「派遣社員だと住宅ローンは組めないのでは?」というご相談は、FPとしてよくいただきます。結論からお伝えすると、派遣社員でもマイホームのための住宅ローンは利用できます。ただし、申込先の選び方には少しコツが必要です。このページでは、派遣社員の方に向けた住宅ローンの選び方・審査基準・借入額の目安を、相談に答えるかたちでやさしく整理していきます。

そもそも派遣社員とは、派遣元となる人材派遣会社に登録した労働者が、派遣先の企業へ派遣され、派遣先の担当者の指揮命令のもとで働く雇用形態のことです。

厚生労働省や業界団体の調査では、近年も全国でおよそ150万人前後の方が派遣社員として働いており、労働者全体の約3%を占めています。派遣社員は有期雇用(非正規雇用)の一種であるため、各種ローンの審査では正社員より慎重に見られる傾向があります。

実際、金融機関によっては明確に派遣社員を住宅ローンの審査対象外としている場合もあります。そのため、申し込もうとしている金融機関が派遣社員を住宅ローンの対象としているかを最初に確認することが、何より大切なスタートになります。本ページでは派遣社員の方に向けた審査対策・審査基準の情報を紹介していきます。

派遣社員数の推移

引用;一般社団法人日本人材派遣協会

派遣社員が借りられる住宅ローンとは?

さっそく、派遣社員の審査に対応している金融機関について確認していきましょう。

派遣社員が借りられる住宅ローン

以下は、派遣社員の住宅ローン審査に対応していることを公式に明示している金融機関の代表例です。特に注目していただきたいのは、本ページでもイチオシで紹介する公的な住宅ローンであるフラット35です。

フラット35は、どの金融機関で申し込んでも審査基準が大きく変わることがありませんので、取り扱い金融機関のすべてで派遣社員の審査に対応していると考えて問題ありません。

auじぶん銀行 SBIアルヒ(フラット35) イオン銀行
ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)(フラット35) りそな銀行 ドコモの銀行(WEB申込コース)
三菱UFJ銀行    

続いて、公式サイト上で派遣社員の取扱を明確にしていない住宅ローンを紹介します。これらは門前払いとなる可能性もあるため、申し込む前にコールセンターなどで派遣社員でも申し込めるかを必ず確認しておくと安心です。雇用形態の取扱方針は見直されることもあるため、最新の可否は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

派遣社員の取扱を公式で明示していない住宅ローン(要確認)

PayPay銀行 SBI新生銀行 ソニー銀行

なお、派遣社員ご本人が申込人にはなれなくても、収入合算者にはなれる(正社員の配偶者などが申込人となるパターン)金融機関もあります。金利やサービスを比較して利用してみたい金融機関がまとまったら、コールセンターなどに問い合わせてみるとよいでしょう。

雇用形態について明示していない住宅ローン

三井住友銀行 みずほ銀行 楽天銀行(金利選択型)

派遣社員だと住宅ローンはいくら借りられる?

派遣社員だからといって、借りられる金額が一律に減額されることはありません。原則として、いくら借りられるかは雇用形態や職業ではなく、年収や返済負担率に応じて決まります。また、選ぶ住宅ローンの金利タイプによっても借入可能額は変わります。具体的に、変動金利と35年固定金利で、派遣社員の方が年収ごとにいくら借りられるかの目安を見ていきましょう。

年収 とあるネット銀行の変動金利 35年固定金利/SBIアルヒ
200万円 1,150万円 1,260万円
250万円 1,440万円 1,575万円
300万円 1,730万円 1,890万円
350万円 2,020万円 2,205万円
400万円 2,690万円 2,941万円
450万円 3,030万円 3,308万円
500万円 3,370万円 3,676万円

※上記は税込年収をもとにした借入可能額の目安です。金利前提・審査結果により実際の金額は変わります。

金利が変動金利より高いフラット35のほうが多く借りられる目安になっているのは、フラット35がそれだけ寛容な審査基準になっている証拠です。ただし、上記はあくまで税込年収に対する借入限度額です。実際には税引き後の手取りで返済していくことになりますので、手取り年収から無理のない返済額を見定めるのが、FPとしておすすめする考え方です。

とくに近年は住宅ローン金利が緩やかに上昇する局面にあります。変動金利で目いっぱい借りると、将来金利が上がったときに返済額が増える可能性があります。金利が変わらないフラット35で計画を立てるか、変動金利なら返済額に余裕をもたせておくと安心です(最新の金利動向は各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください)。

派遣社員のおすすめ住宅ローン、フラット35

フラット35のロゴ

派遣社員の方が、ぜひ選択肢に入れておきたい住宅ローンがフラット35です。なぜフラット35が最有力なのか、最後に解説します。

フラット35とは?

フラット35を取り扱う金融機関のほぼすべてが、買取型のフラット35を扱っています。フラット35は、国土交通省が所管する住宅金融支援機構が主体となって住宅ローン審査を行い、契約や窓口業務は提携する金融機関が担当します。融資実行日には、住宅ローンの債権が金融機関から住宅金融支援機構へ売却されるため、金融機関は貸し倒れのリスクを負わない仕組みになっています。

住宅金融支援機構は公的な機関であり、「国民により良い住環境を提供する」という公的な役割を重視して存在しています。営利目的の民間銀行のプロパー住宅ローンとは、そもそもの存在目的が異なっているのです。

このため、フラット35では職業・職種・業種が審査結果に影響することがありません。継続的な収入があるかどうかが審査のポイントとなるため、派遣社員はもちろん、パートやアルバイトの方でも利用できる住宅ローンとなっています。

フラット35とは?仕組み

 

派遣社員の方もフラット35を利用しています

単身女性のフラット35の利用状況

フラット35取扱最大手のSBIアルヒ(旧ARUHI)は、2022年9月にSBIグループ入りし、社名がアルヒからSBIアルヒへと変更されました。フラット35の融資実行件数シェアは27.7%で、16年連続16年連続のシェアNo.1の実績があります。※2010年度-2025年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2026年3月末現在、SBIアルヒ調べ)。これだけ多くの方に選ばれているのは、フラット35が幅広い属性の方にとって申し込みやすい住宅ローンであることの表れと言えるでしょう。派遣社員・パート・アルバイト・自営業の方でも申し込めると公式に案内されています。

フラット35の審査基準とは?

続いて、フラット35の審査基準を確認していきましょう。年収基準の低さ、利用できる職業の広さで、民間金融機関のプロパー住宅ローンには到底太刀打ちできない審査基準の寛容さが大きな特徴です。

項目 内容
年齢 申し込み時満70歳未満で、完済時が満80歳まで
国籍 日本国籍を有すること、もしくは永住権を有すること
収入 年収100万円程度でも返済負担率の範囲で借り入れ可能。年金のみの収入でも可
職業 正社員、派遣社員、契約社員、個人事業主・自営業、パート、アルバイト、無職(年金収入)など、定期・継続的な収入があれば職業を問わない
勤続年数 転職直後でも利用可能
返済負担率 年収400万円以上は35%以内/400万円未満は30%以内
対象の住宅 自宅、セカンドハウス、店舗・事務所併用住宅(自宅部分が50%以上)、借地住宅、競売物件にも利用可能
保証人 不要。ただし収入合算を利用する場合は連帯債務者となる
借入限度額 最高1億2,000万円(2026年4月実行分から従来の8,000万円より引き上げ)
団体信用生命保険 加入は任意。加入しない場合は金利が年0.200%引き下げられる

※最新の金利・適用条件はフラット35公式サイト(住宅金融支援機構)でご確認ください。2026年7月のフラット35(買取型・借入期間21〜35年・融資率9割以下・新機構団信加入)の金利は年3.140%です(融資率9割超は年3.250%)。

住宅ローンサービス最大手のドコモの銀行のフラット35について詳しくはこちら

イオン銀行の住宅ローンも派遣社員におすすめ?

日本を代表する小売企業グループであるイオングループに属するのがイオン銀行です。全国のイオンショッピングモールに店舗を構えており、口座をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

イオン銀行の住宅ローンは、派遣社員でも利用可能です。イオン銀行公式サイトにその旨が明記されています。

ただし、イオン銀行の審査基準が特別に派遣社員の方に向いている、というわけではありません。「イオン」というブランドへの親しみと、住宅ローン契約で最初の一定期間イオングループでの買い物が割引になる特典が、利用者に支持されていると考えるのが自然でしょう。最新の特典内容は公式サイトでご確認ください。

民間金融機関のプロパー住宅ローンが派遣社員の方に敷居が高いという事情は、イオン銀行でも基本的には変わりません。
イオン銀行の住宅ローンは契約社員/派遣社員でも利用可能

妻が派遣社員の場合の住宅ローンの組み方について

妻が派遣社員として今後も共働きを続ける、というご夫婦におすすめなのが、ペアローンや収入合算です。いずれもご夫婦の年収を合算することで、借入限度額を大きく増やせるのがメリットです。妊娠・育児休暇・万一の離婚などで妻の収入が返済に充てられなくなるリスクさえ抑えておけば、マイホーム購入の強い味方となるでしょう。FPとしては、合算で限度額いっぱいまで借りるのではなく、片方の収入が途切れても返済を続けられる範囲に抑えておくことをおすすめします。

派遣社員の住宅ローンに関するよくある質問

最後に、FPとして派遣社員の方からよくいただくご質問にお答えします。

Q. 派遣社員でも住宅ローン控除(減税)は受けられますか?

はい。住宅ローン控除は雇用形態を問わず、返済期間10年以上などの要件を満たせば派遣社員の方でも利用できます。会社員(給与所得者)は、初年度に確定申告をすれば2年目以降は年末調整で手続きできます。適用要件や控除額は改正されることがあるため、詳細は国税庁や税務署でご確認ください。

Q. 派遣の契約更新が数年ごとで不安です。審査に不利になりますか?

民間銀行のプロパー住宅ローンでは、勤続年数や収入の安定性を重視するため、契約更新型の働き方が慎重に見られることはあります。一方、フラット35は勤続年数や雇用形態を問わず、継続的な収入があるかどうかで審査されます。過去の収入実績(源泉徴収票など)を整えておくと、審査の材料として役立ちます。

Q. 妻が派遣社員です。産休・育休で収入が減ると返済は大丈夫でしょうか?

収入合算やペアローンで妻の収入を返済計画に組み込む場合は、育休中の収入減や職場復帰の見通しまで含めて考えることが大切です。FPとしては、どちらか一方の収入だけでも返済を続けられる金額に借入額を抑えておくことをおすすめします。地方は都市部より住宅価格が抑えめな地域も多いので、無理のない範囲での資金計画が立てやすいという利点もあります。

Q. 派遣社員は頭金がないと住宅ローンは組めませんか?

頭金がゼロでも申し込める住宅ローンはありますが、頭金(自己資金)を入れると借入額・返済負担率が下がり、審査でも有利に働きやすくなります。フラット35は融資率が9割以下だと9割超より金利が低くなるため、可能な範囲で自己資金を用意しておくと、金利・総返済額の両面でメリットがあります。

派遣社員でも、申込先を正しく選び、無理のない返済計画を立てれば、マイホームは十分に実現できます。ご不安な点があれば、お住まいの地域の金融機関やFPに個別にご相談ください。