結論:公務員の方は雇用と収入の安定性が高く評価されるため、住宅ローン審査では有利になりやすい職業です。ただし共済貸付は限度額1,800万円(地方職員共済組合・2026年9月時点)と単独ではマイホーム資金に足りず、ろうきんは保証料込みで比べるとネット銀行より高めになりやすいのが実情です。共済貸付・ろうきん・ネット銀行を必ず並べて比較し、信用力を活かして条件のよい住宅ローンを選ぶことをおすすめします。

このページでは、公務員の方からFPとしてよくいただく「住宅ローンはどこで借りるのがよいですか?」というご相談にお答えする形で、公務員におすすめしたい住宅ローンの紹介・比較をしています。

公務員は安定的な収入が得られるとされる代表的な職業で、「勤務先」の経営不安もなく退職金制度も充実しており、住宅ローン審査にも有利だと言われています。

そうした公務員の方が本当に住宅ローン審査に有利なのか、また共済貸付・ろうきんとの比較や、選ぶべき住宅ローンのポイントについて見ていきたいと思います。

この特集記事を執筆・監修したフィナンシャルプランナー

住宅ローンアドバイザー


ファイナンシャルプランニング技能士
経営管理専攻修了(MBA)
住宅ローンアドバイザー
株式会社イジット 代表取締役

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公務員は住宅ローン審査に有利=雇用と収入の安定性が評価される

公務員が住宅ローンの審査に通りやすい主な理由は、その職業の安定性と予測可能性にあります。

主なポイントは以下のようになります。

  1. 勤務先の倒産リスクの低さ
    公務員は政府・地方自治体の機関で働いているため、民間企業と比較して勤務先が倒産するリスクがほぼありません。住宅ローンの審査では、申込者の雇用安定性が重要な要素となります。公務員はこの点で高い評価を受けやすく、審査に有利に働く傾向があります。
  2. 給与の安定性
    公務員の給与は、民間企業と比べて景気の変動による影響を受けにくい傾向にあります。民間企業の場合、経営状況・経済状況によって給与が変動することがありますが、公務員の給与は一般的に安定しています。このため、住宅ローンの長期間にわたる支払いを継続的に行う能力があると見なされやすいです。
  3. 継続的な支払い能力
    前述の点から、公務員は継続的に安定した収入を得られると見なされます。このため、住宅ローンの返済に関しても、民間企業に勤める人よりもリスクが低いと判断されやすいです。金融機関はリスクを最小限に抑えたいと考えているため、このような安定した収入源は審査において非常に好ましい要素となります。

これらの理由により、公務員の方々は住宅ローンの審査において有利な立場にあると言えます。安定した収入と雇用の安全性は、金融機関にとって返済リスクを低減する重要な要素です。

なお、人事院の資料(令和8年度)によると、国内の公務員は約340.7万人(国家公務員 約59.3万人・地方公務員 約281.4万人)です(出典:人事院「人事院行政リーフレット 令和8年度」)。

国家公務員約59.3万人・地方公務員約281.4万人の棒グラフ
総計 約340.7万人。国家公務員は令和8年度末予算定員、地方公務員は令和6年4月1日地方公務員給与実態調査(一般職)。

公務員向けの優遇がある住宅ローンは、昭和の時代には多く存在していたようですが、平成・令和と時代の移り変わりと共に、急激に取り扱いが減っているようです。

(長く続いた低金利の時代に住宅ローン金利の水準自体が大きく下がり、公務員向けに特別な金利優遇を行う意味が薄れたという事情もあります。2024年以降は日本銀行の利上げで金利は上昇局面に転じていますが、金融機関どうしの金利競争そのものは続いています。)

こうした状況を残念に思う方もいるかもしれませんが、決して悲観する必要はありません。ネット銀行を中心に住宅ローンの商品性を競う状況は続いており、公務員という高い信用力を活かして、条件のよい住宅ローンに積極的に審査申し込みをしていくべきではないでしょうか。

非常勤・会計年度任用職員は「契約社員」として審査されることがある

役所や公的な機関で働いていても非常勤で働いている場合には金融機関の審査基準により非正規雇用という振り分けがされ、契約社員という分類で住宅ローン審査が行われることになります。

内閣人事局の統計(令和7年7月1日現在)では、一般職の国家公務員は常勤職員 約27.0万人に対して非常勤職員が約15.2万人と、おおむね3人に1人が非常勤という規模で、決して少数派のことではありません(出典:内閣官房内閣人事局「一般職国家公務員在職状況統計表」)。

銀行によっては、契約社員の住宅ローン審査を対象外としている場合もあり、注意が必要です。銀行ごとの扱いは契約社員・嘱託社員の住宅ローン審査|通る金融機関の記事で詳しく整理しています。

非常勤で働いている方は、ろうきんやフラット35(SBIアルヒなど)などの住宅ローンへの申込も必ずしておくと良いでしょう。2026年9月月現在、これらの住宅ローンであれば雇用形態にかかわらず申し込み自体は可能です(フラット35は雇用形態よりも収入の安定性・返済負担率で判断されます)。

公務員におすすめなのは「低金利+疾病保障」を両立する住宅ローン

継続的な年収を得られる見込みがあることが住宅ローン審査には重要な観点となるため、『安定している』とされる公務員は最も住宅ローン審査に有利な職業と言っても過言ではありません。

こうした審査に有利なことをぜひ活用し、金利が低い、疾病保障が充実しているという住宅ローンを積極的に選んでいただければと思います。

住宅ローン比較をすることなく、日ごろメインバンクとしている地銀の住宅ローンだけに申し込みをするのは公務員としてのメリットを生かしきれず、結果的に住宅ローンの返済額が大きくなる可能性が高いでしょう。

公務員の方にぜひ検討してほしいのが、低金利と充実した疾病保障を両立しているネット専業銀行です。たとえばPayPay銀行では、がんと診断確定されると住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障団信」を年0.100%の金利上乗せで付帯でき、ソニー銀行の「がん団信50」のように金利上乗せなしで同種の保障を付けられる銀行もあります(いずれも2026年9月時点・加入時年齢などの条件あり)。こうした保障の選択肢の広さは、地銀・信金との比較で大きな違いになります。

PayPay銀行の住宅ローンの審査申し込み(無料)はこちら

公務員はいくら借りられる?フラット35の返済負担率で試算

次に、公務員の方がいくらの住宅ローンを借りられるのか、フラット35(借入期間35年)を例に借入額の上限の目安を一覧にしています。

フラット35は「年収に占める年間返済額の割合(総返済負担率)」の基準が公表されており、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下です。この基準と2026年9月のフラット35金利(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下・団信込みの最多金利:年3.460%)をもとに、筆者が試算しました。

年収借入額の上限の目安(フラット35・35年返済)
300万円約1,820万円
400万円約2,840万円
500万円約3,550万円
600万円約4,260万円
700万円約4,970万円
800万円約5,680万円
900万円約6,390万円
1,000万円約7,100万円

※2026年9月のフラット35金利(年3.460%・21年以上35年以下・融資率9割以下)で筆者試算(元利均等・ボーナス返済なし)。金利の出典:住宅金融支援機構「【フラット35】最新の金利情報」。他の借入(自動車ローン等)がある場合はその分減ります。なお、フラット35の融資限度額は2026年4月実行分から8,000万円→1億2,000万円に引き上げられています。

※銀行の変動金利型は、実際の適用金利ではなく各行独自の「審査金利」で返済負担率を計算するため、借入可能額は銀行ごとに異なります。正確な金額は各行の公式シミュレーションでご確認ください。

フラット35の金利は2026年8月の年3.290%から9月は年3.460%へと2か月連続で上がり、同じ年収でも借入可能額の目安は8月時点より数十万円小さくなりました。「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物です。年収別の目安は年収別の住宅ローン借入可能額と目安額でも詳しく試算していますので、月々の返済額もしっかり確認したいところですね。

共済貸付・ろうきんは「比較の土台」に置いて他と並べる

次に、公務員の方が共済貸付やろうきんで住宅ローンを借りることのメリット・デメリットを紹介していきたいと思います。

共済貸付は金利が低くなったが限度額1,800万円が壁

まず、共済貸付についてです。結論から先に申し上げると、借入限度額が少額のため、共済貸付だけでマイホームの購入資金をまかなうのは難しいのが実情です。

地方公務員の「地方職員共済組合」の住宅貸付は、2026年9月時点で限度額1,800万円、貸付金利率は年1.260%(弁済期間360月以内)となっています。連帯保証人・保証料・抵当権設定が不要で、繰上返済手数料もかからない点はメリットです(出典:地方職員共済組合「貸付事業の詳細」)。貸付額は給料月額×組合員期間に応じた月数の範囲内で、たとえば組合員期間1年以上6年未満なら7か月分(最低保障額100万〜400万円)にとどまるため、若手のうちは限度額1,800万円まで借りられるとは限らない点にもご注意ください。

かつて(ネット銀行の変動金利が0.3%前後だった頃)は「共済貸付の金利は変動金利の4倍」といえるほど割高でしたが、2026年は金利上昇でネット銀行の変動金利もおおむね年1.0%前後〜1.7%台(新規・最優遇。銀行により異なる・2026年9月時点)まで上がっており、金利差は逆転に近いところまで縮小しました。銀行によっては共済貸付の年1.260%のほうが低い場合もあります。それでも限度額1,800万円では土地+建物の資金としては不足しがちなため、共済貸付は「単独でのマイホーム資金」ではなく、頭金の補完など部分的な活用を検討するのが現実的でしょう。

ろうきんの住宅ローンは金利と保障をセットで比較を

次に、ろうきんの金利を確認してみましょう。徳島県を含む四国4県を営業エリアとする四国ろうきんでは、2026年9月1日現在、変動金利型(キャップ住宅ローン)の適用年利率は引き下げ後で年1.520%から(労働組合等の組織会員かどうかで引き下げ幅が異なります)で、これとは別途、保証料(年0.10%〜0.36%)が必要です。7月の年1.270%から8月に引き上げられた水準が9月も据え置かれており、保証料と合計すると、ネット銀行の変動金利と比べて高めの水準になりやすい状況です(出典:四国ろうきん「金利」)。

また、PayPay銀行やソニー銀行、SBI新生銀行など、ネット銀行・新しい形態の銀行では、がん保障などの疾病保障を無料または小さな金利上乗せで付帯できるのが「当たり前」になっていますが、ろうきんの基本の団信にはそうした保障が標準では付いていないことも考慮すると、割高になりやすいと言ってよいでしょう(四国ろうきんにも3大疾病特約等のオプションはあります)。ろうきんの会員区分や団信の仕組みはろうきんの住宅ローンを徹底解説!会員優遇・団信・金利の仕組みにまとめています。

四国ろうきんの融資金利一覧(公式サイト)
出典: 四国ろうきん 公式サイト「金利」(2026年9月時点)

繰り返しになりますが、公務員という職業の信用力を最大限活用するなら、共済貸付やろうきんの住宅ローンは「まず比較の土台」に置きつつ、必ずネット銀行など他の選択肢と並べて検討したほうが良いでしょう。金利上昇局面で差は縮まったものの、保障まで含めた総合力ではなお見劣りする場面が多いのが実情です。

がんと診断されると住宅ローン残高が半分になる保障を、金利上乗せなしで付けられるソニー銀行(がん団信50)や、年0.100%の上乗せで付けられるPayPay銀行と比較すると、その差は小さくないといえます。

公務員の住居手当は月額最大28,000円=購入後は出なくなる

国家公務員は、月額16,000円を超える家賃を払っている場合に月額最大28,000円の住居手当を受けることができます(2026年9月時点。地方公務員は自治体の条例により上限が異なります)。

35年間(420ヶ月)で1,176万円の手当てになる計算です。

この手当ては賃貸住宅を借りている際に出るもので、住宅購入後は出なくなるので注意が必要です。

定年退職後の家賃などもしっかり加味してマイホームを購入すべきか検討する必要がありそうですね。

公務員の住宅手当

公務員の住宅ローンに関するFAQ(よくいただくご相談)

FPとして公務員の方からよくいただくご質問をまとめました。

Q. 共済貸付と銀行の住宅ローンは併用できますか?

A. 制度上は併用可能なケースが多いです。地方職員共済組合の住宅貸付は抵当権設定が不要のため、銀行ローンの担保と競合しません。ただし、銀行側の審査では共済貸付も「他の借入」として返済負担率に算入されるため、借入可能額はその分減ります。併用を考える場合は、申込前に銀行・共済組合の両方へ確認しておくと安心です。

Q. 会計年度任用職員(非常勤)ですが、住宅ローンは組めますか?

A. 銀行によっては非正規雇用として審査対象外となる場合がありますが、フラット35のように雇用形態を問わず収入の安定性で判断する住宅ローンもあります。勤続年数や収入の見通しを整理したうえで、フラット35やろうきんを含めて複数の選択肢に申し込むことをおすすめします。

Q. 2026年9月時点で金利はどう動いていますか?変動と固定のどちらを選ぶべきですか?

A. 2026年9月は三菱UFJ銀行(変動 年1.195%)と三井住友銀行(同 年1.525%)が新規の変動金利を引き上げた一方、据え置いた大手行もあり、「いつ・どれだけ上がるか」は銀行の判断で分かれています。変動金利が上がっても返済額への反映時期は銀行・契約タイプで異なります(三菱UFJ銀行の毎月型は2026年11月の返済分から)。フラット35は9月に年3.460%(21年以上・融資率9割以下の最多金利)へ2か月連続で上がり、現行制度になった2017年10月以降で最も高い水準です。日本銀行の次回の金融政策決定会合は9月17〜18日で、結果は18日に公表されます。雇用が安定している公務員は金利変動リスクへの耐性が比較的高い一方、教育費など今後の支出も踏まえて「返済額が増えても家計が耐えられるか」で選ぶのがFPとしてのおすすめです。変動金利の5年ルール・125%ルールは変動金利型住宅ローンとは?5年ルール・125%ルールをFPが解説で確認しておきましょう。

Q. 公務員なら頭金なしでも審査に通りますか?

A. 職業だけで頭金の有無が免除されるわけではありません。多くの銀行は物件価格の全額(銀行によっては諸費用込み)まで融資しますが、審査では返済負担率と物件の担保評価で判断されます。フラット35は融資率9割超だと金利が高くなる(2026年9月は9割以下 年3.460%、9割超 年3.570%)ため、自己資金1割の有無で総返済額が変わる点は押さえておきましょう。

公務員の住宅ローンはどこがいい?おすすめの住宅ローン

最後に公務員の方におすすめの住宅ローンを一覧でご紹介したいと思います。

SBI新生銀行の住宅ローン 保証料・一部繰上返済手数料が0円で、一般団信に加えて全疾病保障付団信も金利上乗せ0円で選べる(2026年9月時点)。店舗相談とオンラインの両方に対応し、変動金利から長期固定金利まで金利も競争力あり。
PayPay銀行

がんと診断確定で住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障団信」を年0.100%上乗せで付帯可能。ネット銀行らしい低金利が魅力。

SBIアルヒのフラット35

長期固定型住宅ローンの決定版フラット35。実行件数シェア27.7%(2025年度)で16年連続No.1のSBIアルヒ。
※2010年度-2025年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2026年3月末現在、SBIアルヒ調べ)
雇用形態を問わず申し込みやすい。

最後に

今回は公務員の住宅ローンに関する情報をまとめました。

公務員という職業面で高い信用力を持つことを活用し、ご自身にあった住宅ローンを妥協せず選ぶことが可能だと思われます。

地銀や信用金庫、また本ページで細かくみたろうきんや共済貸付など従来型の住宅ローンと、ネット銀行・新しい形態の銀行とでは、金利だけでなく団信・保障や手続きのしやすさまで含めた総合力に差がある状況は、金利上昇局面となった今も大きくは変わっていません。金利・保障は随時見直されるため、申込前に必ず各金融機関の公式サイトで最新の条件をご確認ください。