レーシック、住宅ローン

レーシックなどの手術を受けていると住宅ローンの審査に通らないのか?という質問をいただくことがあります。
そこで今回は住宅ローン審査と団体信用生命保険の関係について詳しくお話します。

目次

フラット35以外の住宅ローンを借りるためには団体信用生命保険への加入が必須

住宅ローンを借りるときには、団体信用生命保険(以下、団信)に加入することが融資の条件になっている金融機関がほとんどです。フラット35以外の住宅ローンを借りる場合では、団信に加入することが借り入れの条件となっています。

団信も保険なので、通常の生命保険と同じように、加入する際には健康状態の告知が必要となります。ただ、中にはこの告知内容が原因で団信の契約ができず、住宅ローンの審査に通らないという方もいます。

死亡だけじゃない!団信の保障内容

団信といえば、住宅ローンの借り主が亡くなった時に住宅ローンの返済を免除してくれる保険です。つまり、ご主人の名前で住宅ローンを借りています。もし、ご主人が亡くなったらあとの住宅ローン返済はしなくて良くなるということですね。

しかし、あまり知られていませんが団信の保障は死亡だけではありません。3大疾病や8大疾病という特別な団信に加入しなくても高度障害状態まで保障されるようになっています。

高度障害状態とは?

団信で死亡時以外にも保障される高度障害状態とは、以下の様な状態を言います。

高度障害状態
両眼の視力を全く永久に失ったもの
言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

※生命保険文化センターHPより引用

つまり、死亡しなくても死亡に近いような状態になれば団信の保障が適用されて住宅ローンの返済が免除されるということです。

レーシックはどこに該当する?気になる団信の告知内容

それでは、団信に加入する時の健康状態告知内容を見ていきましょう。告知日や名前等は省略して、健康状態の告知だけを抜粋します。

  1. 最近3ヶ月以内に医師の診察・投薬・治療・指示(要経過観察を含む)・指導を受けたことがありますか?
  2. 過去3年以内に下記の病気で、手術を受けたことまたは2週間以上に渡り医師の治療・投薬を受けたことがありますか?
    • 狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、先天性心臓病、心筋症、高血圧症
    • 脳卒中(脳出血・脳梗塞、くも膜下出血)、脳動脈硬化症
    • 精神病、ノイローゼ、てんかん、自律神経失調症、アルコール中毒
    • ぜんそく、慢性気管支炎、肺結核
    • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、すい臓炎
    • 肝炎、肝硬変、肝機能障害
    • 腎炎、ネフローゼ、腎不全
    • 緑内障、網膜の病気、角膜の病気
    • ガン、血腫、白血病、腫瘍、ポリープ
    • 糖尿病、リウマチ、膠原病、貧血症、紫斑病
    • 子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、乳腺症
  3. 手・足の欠損または機能の障害はありますか?または、背骨(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能に障害がありますか?

この3項目が団信に加入するときの告知内容です。

おそらく見ただけではよくわからないと思うので1つずつ解説していきます。

団信告知項目1:最近3ヶ月以内に〜

まずは、一番初めの項目です。これは、告知日(団信の告知書を書く日)からさかのぼって3ヶ月以内に病院へ行って治療や診察を受けたかどうか、また健康診断などで指示や指導を受けたかどうかという項目です。

該当があれば、いつ、どんな病気やケガで、どれくらい通院(入院)して、入院や手術の有無、現在の状態(完治か治療中か)を詳しく記入します。

この項目は比較的わかりやすいと思います。3ヶ月以内に病院へいったかどうか思い出して、行ったなら記入します。

団信告知項目2:過去3年以内に〜

これは、上記2番めの項目に上がっている病気やケガで告知日から3年以内に病院へ行って手術もしくは2週間以上治療を受けたかどうかという項目です。

手術はしたかどうかなのでかんたんにわかると思いますが、2週間以上治療が間違えやすいので注意が必要です。

2週間以上治療に該当するもの

2週間以上治療とは、2週間以上入院したとか、14回以上病院に通ったということではありません。例えば、1回病院へ行って2週間分の薬を出してもらったというもの該当します。例えば、2週間分の薬をもらったのに1週間で飲むのをやめていたとしても該当します。

それから、週1回を2週間通ったというのも該当します。実際に病院へ行ったのは2回ですがこれも当てはまります。ここはわかりづらいポイントなので抜けがないように注意しましょう。

高血圧、糖尿病、眼の疾患の場合は以下の数値が必要になる

高血圧、糖尿病、眼の疾患を告知する場合はそれぞれ追加で以下の情報が必要になります。

  • 高血圧:最近2〜3回の服薬中の血圧(最高と最低)
  • 糖尿病:HbA1Cと空腹時血糖
  • 眼の疾患:両目の現在の視力

団信告知項目3:手・足の欠損〜

これは読んで字のごとくですね。手、足を含めて上記の部分に欠損や障害がないかどうかの記入です。あれば、どんな障害なのかを追加で告知します。

レーシックは団信告知項目2の角膜の病気に該当

レーシックは角膜を屈折させて視力を回復する手術のようなので、3年以内にレーシック手術を行っていれば告知項目2に該当します。

3年以内にレーシック手術がある=団信&住宅ローン審査NGとは限らない

3年以内にレーシック手術があると告知が必要になります。かといって、レーシックの告知があるから団信に加入できず、住宅ローン審査も通らないかというとそうではありません。そのまま団信に加入できるケースや、目の病気が原因で死亡や高度障害になった場合は保障されないという条件がつくケース、また加入できないというケースも有ります。

なぜ、レーシック手術が団信の告知に影響するのか?

レーシック手術が団信の告知、加入に影響する理由は、レーシック手術によって失明するというおそれがあるからのようです。失明は上で紹介した高度障害状態に該当します。

レーシック手術後に団信に加入する。その後手術の影響で失明してしまう。そうなると高度障害状態に該当するので保険会社は住宅ローンの残金分を銀行に支払わないといけなくなります。つまり、保険会社にとっては保険金を支払わなければいけない可能性が高くなるので、レーシックの手術歴がある場合は団信に加入できなかったり条件がついたりというケースがあります。

もし、レーシック手術などで団信に加入できない場合でも住宅ローンを借りる3つの方法

それでは、レーシックを含む病気やケガが原因で団信に加入できず、結果住宅ローン審査も通らなかった時の対策を3つ紹介します。

方法1:告知が必要なくなるまで待つ

まず1つ目の方法は単純で、告知が必要なくなるまで待つことです。実際に団信の告知書を確認してみると、3年以内に指定した病気で診察や治療を受けたかどうかを聞く項目があります。ですから、最長3年間病院に行かなければ告知する必要がなくなるということになります。

手足の欠損や、視力・聴力・言語の障害、もしくは咀嚼障害などがある場合には、診察を受けた時期にかかわらず告知が必要ですが、このような障害に当てはまらない告知が必要な病気やけががある場合には、3年間待つことで告知の必要がなくなります。そうなれば団信に加入できるということになります

方法2:ワイド団信を使える住宅ローンを利用する

2つ目の方法は、告知内容が通常の団信よりもゆるいワイド団信に加入するという方法です。

たまにCMでしている、持病があっても入れる保険の団信バージョンです。

ワイド団信は扱っている金融機関が限られていることと、住宅ローンの金利+0.2%などの追加料金を払わないといけないというデメリットが有ります。

そのデメリットは問題無いということでしたらワイド団信で加入できないかどうかチャレンジしてみてもいいと思います。

また、団信は保険会社の商品になるため、A銀行で取り扱っている団信の保険会社と、B銀行で取り扱っている団信の保険会社が違う、ということもよくある話です。

つまりA銀行の団信に落ちてしまったとしても、B銀行の団信には申し込みができるということもあるため、

1社の団信に落ちたからといって一般団信への加入を諦めなければいけないということでもないのです。

ワイド団信取り扱い金融機関(一部)

住信SBIネット銀行(WEB申込コース) auじぶん銀行 ソニー銀行

方法3:団信に加入しなくてもいい住宅ローンを借りる

3つ目の方法は、団信に入らなくてもよい住宅ローンを選択するということです。フラット35の場合、団信への加入は任意となっていますので、入らなくても住宅ローンを借りることが可能です。ですから、団信に入らずにフラット35の住宅ローンを選ぶということが2つ目の対策です。

ただしこの場合、住宅ローンに対する団信の保障はありませんので、万が一のときのリスクについては自分で備えておく必要があります。現在入っている生命保険で問題なく対応できるか、もしくはその住宅ローンの保障はなくても問題ないのかというところはきちんと確認しておく必要があります。

フラット35を借りる場合の団信保険料の計算方法や、節約方法について詳しく書いた記事がありますので、そちらもご覧ください。

なお、フラット35については住宅ローンサービス最大手の住信SBIネット銀行のフラット35をオススメします。保証型、買取型と2種類を取り扱っており、業界最低水準の低金利を実現しています。

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方法4:告知義務違反で団信に加入する

4つ目の方法は、告知義務違反で加入するということです。例えば告知が必要な病気にかかっていた場合、それを告知せずに団信に加入するという方法です。住宅ローンの借入額が3,000万円以下の場合は告知書しかチェックされないので、この方法で団信に加入することができます。

借入額が3,000万円を超えている場合には、健康診断書を添付する必要があるので病状等が判明してしまう可能性がありますが、3,000万円以下のローンであれば告知書の提出だけなので、団信に加入して住宅ローンを借りることは可能だと思います。

団信加入時の告知義務違反がバレたらどうなるのか?

違反が発覚したときにどういうことが起こるかというと、告知から2年以内に告知義務違反がわかった場合、団信の契約は解除されてしまいます。つまり団信の保障はなくなるということです。

団信に加入してから2年以内に、あなたはこの病気を持っていましたねということになると、団信の契約が解除されてしまいます。逆に言うと、告知から2年たっていれば時効となり、告知義務違反が発覚しても保険会社は契約を解除できません。

団信の契約が解除されなければ通常通り保障があるのか?

ただ、契約が解除できないからといって、どんな場合でも住宅ローンが保障されるかというとそうではありません。あくまで契約の解除ができないというだけで、告知義務違反があったものと因果関係がある病気やけがで亡くなったり高度障害になったりした場合には、保険金を受け取ることはできません。

例えば高血圧であることを隠して団信に加入し、高血圧に関係する病気、例えば脳梗塞などの病気で亡くなった場合には、保険金は払われないケースが多いです。このように因果関係がある場合には、住宅ローンを払わなくてよいということにはならないということです。

告知義務違反の内容と因果関係がなければ保障される

逆に、告知義務違反と因果関係がない死亡や高度障害に関しては、保険金は支払われます。例えば仮にがんを患っていて、それを隠して団信に加入したとします。この方が例えば交通事故で亡くなった場合、死因はがんとは関係なかったということになれば保険金は払われます。

団信加入時の告知義務違反がバレる2つのケース

医師の診断書によってバレるケース

例えば告知が必要なある病気を持っていて、それを隠して団信に加入したとします。その後何らかの理由で病院に行くことになった際、医師から既往歴、つまり過去にかかった病気などを聞かれることになります。もちろんきちんと治療を受けるためには、今までの既往歴についても正直に話す必要があるでしょう。そうすると、医師は診断書などにその既往歴を記載します。

仮にこの方が亡くなってしまい団信の保険金が支払われることになった場合には、保険会社が医師の診断書などを調査することになります。そして過去の既往症やほかの病院への通院歴などを調べ、団信に加入する際に提出していた告知書と照らし合わせます。ここで内容に違いがあり告知義務違反があったことが判明すれば、保険金の支払いは拒否されてしまうということです

調査によってバレるケース

団信に加入してから比較的早い段階で保険金が下りることになった場合に、保険会社の調査によって判明するケースです。例えば保険に加入して半年で亡くなった場合などには、調査が入ることがあります。この調査も先ほどと同様で、保険会社が病院に出向き、医師の診断書などから既往症などを調べます。

その結果、告知義務違反があれば保険金が支払われないということになります。もちろん違反がなければ保険金はきちんと払われますが、こうした調査によって病気やけがの告知義務違反が発覚するケースもあるのです。

このように、病状や病歴などを告知せずに団信に加入し住宅ローンを借りることは可能ですが、もし隠していた病気が原因で亡くなったり高度障害になったりした場合や、保険会社の調査によって告知義務違反が判明した場合には、保障は受けられないことを理解し覚悟しておく必要があります。

団信NGで住宅ローン審査がNGになれば次の審査に影響がある

住宅ローンを審査するときに、銀行などの金融機関は個人信用情報という情報を調べます。

個人信用情報とは、あなたのクレジットカードやローンの利用歴です。これを見て、きちんと借りたお金を返す人なのかどうか判断します。

住宅ローンの審査を受けると半年間審査を受けたことがこの信用情報に登録されます。つまり、半年以内に別の銀行で住宅ローンの審査を、他の銀行でも住宅ローンの審査を受けていることがわかるのです。

そうなると、なぜ半年前に審査した銀行で借入ができていないのだろうか?ということになります。あなたに直接聞いてくれればいいですが、何か良くない理由があるんだろうと判断されてしまえば理由も教えてくれず住宅ローンの審査NGという結果になるかもしれません。

しかし、上にも書いたとおり告知内容に該当するから一律で団信加入NGというわけではなく、結果は出してみるまでわかりません。

出してみたはいいが、結果がNGで次の住宅ローン審査に悪影響があるのは困る・・・という場合にオススメの方法があります。

団信に加入申し込みする前に生命保険会社の収入保障保険に申し込んでみるのも一つの方法

生命保険会社の告知内容は団信の告知内容よりも厳しいです。これで問題なく加入できるようなら団信にも加入できる可能性も高くなります。

注意点ですが、この場合も保険会社に告知内容の記録が残ってしまうので、収入保障保険への加入を検討しているなら本命の保険会社は外して申し込みをしてみてください。もちろん、保険会社によって健康状態の審査内容は違いますが、大きく違うということはないので、本命以外の保険会社の収入保障保険に申し込んでみるといいでしょう。

団信に加入できるかどうか確認するために必要ない生命保険に入るのはチョット・・・と思われるかもしれませんが、あなたがお金を払わない限り契約はスタートしないのでお金を払わなければOKです。

ただ、保険代理店の人には事前に団信に加入できるかどうか確認するための申し込みであることは伝えておいたほうがいいと思います。あなたが他の保険を任せている代理店の人が良心的な人なら協力してくると思います。

まとめ:レーシックなど、健康状態が原因で住宅ローン審査がNGになっても諦めない

収入や勤務先などは問題ないのに、健康状態が原因で住宅ローン審査に通らなかったというとショックも大きいかもしれません。

しかし、ワイド団信を使ったり、フラット35で団信無しで借りる、保障がないというリスクを承知の上なら告知義務違反で住宅ローン審査を通す事もできます。

土地や建築会社を選んだりする時間と手間をムダにしないため、また金利が上がってくる前に住宅ローンを借りてしまうためにも、団信の問題をクリアして住宅ローン審査を通しましょう。