては、金利水準だけでなく、保障内容やキャンペーンの有無もあわせてチェックしておきましょう。

目次
過去20年の住宅ローンの金利推移は?
1991年のバブル景気崩壊の後、日本の政策金利は引き下げが相次ぎ、「失われた20年」と呼ばれる景気低迷が続いたことで、国内の金利は右肩下がりでした。
それに拍車をかけたのが2016年のマイナス金利政策の導入で、これにより日本の住宅ローンの金利水準はさらに低下しました。
特に、ネット銀行が積極的に住宅ローン金利を引き下げることでメガバンクも巻き込んだ住宅ローン金利引き下げ合戦が起きていました。結果的に歴史的低水準で住宅ローン金利が推移してきました。
2024年頃までは、SBI新生銀行やauじぶん銀行などが積極的に変動金利を引き下げ、年0.2%台の変動金利を目にすることも珍しくありませんでした。しかし、日銀の利上げを受けて各行は変動金利の基準金利を引き上げており、2026年時点では、新規借入の変動金利はおおむね年1%前後が中心になっています。

上記は住宅ローンの基準金利の水準をグラフ化したものです。長らく「基準金利は変えずに、基準金利からの優遇幅を拡大して適用金利を低くする」形が続いてきましたが、2024年以降はこの基準金利そのものを引き上げる動きが各行で相次いでいます。
長期金利の推移
次に、固定金利タイプの住宅ローン金利と相関性がある長期金利(10年もの国債利回り)の推移を確認してみましょう。
長期金利は今から30年ぐらい前には5-6%程度でしたが、20年前には2%程度、10年前には1.5%程度と段階的に低下していました。一気に金利低下を加速させたのが2016年(平成28年)に日銀が導入したマイナス金利政策です。
その後、2020年以降に発生したコロナ禍で世界各国で大規模な財政支出と金融緩和が実施されると景色が一変します。世界各国で高いインフレが発生し、各国の中央銀行が大幅な利上げを実施。日本でも2024年3月にマイナス金利政策が解除され、その後、2024年7月に0.25%、2025年1月に0.5%、2025年12月に0.75%、そして2026年6月には1.0%程度と、政策金利の引き上げが段階的に進みました。1.0%の政策金利は1995年以来、約31年ぶりの水準です。
主要国と比べれば日本の金利水準はなお低めですが、「ゼロ金利が当たり前」だった時代は終わりました。長期金利(10年国債利回り)は2025年12月に約20年ぶりに2%台へ上昇し、2026年7月には一時2.9%台を付ける場面もありました。足元では2.8%台半ばまで水準を切り上げています(2026年8月上旬時点)。

引用;財務省
直近の長期金利・短期金利の動向
長期金利の推移
日本では、2022年12月に日銀がYCC(イールドカーブコントロール)と呼ばれる金融政策の修正を行ったのち、2024年3月にマイナス金利政策の解除が決定され、長期金利の上昇傾向が続いています。これを受けて、フラット35(買取型・融資率9割以下・返済期間21年以上)の最頻金利も2026年6月には年3.21%と、現行制度になって以来初めて3%を超えました。7月は年3.14%といったん低下したものの、2026年8月は年3.290%と再び上昇し、現行制度になった2017年10月以降で最も高い水準を更新しています。
日銀は「経済・物価情勢の改善に応じて政策金利を引き上げていく」方針を示しており、市場では2026年中のさらなる追加利上げも見込まれています。2026年8月5日に公表された6月会合の議事要旨でも、引き続き政策金利を引き上げていくことが適当との認識で一致したことが示され、委員の一人からは「中立金利は2%程度と考えられ、数カ月に一度のペースで利上げを検討していくことが望ましい」との意見も出ています(委員個人の意見であり、日銀として決定した方針ではありません)。一方で、急ピッチの連続利上げを予想する見方は多くありません。
短期金利の推移
次に変動金利の指標となる無担保コール翌日物の金利推移です。2016年のマイナス金利政策の導入でマイナス圏が定着していましたが、2024年3月のマイナス金利解除でプラス圏に復帰し、2026年6月16日の追加利上げで誘導目標は1.0%程度まで引き上げられました。これに合わせて各銀行は変動金利の基準金利を引き上げており、住宅ローンの変動金利は実際に上昇が始まっています。
さらに、三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行の3メガバンクは、変動金利の目安となる短期プライムレートを2026年8月3日に年2.125%から年2.375%へ引き上げました。変動金利への波及はこの先も続く見込みです。なお、基準金利の見直し時期や既存の借入への反映時期は銀行ごとに異なります(例えば三菱UFJ銀行は2026年9月1日から変動金利の基準金利を見直すと告知しています)。ご自身のローンにいつ反映されるかは、お借り入れ先の公式サイトでご確認ください。

日本においては急激な金利上昇が考えづらい
以上、過去20年の金利推移を確認しましたが、世界各国のインフレ率と比較すると日本のインフレは相対的に抑えられており、人口減少、需要減などの構造的な問題から、金利をどんどん引き上げ続けられる環境にはないと考えられます。
とはいえ、マイナス金利政策の解除から実際に利上げが段階的に進み、「金利のある世界」に戻ってきているという大きな潮流の変化には注目していくことが必要です。
日本の経済状況が厳しいのは今後も変わらないと思われる
コロナ禍の世界各国の財政支出と金融緩和により高いインフレを記録し、各中央銀行も利上げを積極的に行ってきました。
日本においても世界的なインフレを受けたコストプッシュ型のインフレが起きており、日銀が2013年から掲げてきた2%の物価上昇を達成し、2024年3月にマイナス金利政策が解除され、2026年6月までに政策金利は1.0%程度まで引き上げられています。
ただし、日銀も利上げはあくまで段階的に進める姿勢です。日本で金利が急激に上がりにくいと考えられる構造的な理由を、下記に解説していきたいと思います。
人口の減少
日本はすでに2011年から人口減少時代に入っており、2010年に1億2,800万人であった人口は、2040年には1億727万人と20%も人口が減少することとなります。この減少スピードは人類初と表現されるほどのものであり、人口減少に伴い急速な経済規模の縮小が間違いなく起こります。

今後20年の間に人口減少により経済的な縮小を穴埋めできるような移民政策の実現、新たな産業の確立はなかなか現実的に難しいと思われます。
高齢化の進展
少子化と並び問題なのが、高齢化です。人口が20%減少しますが、人口に占める高齢者の割合は劇的に増加、高齢者率は36%にまで増加すると予測されています。2010年の高齢者率は23%でしたので、高齢者の割合が1.5倍にも増えることとなります。
高齢者は医療費や介護費など政府の財政負担が大きい一方、現役世代と比較して消費への貢献は少ないため、国家の経済として考えれば負担はより大きくなります。
これを穴埋めするために消費増税や社会保険料の値上げなどが今後も実施されることとなり、現役世代には大きな負担となってくるでしょう。
世界を牽引するような新興企業が生まれていない
戦後、日本ではトヨタ、SONY、パナソニックなどの企業が世界で活躍する規模にまで拡大しました。この数十年でこうした規模の企業はファーストリテイリングやソフトバンクグループくらいしか思い浮かびませんね。
米国では旧来の産業が下火になるのに比例し、Facebook、Amazon、Google、Appleなどの世界的な企業が出現しています。こうした企業が投資や移民の受け皿となって経済発展に貢献し、新陳代謝が進むことで経済全体が縮小することなく拡大を続けていますが、日本ではこうした循環がうまくできていません。
日本人の教育、雇用形態などさまざまな理由はあると思いますが、新興企業が多く出てきて、そうした企業の活躍がないと経済が縮小していくのは仕方の無いことと言えます。
景気がよくならないと原則的に金利は上がらない
景気が良くなることで中央銀行の金融緩和も縮小され、金利が上昇フェーズに移りますが、人口減少、高齢化、新興企業の不足など日本の抱えている問題は景気拡大にはなかなか結びつかず、残念ながら緩やかに衰退していくと考えるほうが妥当でしょう。こうしたことから、日本では金利が急ピッチで上がり続けることは考えにくい状況と言えます。
金利が上がるとみんなが困るはず
まず日本政府がとても困る
日本国政府は金利が上昇すると国債にかかる利払いが増加するため困ることとなります。普通国債の残高は令和8年度(2026年度)末には約1,145兆円に達する見込みで、令和8年度予算の利払費は約13.0兆円と過去最大になっています(令和7年度当初は10.5兆円)。国債残高がこれだけ積み上がっても利払いを抑えられてきたのは、ひとえに超低金利のおかげでした。それが「金利のある世界」に戻ったことで、利払費は毎年度兆円単位で膨らみ始めており、国家財政に大きな影響を及ぼしています。
国債の残高を見ると、景気の状況は抜きにして、日本政府としては金利が大きく上がっては困る状況であることが理解できますね。

日本国民も困る
国民の代表的な借金と言えば住宅ローンです。新規で住宅ローンを借りる人の75.0%が変動金利を利用しています(住宅金融支援機構・2026年1月調査)。仮に3,000万円の住宅ローンを年0.5%の変動金利・35年(元利均等・ボーナス払いなし)で借りていて、11年目から金利が年2.5%に上がった場合の月々の返済額の違いを確認してみましょう。
| 年0.5%のまま金利が変わらず | 11年目から年2.5%に金利が上昇 | |
| 月々の返済額 | 77,876円 | 当初10年 77,876円
11年目以降 98,504円 |
| 総返済額 | 約3,271万円 | 約3,890万円 |
月々の返済が約26%、2万円ほど増えることとなります。3,000万円の借入でこのインパクトですので、借入金額がより大きな場合には返済額の上昇もさらに大きくなります。金利が上昇すれば返済に行き詰まる世帯が増えることは容易に想像でき、この点は政府・日銀も十分に理解しているでしょう。だからこそ、利上げは経済・家計の状況を見ながら段階的に進められています。
20年後の住宅ローン金利を予測
当サイトでは、20年後の住宅ローン金利は「金利のある世界」が定着するものの、かつてのような高金利には戻らないと予想します。2026年8月時点で変動金利はおおむね年1%前後〜1%台前半、フラット35の最も多い金利は年3.290%となっていますが、ここからさらに急ピッチで何%も上がり続ける可能性は低いと考えます。
今後20年間の住宅ローン金利の予想
| 変動金利 | 年1.0%~年2.0%程度 |
| 10年固定金利 | 年2.5%~年4.0%程度 |
| 35年固定金利 | 年3.0%~年4.5%程度 |
※2026年8月時点の情報にもとづく当サイトの見方です。市場では政策金利の最終到達点(ターミナルレート)を年1.5〜2%程度とみる予想が中心で、変動金利もそれに応じて段階的に上がる可能性はありますが、人口減少などの構造要因を踏まえると、急激に3%、4%へ上がっていくことは考えにくいと見ています。
変動金利と全期間固定金利の差は現在2%程度あり、引き続き変動金利でコストを抑える選択が有力です。ただし、かつてのように「変動一択」と言い切れる環境ではなくなりました。金利上昇が不安な方は、固定金利とのミックスや、返済額に余裕を持たせた借入額の設定もあわせて検討しましょう。
低金利な主な変動金利
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金融機関 |
主な特徴 |
| auじぶん銀行の住宅ローン | がん50%保障・全疾病保障などが無料で付帯(借入時50歳以下) |
| ソニー銀行 | がん団信50が無料で付帯(加入時満50歳未満)、取扱手数料は44,000円(税込)~ |
| ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)(WEB申込コース) | 全疾病保障が無料で付帯。 |
| SBI新生銀行の住宅ローン | 保証料0円・一部繰上返済手数料0円。SBIハイパー預金の開設者向けに金利優遇プログラムあり(条件は公式サイトでご確認ください) |