契約社員でも住宅ローンは借りられます。ただ、金融機関の中には契約社員を最初から申込対象に入れていないところがあるため、正社員と同じ感覚で申し込むと、審査の前の段階で断られてしまうことがあります。

「契約社員だとばれるのか」「勤続年数は分かってしまうのか」と気にされる方も多いのですが、勤続年数は書類で必ず確認されますし、雇用形態を偽って通しても後で困るのはご自身です。隠すより、契約社員を受け付ける金融機関と、雇用形態を問わないフラット35を組み合わせて申し込むほうが、結果として早く借入先が決まると考えています。

契約社員がまず検討したいのは雇用形態を問わないフラット35

雇用形態の要件がないフラット35

契約社員でも利用できる住宅ローンはありますが、正社員と比べると申し込める先が少ないのが現状です。そこで最初に候補へ加えていただきたいのが、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供するフラット35です。

フラット35の利用条件は、申込時の年齢、国籍、年収に占める返済の割合(総返済負担率)などで、雇用形態や勤続年数についての要件は設けられていません(【フラット35】ご利用条件(住宅金融支援機構))。

取扱金融機関の一つであるSBIアルヒは、フラット35の実行件数で16年連続シェアNo.1の住宅ローン専門会社で、全国に約90拠点(2026年3月末現在)を構え、店舗での対面相談とWEB申込の両方に対応しています。

※2010年度-2025年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2026年3月末現在、SBIアルヒ調べ)

一方で、フラット35には住宅金融支援機構の技術基準を満たす物件でないと使えないことと、金利が全期間固定に限られることという制約があります。審査に不安がある方ほど、民間の住宅ローンと並行して早めに相談しておくと、物件探しと資金計画を同時に進められます。

SBIアルヒの店舗一覧・相談予約はこちら

変動金利も検討するなら申込基準が低めのイオン銀行

勤続6か月から申し込めるイオン銀行

イオン銀行の住宅ローンは、給与所得者なら前年度年収100万円以上・勤続6か月以上が申込条件で(商品概要説明書・2026年6月1日現在)、ここに挙げた銀行の中では年収と勤続年数の基準がもっとも低い水準です。

フラット35と違って変動金利を選べる点も特徴です。国土交通省の令和7年度調査では、令和6年度の新規貸出額の83.5%が変動金利でした。ただ、申込基準が低いことと審査に通りやすいことは別の話で、勤務先や契約更新の実績、他の借入れも含めて総合的に判断されるため、フラット35と並行して申し込んでおく方が多いと考えています。

雇用形態を審査項目にしている金融機関は約7割

審査に落ちても理由は教えてもらえませんが、契約社員であることを理由に断られたという話はよく耳にします。商品説明書の段階で「契約社員は申込対象外」と明記している住宅ローンもあります。

国土交通省が2026年3月に公表した「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると、融資審査の項目として雇用形態を挙げた金融機関は、回答994機関のうち702機関(70.6%)でした。その内容として「契約社員は対象外」が312機関、「派遣社員は対象外」が368機関あります。

勤続年数を審査項目とする機関は93.9%にのぼり、その基準は「1年以上」とする回答が612機関で最も多くなっています。雇用形態と勤続年数は、どちらも収入が続くかどうかを見るための項目として扱われていると理解しておくとよいでしょう。

令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書(国土交通省住宅局・2026年3月)

理由1.期間の定めがある雇用は収入の継続性を低く見られやすい

金融機関が住宅ローンの審査でもっとも気にするのは、完済まで安定した収入が続くかどうかです。契約社員は期間を定めた雇用契約で働いているため、無期雇用の正社員と比べて、更新されなかった場合の収入の途切れを心配されやすい立場にあります。

そのため、源泉徴収票や給与明細に加えて、雇用契約書や労働条件通知書を用意し、同じ勤務先で何回更新してきたかを書類で示せるようにしておくと、審査の担当者に事情が伝わりやすくなります。

理由2.年収の下限を高めに設けている銀行がある

もう一つの壁は年収です。住宅ローンの申込条件には前年度年収の下限があり、ソニー銀行のように400万円以上を条件にしている銀行では、年収が400万円に届かない方は申込の段階で対象から外れてしまいます。

反対に、イオン銀行は100万円以上、auじぶん銀行やPayPay銀行は200万円以上と、年収の下限を低く設定している銀行もあります。年収の基準は銀行ごとに数倍の開きがあるので、ご自身の年収で申し込める先を先に絞り込んでおくと、無駄な申込みを減らせます。

金融機関ごとの契約社員への対応と年収・勤続の基準

ここからは、主な金融機関が契約社員の申込みをどう扱っているかを、各社の商品説明書やよくある質問で確認できた範囲で一覧にしました。

SBI新生銀行は、商品説明書(2026年10月23日現在)で「前年度税込年収が300万円以上の正社員または契約社員」と明記しており、契約社員も申込対象です。会社員の勤続年数に明確な条件はありませんが、事務手数料は借入金額の2.20%(税込)かかります。

金融機関 契約社員の申込み 年収の下限 勤続年数
SBIアルヒのフラット35 可(雇用形態の要件なし) なし(総返済負担率で判定) 要件なし
SBI新生銀行 可(正社員または契約社員) 300万円 明記なし
auじぶん銀行 可(安定的かつ継続的な収入の見込みが条件) 200万円 明記なし
イオン銀行 給与所得者として申込可(雇用形態の明記なし) 100万円 6か月以上
PayPay銀行 可(公式のよくある質問で回答) 200万円 明記なし(転職後1年未満は追加書類が必要)
ソニー銀行 要確認 400万円 明記なし
四国ろうきん(固定金利選択型住宅ローン) 雇用形態の明記なし 150万円 1年以上

※各金融機関の商品説明書・よくある質問で2026年11月時点に確認した内容です(イオン銀行は2026年6月1日現在の商品概要説明書)。メガバンクや地方銀行・信用金庫は、契約社員の扱いや年収・勤続の基準を公表していないところも多いため、窓口で聞いてみてください。

住宅ローン審査で契約社員だとばれるか、勤続年数は隠せるか

契約社員であることが審査に不利に働くと聞いて、雇用形態を伏せたまま申し込もうと考える方もいます。では、契約社員であることは審査でばれるのでしょうか。

雇用形態は、雇用契約書を見ない限り正確には分かりません。健康保険の資格確認書やマイナポータルの資格情報に「契約社員」と書かれるわけではなく、在籍確認の電話も、本人がその会社で働いているかを確かめるもので、雇用形態を尋ねるものではありません。

ただし、雇用契約書や労働条件通知書の提出を求める金融機関もあります。PayPay銀行は転職後1年未満の方にこれらの書類の提出を求めており、書類から雇用形態が分かる場面は少なくありません。

そして勤続年数は、ばれるかどうかではなく必ず確認される項目です。源泉徴収票や健康保険の資格取得日から入社時期は読み取れますし、契約を更新しながら同じ勤務先で働いてきた年数は、むしろ審査で評価される材料になります。

申込内容に事実と違う記載があり、悪質だと判断された場合には、住宅ローンの残りを一括で返すよう求められるおそれがあります。金銭消費貸借契約には、虚偽の申告があったときに期限の利益を失う(分割で返す権利がなくなる)という条項が入っているのが一般的です。

派遣社員として働いている方の審査は派遣社員の住宅ローン審査と借入額の目安、最近転職された方は転職後の住宅ローン審査の注意点の記事で解説しています。

申込内容に虚偽があったときのリスク

契約社員の住宅ローン審査対策

対策1.契約社員を受け付ける金融機関に複数申し込む

まず、契約社員の申込みを受け付けると明示している金融機関を選び、1社だけでなく複数に申し込むことで、どこかで承認を得られる可能性が高まります。上の一覧のように、同じネット銀行でも年収の下限や雇用形態の扱いは大きく異なります。

申込みの前に、各行の商品説明書とよくある質問を開いて、雇用形態と年収の条件に目を通しておくと、条件を満たしていない銀行へ申し込んで時間を使うことを避けられます。

対策2.頭金を用意する

頭金なしでも審査に通ることはありますが、物件価格に対して借入額が小さいほど、金融機関から見た貸し倒れの心配は小さくなります。年収が低めの契約社員の方は、頭金を入れることで借入額を年収に見合った水準まで下げられる点が大きいと考えています。

フラット35では、借入額が物件価格の9割を超えると適用金利が高くなります。SBIアルヒの2026年11月実行金利では、借入期間21年以上35年以下で、9割以下が年3.810%、9割超が年3.920%でした。

対策3.自動車ローンなど他の借入れを先に整理する

見落とされやすいのが、自動車ローンやカードローン、スマートフォン本体の分割払いが残ったまま申し込むケースです。フラット35をはじめ多くの住宅ローンは、住宅ローン以外の借入れも合算した総返済負担率で借入額の上限を決めます。

車がないと暮らせない地域では、自動車ローンを抱えたまま住宅を探す方も多いのですが、残高が少ないものは申込前に完済しておくだけで、借りられる額がはっきり増えます。どのくらい変わるかは、次の章の試算で分かります。

契約社員がフラット35で借りられる額と、無理なく返せる額

ここでは、金融機関が審査で認める借入額の上限と、毎月の返済から逆算した無理のない借入額の両方を、フラット35を例に計算しました。

フラット35の総返済負担率から見た借入上限の目安

フラット35の総返済負担率の基準(年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下)をもとに、SBIアルヒの2026年11月実行金利(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・団体信用生命保険付き)の年3.810%、35年・元利均等返済で試算した目安です。

年収 年間返済額の上限 借入上限の目安
150万円 45万円 約870万円
200万円 60万円 約1,160万円
250万円 75万円 約1,450万円
300万円 90万円 約1,740万円
350万円 105万円 約2,030万円
400万円 140万円 約2,700万円
450万円 157.5万円 約3,040万円

※他の借入れがない場合の目安です。民間銀行の住宅ローンは審査に使う金利を公表していないところが多く、借入上限は金融機関ごとに異なります。

年収の20%を返済に充てる場合の借入額の目安

次に、年収の20%を住宅ローンの返済に充てると決めた場合の借入額です。上と同じ年3.810%・35年・元利均等返済で、毎月の返済額は千円未満を切り捨てて計算しました。

年収 毎月の返済額 借入額の目安
150万円 25,000円 約580万円
200万円 33,000円 約770万円
250万円 41,000円 約950万円
300万円 50,000円 約1,160万円
350万円 58,000円 約1,340万円
400万円 66,000円 約1,530万円
450万円 75,000円 約1,740万円

年収300万円・自動車ローンありの場合で計算すると

仮に、年収300万円で勤続3年目の契約社員の方が、自動車ローンを毎月2万円返済しているとします。総返済負担率30%なら年間の返済の上限は90万円ですが、自動車ローンの24万円が先に差し引かれるため、住宅ローンに使える枠は66万円、毎月55,000円に縮みます。

この条件で計算すると借入上限の目安は約1,280万円で、自動車ローンがない場合の約1,740万円より約460万円少なくなります。残高が少ないなら、完済してから申し込むほうが、借りられる額の面では有利です。

もっとも、借りられる額と無理なく返せる額には差があります。年収300万円の場合、審査上の上限の約1,740万円に対し、年収の20%で返せる額は約1,160万円で、約580万円の差があります。審査に通る額いっぱいまで借りると、契約が更新されなかったときに返済が家計を圧迫します。借りられる額と払える額の違いは審査に通る額と払える額の違いをご覧ください。

定年後の再雇用(嘱託社員)でも住宅ローンは組める

定年後に再雇用され、嘱託社員として働く方が住宅を買う場合も、フラット35なら申し込めます。フラット35は申込時の年齢が満70歳未満であれば雇用形態を問わず申し込めますが、借入期間の上限は80歳から申込時の年齢を引いた年数になります。

たとえば65歳で申し込むと借入期間は最長15年で、同じ借入額でも毎月の返済額は35年返済よりかなり大きくなります。退職金や年金とのバランスを見て、借入額を先に決めてから物件を探す順番にしたほうが、後で計画を立て直さずに済みます。

民間の住宅ローンは、嘱託や再雇用の扱いが金融機関ごとに異なり、完済時の年齢の上限も80歳未満が多いため、商品説明書で年齢の条件とあわせて確認してください。

契約社員がろうきんの住宅ローンを検討するときの注意点

ろうきんは働く人のための金融機関で、窓口で対面でじっくり相談しやすいのが特徴です。四国4県で暮らす方にとっては、四国ろうきんが身近な相談先の一つになります。

四国ろうきんの固定金利選択型住宅ローンの商品概要説明書では、申込条件を勤続年数1年以上・年収150万円以上などとしており、雇用形態の要件は書かれていません。ただし審査は総合判断で、商品概要説明書には雇用形態などにより利用できる限度額が異なるとも書かれているので、契約社員の場合の扱いは窓口で聞いてみてください。

費用の面では、ろうきんの住宅ローンは保証機関の保証を利用するため保証料がかかり、会員区分(労働組合などを通じた組織会員かどうか)によって金利の優遇幅も変わります。

一方、フラット35は保証料がかからない代わりに融資手数料がかかり、SBIアルヒなら借入金額の2.20%(税込)・最低220,000円です。金利だけでなく、保証料や手数料まで含めた総額で比べると、どちらが安いかが分かります。ろうきんの保証料や会員区分の仕組みはろうきんの住宅ローンの解説記事で紹介しています。

イオン銀行は契約社員向けの専用商品ではない

イオン銀行の住宅ローンは、申込基準の低さから契約社員の方にも候補に挙がりやすい商品です。ただ、契約社員向けに特別な審査枠を設けているわけではなく、申込条件を満たしたうえで、ほかの申込者と同じ審査を受けます。

実際のところ、非正規雇用の方が審査で慎重に見られやすい点はイオン銀行でも変わらないため、フラット35と並行して申し込み、承認が出た条件を比べてから選ぶ進め方をおすすめします。

フラット35が契約社員に向いている理由は雇用形態の審査基準がないこと

フラット35は、住宅金融支援機構が提供し、全国の多くの金融機関が窓口となって取り扱う全期間固定金利の住宅ローンです。民間の住宅ローンが雇用形態を審査項目にしていることが多いのに対し、フラット35の利用条件には雇用形態の要件がありません。

そのため、契約社員や派遣社員だけでなく、民間の住宅ローンで審査が厳しくなりがちな会社経営者や個人事業主・自営業の方にとっても、申し込みやすい住宅ローンです。

また、2026年10月1日以降にフラット35を借り入れた方(借り換えを含む)は、住宅金融支援機構の「フラットすまい・るポイント」の対象になり、借入額に応じて2,000〜150,000ポイントを受け取れます。申請は借入日から6か月以内に行う必要があります。

フラット35の仕組み

契約社員の住宅ローン審査で用意する書類

書類 入手先 備考
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) 手元にあるもの
健康保険の加入を示す書類(資格確認書・資格情報のお知らせなど) 勤務先・加入する健康保険 従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終了。勤務先名(事業所名)が分かるものを用意する
源泉徴収票 勤務先 契約更新の実績を示すため、直近2〜3年分あるとよい
雇用契約書(労働条件通知書) 勤務先 金融機関によって提出を求められる
住民税課税決定通知書(課税証明書) 市役所・町村役場
所得税の納税証明書 税務署 副業がなく確定申告をしていなければ不要
購入する住宅に関する書類 不動産会社

契約社員の住宅ローン控除は実際に納めた税金の範囲まで

住宅ローン控除は雇用形態に関係なく利用でき、年末の住宅ローン残高に応じて所得税(控除しきれない分は一定額まで住民税)から差し引かれます。

控除率は年末残高の0.7%ですが、借入限度額や控除期間は、入居した年や住宅の省エネ性能によって変わります。たとえば2026年に入居する場合、省エネ基準を満たさない新築住宅は、経過措置に当てはまるケースを除いて控除の対象になりません。

また、控除できるのは実際に納めている所得税・住民税の範囲までなので、年収が高くない契約社員の方は、制度上の最大額より実際の控除額が小さくなることが多い点に注意が必要です。資金計画では控えめに見込んでおきましょう。適用要件の詳細は国税庁のタックスアンサーで確認できます。

国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以後に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」

※かつて住宅取得の負担を軽くする「すまい給付金」という制度がありましたが、申請の受付はすでに終わっています(消費税率の引き上げにあわせた時限的な制度でした)。

※本記事の年収・勤続の基準と金利は2026年11月時点の内容です。実際に選ぶ段階では、各金融機関の最新の条件をご自身でも確かめてから判断してください。

雇用形態の要件がないフラット35の相談はこちら