住宅ローン相談 FP
FPさんに「問題なく返済していけますよ」と言われて家を買ったのに…数年後に手放すことに。こうならないために、資金計画は誰に頼むかが大切です。

メールでの無料相談に寄せられたお悩みを、ご本人の了承のうえで紹介します。住宅ローンの資金計画を「誰に」してもらうべきか、というFPとしてよくいただくご相談です。

いただいたお悩みは以下の通りでした。

都心でのマンション購入について

これから第一子出産予定の共働き夫婦です(ともに30代前半)。仮に税込み年収を主人700万円・妻400万円とし、今後は保守的に横ばいと考えた場合、5,250万円の住宅ローンを組むのは無理がないか(現状では固定と変動のミックスを検討)心配しています。

購入予定物件は6,000万円です。それなりの貯蓄はあるつもりですが、堅実に老後へ備えた貯蓄を続けていけるのか不安です。第一子のみであれば問題なさそうな結果は出ていますが、第二子を授かった場合や、金利が上がってきた場合も大丈夫なのか、考えるときりがありません。

手取り(年収×0.8)の20%以内の借り入れに抑えた方が賢明でしょうか?リスクを取るのが苦手で、恐怖を覚えすぎて買える物件を見送ることにもなりかねず迷っています。

以下、私の回答です。

買いたいマンションはあるけれど、先のことを考えると踏み切れない、というご相談ですね。とても堅実で、こうして立ち止まって考えられること自体が大きな強みです。

まず大前提として、もし資金計画が住宅会社、あるいは住宅会社から紹介されたFPによるものなら、その結果は一度脇に置いて、ご自身でも確かめることを強くおすすめします(理由は後半で詳しく説明します)。

当サイトでダウンロードできるひな形をもとに、ご自身でキャッシュフロー表を作ってみてください。購入して大丈夫かどうか、第二子が生まれた場合はどうか、ご自身の手で確認できるはずです。数字を自分で並べてみると、漠然とした不安が「どこが不安なのか」までクリアになります。

収入については「生涯横ばい」と決めつけない方がよいでしょう。保守的に見積もるのは大切ですが、最初から増えない前提で生活設計を縛りすぎる必要はありません。

固定と変動のミックスは、メリットが分かりにくく中途半端になりやすいので、私はおすすめしていません。理由はこちらの記事で詳しく説明しています。
住宅ローンを変動と固定のミックスにすると後悔しやすい理由とは?

購入予定のマンションがフラット35Sに対応しているなら、全期間固定で返済額を確定できるフラット35(S)も有力な選択肢です。リスクを取るのが苦手という方には、返済額が変わらない安心は大きな価値があります。

なお、ご相談をいただいた2015年3月当時のフラット35Sは年0.870%と、変動金利と大きく変わらない水準でした(当初期間終了後も1.470%と低め)。ただし、その後の金利環境は大きく変わっています。2026年8月時点では、フラット35(買取型・返済期間21〜35年・融資率9割以下)の最頻金利は年3.290%です。前月(2026年7月)の年3.140%から0.150%上がり、当時と比べれば固定金利はかなり高い水準にあります。フラット35Sを検討する場合も、必ず最新の金利を公式(住宅金融支援機構)でご確認ください

また、貯蓄はできるだけ手元に残しておく考え方も大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
本当に賢い住宅ローン返済方法は、繰上げしない・長く借りる?その理由

運用が怖いと感じる場合は、「運用しないこと(現金のまま持ち続けること)のリスク」もあわせて考えてみてください。物価高が続く局面では、現金の価値が目減りする面もあります。

ハウスメーカーや工務店が紹介してくれたFPの資金計画なら安心?

ハウスメーカーや工務店からFPを紹介してもらい、そのFPに資金計画をしてもらうケースはよくあります。一見、資金計画をしっかりしてくれてありがたいことのように思えます。

しかし、紹介元の利益と相談者の利益が一致しない場合がある点には注意が必要です。もちろん、購入後に返済で苦しまないようにという良心的な理由で信頼できるFPを紹介している会社もあります。ただ、構造として次の2つのリスクがあることは知っておいてください。

理由1:紹介元(ハウスメーカー・工務店)に不利なことは言いにくい立場にある

住宅会社が見込み客にFPを紹介して資金計画をしてもらう目的の一つは、「住宅ローン返済への不安を解消して、購入に踏み切ってもらうこと」です。

そのため、本当は予算的に厳しい相談者に対しても、紹介されたFPは「ご予算的に難しいですね」とは言いにくい立場にあります。FPにとっても、住宅会社は相談者を紹介してくれる大切な取引先だからです。「あなたには無理です」と言って紹介元の見込み客をつぶすことは、自分の収入源を断つことにもつながりかねません

この構造が生まれる一番の原因は、FPが自分でクライアントを集めて生活していく基盤が弱いことにあります。その基盤がある独立系のFPなら、紹介元への遠慮なく中立的な助言ができます。

理由2:相談の目的が「資金計画」ではなく「保険販売」になっている場合がある

日本でFPと名乗って活動している人の多くは、保険の販売を主な収入源にしています。そのこと自体が悪いわけではありませんが、保険を売ることが目的になると、資金計画の結果が「保険を売るためのこじつけ」になってしまうことがあります。

実際、私のところへ相談に来られる方の中には、すでに他のFPに相談したあとの方も少なくありません。そうした方が加入している保険・提案された保険を拝見すると、必要性の薄いものが含まれていることがよくあります。

予期せぬ出費への不安から保険に入るわけですが、そのために毎月の保険料で家計のお金を減らし続けては本末転倒になりかねません。「その保険は本当に必要か」「公的保障や貯蓄でまかなえないか」を一度立ち止まって考えてみてください。マイホーム購入は、保険を見直す絶好のタイミングでもあります。

マイホーム購入に際して見直すべき保険については、こちらで詳しく解説しています。

頭金なしでマイホームを買うために見直したい3つの保険

FPからのワンポイント:誰に相談するかの見分け方

資金計画を頼むFPを選ぶときは、次の3点を確認すると失敗しにくくなります。

  • 相談料の出どころ:相談者から相談料をいただく独立系か、紹介元や保険会社から報酬を得ているか。
  • 「やめた方がよい」と言ってくれるか:予算オーバーや無理なローンに、はっきり「待った」をかけてくれるFPは信頼できます。
  • キャッシュフロー表を一緒に作ってくれるか:結論だけでなく、根拠となる数字を一緒に確認してくれるか。

地方では地銀・信用金庫の担当者やハウスメーカー経由の相談が身近ですが、住宅ローンと家計は分けて、中立的な立場の相談相手にも一度見てもらうと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 「年収の○倍まで」「手取りの20%以内」という目安は信じていい?

A. あくまで出発点の目安です。同じ年収でも、お子さまの人数・教育方針・車の保有台数・老後の備え方で、無理のない借入額は大きく変わります。目安だけで決めず、ご自身のキャッシュフロー表で「第二子が生まれた場合」「金利が上がった場合」まで試算することをおすすめします。

Q. 金利が上がっている今、固定と変動どちらがいい?

A. 2026年8月時点でフラット35(返済期間21〜35年・融資率9割以下)の最頻金利は年3.290%と高めです。変動金利も日銀の利上げ(2026年6月に政策金利は1.0%程度へ引き上げ。7月30・31日の会合では据え置き)を受けて上昇しはじめています。当編集部が2026年8月に主要14の金融機関・機関の公式金利ページを実際に確認し、127件の適用金利を集計したところ、前月と比較できた127件のうち102件が引き上げ、据え置きは23件でした(当社調べ・2026年8月4日確認)。うち変動金利は27件中23件が据え置きでしたが、4件は引き上げられており、最優遇の水準も年0.9%台から1.3%台まで銀行によって差が広がっています。それでも固定の価値は「返済額が変わらない安心」にあります。リスクを取るのが苦手な方や、教育費の増える時期に返済額を確定させたい方は固定が向きます。一方、当面の金利の低さを優先するなら変動も選択肢ですが、変動を選ぶ場合は「金利がさらに上がっても返済を続けられる余力」をキャッシュフロー表で確かめておくことが大切です。どちらが正解ということはなく、ご家庭の余力と性格で選ぶのが基本です。最新の金利は各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。

Q. ハウスメーカー紹介のFPに相談してはいけないの?

A. 全てがダメというわけではありません。良心的なFPを紹介している会社もあります。大切なのは「結論をうのみにせず、自分でも確かめる」こと。提案された保険やローン計画は、別の中立的な相談相手にもセカンドオピニオンを求めると安心です。

FP業界の裏側についてはこちらの記事でも触れています。あわせて読んでいただくと、相談相手選びで失敗しにくくなります。