年収500万円台は、都市部の30代の平均的な年収です。ちょうどマイホームの購入を考え始め、物件や住宅ローンの情報を熱心に集めている方が多い世代でもあります。徳島など地方にお住まいの方からも「年収500万円で家を買って大丈夫でしょうか?」というご相談を、FPとしてよくいただきます。
このページでは、年収500万円台の方に向けて、いくらまで住宅ローンを借りられるのか、無理のない借入額の相場、頭金、おすすめの住宅ローン、住宅ローン控除などの情報を、相談に答えるかたちでまとめました。
なお、2026年は日本銀行の利上げ(2026年6月に政策金利が1.0%程度へ)を受けて住宅ローン金利が動いている時期です。本ページの金利・試算はあくまで目安なので、実際の数字は各金融機関の最新シミュレーションでご確認ください。
目次
最初に、年収500万円台の手取り年収はいくら?
毎月の給与からは、所得税・住民税・社会保険料・介護保険料などがあらかじめ差し引かれます。そのため、税込み(額面)の年収と、実際に使える手取りの年収には大きな差が生まれます。
住宅ローンの返済は、この手取り収入の中から続けていくものです。まずは手取りをしっかり把握しておきましょう。下の表は、年収500万円台のモデルケースの手取り年収の目安です。
| 税込み年収 | 手取年収 | 差額 |
| 500万円 | 398万円 | 約102万円 |
| 530万円 | 419万円 | 約111万円 |
| 560万円 | 441万円 | 約119万円 |
| 590万円 | 463万円 | 約127万円 |
※配偶者1名、15歳未満の子供1名で試算
税込みでは500万円でも、実際に使えるお金は約400万円です。住宅ローンは、この手取りの中から無理なく返せる金額にとどめることが大切です。
年収500万円台で住宅ローンはいくら借りられる?
年収500万円台でいくら借りられるのか、あるネット銀行のシミュレーションツールで算出してみました。前提は借入期間35年、金利は年0.457%です。
| 税込み年収 | 借入限度額 | 月々の返済額 |
| 500万円 | 3,880万円 | 99,983円 |
| 530万円 | 4,110万円 | 105,910円 |
| 560万円 | 4,340万円 | 111,837円 |
| 590万円 | 4,570万円 | 117,764円 |
※上表は試算の前提金利(年0.457%)にもとづく目安です。2026年は変動金利でもこれより高い水準(おおむね年0.5〜0.7%前後)が一般的になっており、金利が上がると借入限度額・返済額は変わります。最新の数字は各金融機関のシミュレーションでご確認ください。
ここで出てくるのは「金融機関が貸してくれる上限額」です。共働きで世帯年収が高い、貯蓄がある、ご両親の援助があるといった場合は別ですが、年収の30%以上を住居費にあてるのは、一般的には危険な水準と考えてください。借りられる額=無理なく返せる額ではありません。
年収500万円台の住宅ローン相場とは?
では、実際に年収500万円台の方はいくらくらい借りているのでしょうか。相場も見てみましょう。
住宅金融支援機構の「民間住宅ローンの実態調査」では、年収に対する返済割合(返済負担率)が調べられています。
これによると、返済負担率を年収の20%以内としている人が約60%、25%以内だと約80%となっています。
つまり年収500万円の方なら、年間の住宅ローン返済額を100万円以内(返済負担率20%以内)に収めている人が全体の約6割ということです。多くの人が、借りられる上限よりかなり手前で返済計画を立てているわけですね。

相場の返済負担率20%だと住宅ローンはいくら借りられる?
次に、返済負担率を20%とした場合、年収500万円台の方がいくら借りられるかをシミュレーションしてみましょう。こちらも借入期間35年、前提金利は年0.457%です。
| 税込み年収 | 返済額 | 借入限度額 | 月々の返済額 |
| 500万円 | 100万円 | 約3,200万円 | 83,333円 |
| 530万円 | 106万円 | 約3,400万円 | 88,333円 |
| 560万円 | 112万円 | 約3,600万円 | 93,333円 |
| 590万円 | 118万円 | 約3,800万円 | 98,333円 |
先ほどの「単純に税込み年収から計算した借入限度額」より、20%ほど少ない結果になりました。金融機関が提示する上限額と、実際の相場には開きがあることがわかりますね。
3000万円、3500万円、4000万円の住宅ローン借り入れは適正?
この試算をふまえ、年収500万円台の方の適正な借入額を見ていきましょう。
| 判定 | 診断 | |
| 3,000万円 | ◎ | 十分に返済していけると思われる |
| 3,500万円 | ○ | 550万円以上の年収があれば可能 |
| 4,000万円 | × | 年収500万円台では厳しいと思われる。今後の年収の伸びがあれば検討可能 |
※判定は前提金利での目安です。金利が上がるほど同じ返済額で借りられる額は小さくなるため、上昇局面では少し保守的に見ておくと安心です。
年収500万で子供が2人いると住宅ローンはどうなる?
年収500万円の月々の手取りは33万円程度ですが、お子さんが2人いる場合はどうでしょうか。
子どもがいると養育費や学資保険などの出費が確実に増えます。少なく見積もっても月5万円程度はかかるのではないでしょうか。
お子さんが独立するまでの支出を見通したうえで、毎月の返済額を無理のない水準にしておくことが大切です。教育費がピークを迎える時期に返済が重ならないか、ライフプランで確認しておきましょう。
頭金なしの借り入れは無謀?
かつては「頭金は物件価格の10%必要」と言われてきましたが、今は多くの金融機関で、物件価格以外の諸経費や事務手数料まで含めて融資してくれるケースが増えています。
具体的には、登記費用、事務手数料、火災保険料、不動産仲介手数料、引っ越し費用など、物件価格に対してプラス10%程度まで借りられる住宅ローンが確実に増えてきました。
そもそも、近年主流の「事務手数料型(定率型)」の住宅ローンは、借入金額の2.20%(税込)といった諸費用がどうしてもかさむ商品設計です。そのため、こうした諸費用も住宅ローンに含めて借りられるのは、ある意味で自然な流れともいえます。
昔は頭金なしで家を買うことは推奨されませんでしたが、令和の住宅ローンでは考え方が変わってきています。
ただし、頭金を10%以上用意すると金利を引き下げてくれる金融機関もあります。たとえばSBI新生銀行では、自己資金を10%以上用意して当初固定金利を選ぶと、当初借入金利が年0.02%優遇されます。フラット35でも、融資率9割以下なら金利が優遇されます。さらに頭金があれば返済負担率が下がり、審査にも通りやすくなります。住宅購入を見据えた貯蓄はやはり重要です。
頭金なしでも可能だが、住宅価格の高騰に注意
金融緩和や建築費の上昇などを背景に、不動産価格は近年高止まりが続いています。不動産経済研究所の調査によると、2023年度に販売された新築マンションは、首都圏で比較的安価な埼玉県・千葉県でも5,000万円近い水準でした(その後も都心部を中心に高値が続いています)。返済負担率20%の場合、年収590万円の方でも借入額は最大3,800万円程度となり、住宅ローンだけでは新築マンションに手が届かないケースも珍しくありません。
頭金を用意する、新築より割安な中古マンションを選ぶなど、予算に合わせた工夫が必要な市況といえます。

年収500万円台の方が実際に選んでいる金利タイプは?
年収500万円あれば、国内のほぼすべての金融機関の住宅ローンに申し込めます。
住宅金融支援機構の利用者実態調査(2025年4月調査)では、新規で住宅ローンを借りた人の約8割(79.0%)が変動金利を選択しています(固定期間選択型12.2%、全期間固定型8.8%)。2024年以降、日銀の利上げで金利上昇が意識されるなかでも、変動金利を選ぶ人が多数派という状況です。
変動金利が選ばれる主な理由は、次のようなものと考えられます。
・足元の金利水準がなお低い(変動はおおむね年0.5〜0.7%前後)
・積極的に繰上返済をして元金を早く減らすつもりがある
・将来的な住み替えを考えている
ただし、2026年6月に政策金利が1.0%程度へ引き上げられ、各行が変動金利の基準金利を見直す動きも出ています。変動金利を選ぶなら、将来金利が上がっても返済を続けられるかを必ず確認しておきましょう。

年収500万円台の方におすすめの住宅ローンは?
最後に、FP目線でおすすめできる住宅ローンを紹介します(金利・手数料・団信の条件は変わるため、最新は各行公式でご確認ください)。
| 変動金利 | auじぶん銀行の住宅ローン | がん・全疾病などの疾病保障が充実し、低金利も実現。 |
| SBI新生銀行の住宅ローン | 変動金利が低水準。保証料0円・一般団信0円で、事務手数料は定率型2.20%(税込)。店舗とオンラインの両方に対応。 | |
| 長期固定金利 | SBIアルヒの【フラット35】 | 公的な全期間固定金利で、自営業・個人事業主の方でも利用しやすい。つなぎ融資にも対応。 |
| SBI新生銀行の住宅ローン | 当初固定金利を選べ、一般団信・保証料は0円。金利上昇に備えて固定を検討したい人の候補に。 |
※以前あったSBI新生銀行の「ステップダウン金利タイプ」や、事務手数料の定額型は新規取扱を終了しています。現在の事務手数料は定率型(借入金額の2.20%・税込)です。
年収500万円台の住宅ローン控除
住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が、所得税(引ききれない分は住民税の一部)から控除される制度です。控除期間は新築・買取再販で原則13年、中古(既存)住宅で10年(省エネ性能を満たす中古は2026年から13年)です。制度は2030年12月31日入居分まで延長されています。
控除の対象となる借入限度額は、住宅の省エネ性能(長期優良・低炭素/ZEH水準/省エネ基準適合)と世帯(子育て・若者夫婦世帯かどうか)で変わります。たとえば残高5,000万円・控除率0.7%なら年間最大35万円ですが、これは限度額が高い区分のケースです。なお、省エネ基準を満たさない新築は、原則として控除の対象外になっています。
控除は実際に納めた所得税・住民税の範囲で戻ってくるものなので、残高×0.7%を満額受け取れるとは限りません。年収500万円台のモデルケースで見てみましょう(残高3,000万円の場合の目安)。
| 税込み年収 | 納税額 | 住宅ローン控除額 |
| 500万円 | 31.2万円(所得税10.1万円 +住民税21.1万円) | 21万円(所得税10.1万円+住民税9.9万円) |
| 530万円 | 35.2万円(所得税 12.1万円+住民税 23.1万円) | 21万円(所得税 12.1万円+住民税 8.9万円) |
| 560万円 | 39.2万円(所得税14.1万円+住民税25.1万円) | 21万円(所得税14.1万円+住民税6.9万円) |
| 590万円 | 43.2万円(所得税16.1万円+住民税27.1万円) | 21万円(所得税16.1万円+住民税4.9万円) |
※住民税からの控除は、所得税の課税所得金額の7%(上限136,500円)まで。※税額は試算の目安で、扶養や各種控除により変わります。
計算してみると、年収500万円の方では住宅ローン控除を満額使いきれないケースがあることがわかります。「残高の0.7%がまるまる戻ってくる」と早合点するのは禁物です。正確な控除額はご自身の納税額・住宅性能で変わるので、シミュレーションや税務署でご確認ください。
