40代・50代からでも住宅ローンは組めます。ただ、多くの金融機関は完済時80歳未満を上限にしているので、年齢が上がるほど選べる返済期間が短くなり、そのぶん月々の返済額が増えて審査も慎重になります。徳島のような地方では、親の介護やUターンをきっかけに40代・50代で家を考える方も多いので、年齢がどう審査に効くのかと、年齢が高くても通りやすくする工夫を順にお話しします。

年齢が高いと住宅ローン審査に通りにくくなる2つの理由

住宅ローンは長い期間をかけて返していくものなので、マイカーローンなどと比べると審査は厳しめです。申込みには年齢の条件があり、安定した収入が見込めない若すぎる年齢だけでなく、年齢が高すぎても条件に引っかかることがあります。

国土交通省の「民間住宅ローンの実態に関する調査(令和7年度)」によると、金融機関が融資の際に考慮する項目として最も多く挙げたのは完済時年齢の98.4%で、健康状態96.1%、借入時年齢96.2%、年収94.2%が続きます。年齢に関わる条件は、どの金融機関もほぼ例外なく見ているということです。

参考:『令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書』(pdf)
国土交通省 住宅局

では、なぜ年齢が高くなると審査に通りにくくなるのか。理由は大きく分けて2つあります。

理由1.定年までに返し終えられないおそれがある

住宅ローンの審査で見られているのは、この人は最後まできちんと返せるかという一点です。入社したばかりで収入が少ない人や勤続年数が短い人の審査が厳しくなるのはそのためですが、収入が高く勤続年数が長ければそれで十分、というわけでもありません。

多くの会社は65歳前後で定年を迎える一方、住宅ローンの返済期間は最長35年が一般的です。35年ローンを組むなら30歳ごろまでに借りないと、返し終える前に定年が来てしまう計算になります。

退職金で残高を減らしたり、現役のうちに繰上返済したりすれば定年前後で完済することもできます。それでも貸す側から見れば、申込年齢に上限を設けるのは自然なことです。

定年が近い時期に申し込む場合は、いつ退職するのか、退職金はいくら入るのか、再雇用や再就職の予定はあるのかを金融機関から聞かれることもあります。定年後の収入と返済の見通しまで説明できるよう準備しておくと、話がスムーズに進みます。

理由2.団体信用生命保険にも年齢の条件がある

ほとんどの住宅ローンは、団体信用生命保険(団信)への加入が条件です。加入が任意になっているのは、実質的にはフラット35くらいです。

団信は住宅ローン専用の生命保険で、借りた人が亡くなったり所定の高度障害状態になったりしたときに、保険金で残りのローンが完済されます。家族を守る仕組みであると同時に、金融機関にとっての安全網でもあり、引き受ける保険会社の事情も重なって、住宅ローンの年齢制限(≒団信の年齢制限)が決まっています。

多くの金融機関が目安にしているのが80歳までに完済するという年齢制限です。35年ローンを組みたいなら、遅くとも45歳までに申し込む必要がある計算になります。

年齢が高くても住宅ローンに通りやすくする4つの工夫

年齢制限がある以上、年齢が上がると審査が厳しくなるのは事実で、一般的には20代後半から30代前半がもっとも借りやすい年代です。とはいえ、さまざまな事情で家を考えるのが遅くなった方も多いはずです。その場合に取れる工夫を4つ挙げます。

工夫1.30代のうちに検討を始め、早めに申し込む

年齢制限にかからなければ、申込み自体はできます。ただ、上限に近づくほど審査は厳しくなるので、ぎりぎりまで待たずに早めに動くほうが選択肢は広く残ります。

家を買うきっかけは結婚や出産などのイベントが多く、時期を自分で決められるものではありません。それでも一般的には40歳までに契約するほうが選べる商品も返済期間も多いので、少しでも早い段階で検討を始めておくと、あとで選べる幅が残ります。

工夫2.完済時の年齢を低く設定する

先ほどの調査のとおり、金融機関がもっとも重視するのは完済時年齢です。完済時の年齢を低くすれば、それだけ審査では有利になります。50歳で申し込んでも20年ローンなら70歳で返し終えるので、年齢だけを理由に断られる可能性はぐっと下がります。

返済期間の上限は、完済時年齢から逆算して決まります。たとえばフラット35では、借入期間の上限は「80歳-申込時の年齢(1年未満切上げ)」と「35年」のいずれか短いほうです(住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」)。50歳3か月で申し込むと上限は29年になり、35年ローンは組めません。

返済期間が短くなると、月々の返済額はどれくらい増えるのか。仮に2,500万円を年1.5%の全期間固定・元利均等・ボーナス返済なしで借りたとすると、次のようになります(金利を仮定した単純計算で、実際の金利ではありません)。

返済期間 毎月の返済額 総返済額
35年(45歳で借りて80歳で完済) 約76,500円 約3,215万円
29年(50歳で借りて79歳で完済) 約88,600円 約3,085万円
20年(50歳で借りて70歳で完済) 約120,600円 約2,895万円

期間を短くするほど総返済額は減りますが、毎月の負担は35年と20年で4万円以上違います。完済時の年齢を下げる方法は、次の4つを組み合わせて考えるのが現実的です。

月々の返済額を増やす

同じ額を借りるなら、毎月の返済額を増やすほど返済期間を短くでき、支払う利息も減ります。40代・50代は20代・30代のころより収入が増えていることも多い反面、教育費や老後資金の準備と重なる時期です。教育費と老後資金を差し引いても続けられる返済額に収めることを優先してください。

購入する物件の価格を抑える

一生に一度の買い物なので、できれば妥協したくないところだと思います。ただ、借入額が大きいほど審査も厳しくなる傾向があるので、年齢がネックになりそうなら物件価格を抑えることも検討に入れてください。

地方では土地の選び方しだいで総額を抑えられる余地が比較的大きく、駅からの距離より車での動きやすさを重視すれば、候補地が広がることもあります。住めば都という気持ちで条件に優先順位を付けると、無理のない価格帯が見えてきます。

頭金を増やす

物件価格が高くても、頭金をしっかり用意できれば借入額を減らせます。金融機関は返済が滞ったときに物件を売って回収するので、物件価格に対する借入額が少ないほど回収できる見込みが高くなり、審査でもプラスに働きます。

頭金の有無は審査に少なからず影響すると言われています。退職金の受け取り時期が見えている方は、それを繰上返済にあてる計画とあわせて伝えると、返済の見通しを説明しやすくなります。

金利の低い住宅ローンを選ぶ

同じ金額・同じ期間で借りても、金利によって総返済額は大きく変わります。単純計算ですが、3,000万円を35年で借りる場合、金利が年0.5%違うだけで総返済額はおよそ300万円変わります(年1.0%と1.5%の比較で約301万円)。

住宅ローン金利は日銀の利上げを受けて全体に上がっており、水準は毎月変わります。地銀・信金・ネット銀行のどこが低いかも商品や時期で入れ替わるので、金利だけでなく事務手数料・保証料・団信の上乗せまで含めた総額で比べることが大切です。

つまり、少しでも条件のよい住宅ローンを選び、毎月の返済額を無理のない範囲に収めながら、できるだけ短い期間で完済時の年齢を下げる。そこに頭金を組み合わせて借入額を減らす。この4つの組み合わせで、年齢が高くても現実的な返済計画が立てやすくなります。40代の借入額の目安は「40代の住宅ローンはいくら借りられる?審査・頭金・平均借入額をFPが解説」でも詳しく取り上げています。

工夫3.担保評価の高い物件を選ぶ

金融機関は返済が滞ったときに物件を売って穴埋めをするので、担保としての価値が高い物件ほど審査では有利です。建物は年数とともに価値が下がっていくため、担保評価を重視するなら立地に目を向けてください。

駅やスーパー、病院が近い、生活に便利な地域にある物件は、建物の価値が下がっても担保評価が大きく落ちにくい傾向があります。ただ、そうした人気エリアは物件価格も高く、借入額や返済期間が膨らみがちなので、年齢が高い方には諸刃の剣になりかねません。担保評価の高い物件を選ぶなら、十分な頭金を用意できるかどうかもあわせて考えてください。

工夫4.ワイド団信を検討する

年齢が上がると健康面に不安が出てくるのは、多くの方に共通する悩みです。団信は生命保険なので、健康状態によっては加入できず、その結果として住宅ローンの審査に落ちることがあります。

そうした方向けに引受基準をゆるやかにしたのがワイド団信で、ソニー銀行などのネット銀行でも取り扱いがあります。上乗せ金利は年0.3%前後の金融機関が多いなか、ソニー銀行は年0.2%で、そのかわり完済時の年齢が満81歳未満になります(2026年10月時点・同行の商品詳細説明書による)。

団信の加入審査は引受保険会社が行うので、引受保険会社が違う複数の住宅ローンに申し込んでみるのも一つの対策です。ワイド団信の仕組みや取り扱い銀行は、次の記事にまとめています。

ワイド団信にも加入できなければ住宅ローンはあきらめるべき?/ワイド団信とは?取り扱い銀行の一覧

定年間近や親子での借入れにも使える制度がある

定年が近い方や定年後の方でも、借りられる可能性はあります。ただ、現役世代より審査は慎重になるので、再雇用や年金などの収入見込み、退職金の使い道、完済までの資金計画を具体的に説明できることが前提になります。50歳以上の方には、住宅金融支援機構の住宅融資保険を使った【リ・バース60】という選択肢もあります。

【リ・バース60】は、毎月の支払いを利息のみにして、元金は亡くなったあとに担保の住宅の売却などで返す仕組みの住宅ローンです。原則は満60歳以上が対象で、満50歳以上満60歳未満の方も利用できますが、その場合は融資の限度額が異なります(住宅金融支援機構「【リ・バース60】」)。通常の住宅ローンと仕組みが大きく違うので、取扱金融機関で条件を聞いてから検討してください。

親の年齢が高い場合は、フラット35の親子リレー返済も使えます。子などの後継者が返済を引き継ぐことを前提に、申込みご本人が満70歳以上でも申し込め、借入期間は後継者の年齢を基準に決められます。二世帯での家づくりを考えている方には、検討する価値のある仕組みです。

年齢が高くても工夫しだいで住宅ローンの審査は通る

年齢が上がると審査に通りにくくなるのは事実で、もう40代だからと申し込む前からあきらめてしまう方も少なくありません。たしかに20代・30代と比べれば審査は厳しくなりますが、完済時の年齢を下げたり頭金を用意したりすれば、年齢が高くても審査を通ることは十分にできます。50代での借入額や団信の選び方は「50歳・55歳で住宅ローンは組める?借入額と団信をFP解説」も参考にしてください。

民間の住宅ローンがどうしても厳しい場合は、フラット35を考えてみるとよいと思います。フラット35も80歳までの完済が条件ですが、申込みは満70歳未満まで可能で(親子リレー返済なら70歳以上でも可)、団信への加入も任意です。年齢や健康状態に不安がある方にとって、有力な候補になると考えています。

フラット35は、SBIアルヒのような住宅ローン専門会社のほか、地元の地銀・信金、ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)などのネット銀行も取り扱っています。金利も融資事務手数料も取扱機関ごとに違うので、複数の窓口で条件を並べてから申し込むと損を避けられます。

SBIアルヒのスーパーフラット(フラット35(保証型)を用いた同社独自の商品)では、同社の団体信用生命保険Cからワイド団信を選べるので、年齢が高い方や健康に不安のある方でも団信を付けられる可能性が広がります。実際に選ぶ段階では、各金融機関の最新の条件をご自身でも確かめてから判断してください。

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