住宅ローンを相談するFPの選び方
住宅ローンを相談するFP(ファイナンシャルプランナー)は、「何で収入を得ているか」で選ぶのがいちばんの近道です。金融機関の営業担当、ハウスメーカーや工務店の営業担当、保険などを販売する独立系FP、相談料だけで成り立つFPでは、同じ「FP」でもアドバイスの立ち位置がまったく違います。
日銀は2026年9月の会合で政策金利を1.25%程度へ引き上げ(日本銀行の公表資料)、住宅ローン金利も上がりやすい局面が続いています。誰に相談するかで結果が左右されやすい今こそ、特定の商品を売ることが目的ではない立場で家計全体を見てくれるFPを選ぶ価値があります。以下、タイプごとの特徴と向いている人を、地方で暮らすご家庭の目線も交えて整理します。
初めてのマイホーム購入を本格的に考えるまで、住宅ローンや住まいにまつわるお金のことを真剣に考える機会は、ほとんどなかったのではないでしょうか。
いざ調べ始めても、知らないことが多すぎて、勉強そのものが苦痛になってはいないでしょうか。
仕事・家事・育児と夫婦で忙しい毎日を送り、子どもの寝かしつけが終わったわずかな時間に、眠い目をこすりながら住宅ローンのことを調べるのは大変だと思います。
何も知らないよりは良いのですが、中途半端な知識が住宅ローン選びに与えるプラス効果は、実はそれほど大きくないこともあります。そんな思いをするくらいなら、お金を払ってでも専門家であるFPに相談することをおすすめします。
その決定的な理由は……
せっかく勉強した住宅ローンの知識などは、ほとんどの場合で二度と使わない
何度もマイホームを買う方もまれにいますが、ほとんどの人にとってマイホームは一生に一度の買い物です。時間や手間、本代をかけて住宅ローンを勉強しても、その知識を使うのは一度きりで、二度と使わない可能性が高いということです。
それなのに、かかる時間や労力は膨大です。たった一度のために費やす時間だと考えると、これほど効率の悪いことはありません。
中学校や高校の授業中に、こんなことを思ったことはありませんか?
「こんなこと勉強したって、将来絶対使うことないわ。」
住宅ローンの勉強もまさにこれと同じです。学生のときは赤点を取らないために最低限の勉強が必要でしたが、誰かが代わりにテストを受けて良い点を取ってくれるなら、そのほうが楽ですよね。FPに相談するのは、そんな気持ちに近いのだと思います。
多少のお金はかかりますが、FPなどの専門家に考えてもらったほうがはるかに楽です。空いた時間で土地や工務店選びを進めて早くマイホームを手に入れれば、家賃の支払いも早く終わりますし、より良い環境での生活も早く始められます。
よく分からないうえに、二度と使わないかもしれない勉強をするより、専門家に任せたほうが総合的に良い結果になることがほとんどです。(あなたがFPと同じだけの知識を身につけ、同じ判断ができる自信があるなら別ですが)
ただ、FPに相談するにしても「一体誰に相談すればいいのか分からない!」という方は多いと思います。
そこで、いろいろなFPの特徴と、相談するメリット・デメリットをご紹介します。これを参考にあなたに合うFPを選び、住宅ローンをはじめとするお金の問題をクリアにして、マイホーム購入とその後の新生活を成功させていただきたいと思います。
どのタイプのFPに相談するにしても言えること
それは、相談相手が「目先のお金に追われている人」ではないか、ということです。いくら知識があっても、自分の売上げに追われている人は、あなたの悩みの解決より自分の収入を優先したアドバイスになりがちです。有能なFPであれば、多くの人のお金の悩みを解決して、その対価として報酬を得ているはずです。
余裕がない人は、あなたにとって必要のない保険などの金融商品を、あたかも必要であるかのように説明して販売しようとしてきます。話しぶりや提案の仕方から、あなたの話をきちんと聞いてくれているか、売ることを急いでいないかは、お金の素人でも十分に見抜けるはずです。
お金の相談をするなら、落ち着いてあなたの話に耳を傾けてくれる人を選びましょう。
FPの種類
一言でFPといっても、いろいろなタイプがいます。まずはFP(ファイナンシャルプランナー)の種類について説明します。
ハウスメーカーや工務店からFPを紹介されることもあると思います。その場合は、下記を参考に、紹介されたFPがどのタイプかを見分けるとよいでしょう(紹介されたFPとの付き合い方はハウスメーカー紹介のFPは信用できる?でも解説しています)。
ざっくりいうと、FPの種類は次のとおりです。
- FPの資格を持っている保険会社、銀行、証券会社などの金融機関の営業担当
- FPの資格を持っているハウスメーカーや工務店の営業担当
- 金融機関には所属せず独立しつつ、保険の代理店や投資信託などの金融商品を販売して生計を立てているFP
- 金融商品などの販売はせず、コンサルティング・アドバイスだけで生計を立てているFP
- セミナーなどがメインで個別の相談をしていないFP
セミナーなどがメインで個別相談をしていないFPについては、今回の説明は省きます。
FPの資格を持っている金融機関の営業担当の特徴と住宅ローン等の相談をするメリット、デメリット
「ファイナンシャルプランナーの資格を持っています!」と名乗る人の中では、金融機関の営業担当がいちばん多いのではないかと思います。
彼らに相談するメリットは、なんといっても相談にお金がかからない、つまり無料で相談できることです。
なぜ、無料で相談できるのか?
無料で相談できるのは、勤務先である保険会社・銀行・証券会社の商品を販売することで会社に収益が上がり、そこから給料をもらっているからです。つまり、相談自体は無料で受け、金融商品の販売で収入を得ているということになります。
無料なので気軽に相談しやすく、良いアドバイスがもらえれば、時間以上の損をすることはありません。
これが、FPの資格を持っている金融機関の営業担当に住宅ローン等の相談をするメリットです。
デメリットは商品販売ありきの相談になってしまうこと
デメリットは、所属している金融機関の商品の販売ありきのアドバイスになることがほとんどだという点です。
彼らは相談を受けること自体では収入を得られません。何らかの商品を買ってもらわなければボランティアになってしまいます。そのため、受けるアドバイスは「商品を買ったほうがいい」「買わなければいけない」と思えるような内容になりがちです。
さらに、提案される金融商品も、所属している会社が扱っているものの中からしか出てきません。たとえば、FPの資格を持っているA銀行の営業担当に住宅ローンの相談をしたとします。「あなたの場合はB銀行の住宅ローンのほうがおすすめですよ」と言われることはまずないと、想像がつくと思います。
たまたまA銀行の住宅ローンがあなたにとっていちばん良いものであれば問題ありませんが、そうでなければ損をすることになります。
中には、特定の金融機関に所属していながら「その人にいちばん良いものを勧める」という高い倫理観を持った営業担当もいるかもしれませんが、そうした人を見つけるのはなかなか難しいでしょう。
そもそも、住宅ローンなどの知識がない場合も
FPの資格を持っているだけでは、住宅ローンや住まいにまつわるお金について満足なアドバイスはできません。それなりの経験が必要です。
しかし、金融機関の営業担当の本業は、自社の商品を売ることです。住宅ローンのアドバイス経験が豊富な人は多くないでしょう。
そのため、住宅ローン全般について聞いても、満足な回答をもらえないことが少なくありません。熱心な人なら一生懸命調べてくれるかもしれませんが、「また調べておきますね」でそのままになってしまうこともあるでしょう。
FPの資格を持っている金融機関の営業担当に住宅ローン等の相談をするメリット・デメリットまとめ
- メリット
- 無料で相談できるので気軽
- ダメなアドバイスでも商品を買わなければ時間以上の損はない
- デメリット
- 金融商品の購入ありきのアドバイスなので、あなた目線のアドバイスとは言いがたい
- 他社の有利な商品を教えてくれることはほぼない
- 住宅ローンをはじめとする住まいのお金全般に詳しいとは限らない
では、FPの資格を持っている金融機関の営業担当に相談するといいのはどんな人でしょうか?
- こんな人が向いている
- 利用したい保険会社や銀行がすでに決まっている
「この保険会社で入りたい」「この銀行で借りると決めている」という場合は、それぞれの金融機関へ相談するとよいと思います。
それ以外で、たとえ1級FP技能士やCFP®の資格を持っていても、特定の金融機関に所属している営業担当に住宅ローン選びそのものを相談する理由は、あまりないと私は考えます。
FPの資格を持っているハウスメーカーや工務店の営業担当などに住宅ローン等を相談するメリット・デメリット
続いて、FP資格を持っているハウスメーカーや工務店の営業担当などに相談する場合のメリットとデメリットです。
メリットは、こちらも無料で相談できることでしょう。無料なので気軽ですし、アドバイスが気に入らなければ聞き流しておけば、時間以上に損をすることはありません。
もう一つのメリットとして、ある程度経験を積んだ営業担当であれば、住宅ローンをはじめとするマイホーム購入のお金に詳しいことです。それが本業ですから。
マイホーム購入のどの段階で、どんなお金がいくらかかるのかは詳しく教えてくれるでしょう。住宅ローンの選び方もアドバイスしてくれ、有利な住宅ローンを教えてくれる場合もあります。
無料で相談でき、住宅ローンや購入にまつわるお金についてはそれなりに知識も経験もある。これがメリットです。
デメリットは住宅ローンやマイホーム購入以外のことはよく分からないことなど
ハウスメーカーや工務店の営業担当は、住宅ローンやマイホーム購入のお金には強い一方で、それ以外のことはあまり詳しくないことがほとんどでしょう。
たとえば、保険の見直しや資産運用までアドバイスできる人は多くないと思います。
妥協のない理想のマイホームを買うために予算の枠を広げようと思えば、保険の見直しや運用に取り組むことは重要です。
マイホーム購入のときに、なぜ保険の見直しや運用が重要なのかは、こちらの記事をご覧ください。
保険にはほとんど入っていない、運用も自分でやっているという方なら問題ありませんが、こうした点についてアドバイスをもらえないのは大きな痛手になります。
つまり、住宅ローンや資金計画の相談をしても、あなたが出せる最大限の予算を知ることができないというデメリットがあります。その結果、「本当はもっと良い家を建てられた」「もっと良い土地を買えた」ということが起こりえます。
「家を買えるように」のアドバイスになる可能性も
また、金融機関の営業担当と同じく、こちらも商品、つまり家を販売することありきの話になります。そのため、住宅ローン選びや予算のアドバイスが「家を買えるように」組み立てられることがあります。
本当は厳しいのに買えるような試算にしたり、途中で金利が変わることを十分に説明しないまま、当初の返済額が低く見える短期の固定金利を勧めたりといったことが起こる可能性があります。しかもFP資格を持っている人が言うので妙な説得力があり、たちが悪いのです。
提携している銀行や金融機関がある場合、そちらの住宅ローンを強く勧められる可能性がある
ハウスメーカーや工務店は、特定の銀行や金融機関と提携していることが多いです。その場合、数ある住宅ローンの中からあなたにとって有利なものを探してくれる可能性は低く、提携先の中で有利なものを提案されることになります。
これは先ほどの金融機関の営業担当に相談するのと同じです。たまたま提案された住宅ローンがあなたにとっていちばん有利なものならよいのですが、そうでなければ損をしてしまいます。地方では地元の銀行・信用金庫が提携先になっていることもあるので、提携先の条件とネット銀行などの条件を並べて比べてみるとよいでしょう。
FPの資格を持っているハウスメーカーや工務店の営業担当などに住宅ローン等を相談するメリット・デメリットまとめ
- メリット
- 無料で相談できるので気軽
- ダメでも商品を買わなければ時間以上の損はない
- 住宅ローンなど、マイホーム購入にまつわるお金のことについては詳しい場合がある
- 相談する人をひとまとめにできるので便利
- デメリット
- 保険の見直しや運用については詳しくないことが多く、最大限の予算を出しにくい
- 家を買うことが前提なので、資金計画が「家を買えるように」組み立てられる可能性がある
- 提携している金融機関の住宅ローンを勧められ、いちばん有利な住宅ローンを選べず損をする可能性もある
では、FPの資格を持っているハウスメーカーや工務店の営業担当に相談するのが向いているのはどんな人でしょうか?
- こんな人が向いている
- 保険や運用などは自分でできるので、住宅ローン等についてだけアドバイスがほしい
- 家はハウスメーカーや工務店、お金は別のところと、相談先を分けるのが面倒な人
- 自分でFP資格を持っていて、マイホーム購入のお金の流れだけを教えてもらいたい人
金融機関には所属せず独立しているが、保険の代理店や投資信託などの金融商品を販売して生計を立てているFPに相談するメリット・デメリット
特定の保険会社や銀行には所属せず、独立して事務所を構え、さまざまな保険会社や証券会社の金融商品を販売して生計を立てているFPに相談する場合です。
相談料金は無料から数十万円までばらつきがあります。
メリットは、いろいろな金融商品の中からあなたにとって有利なものを選ぶ手伝いをしてくれる?ことです。(「?」を付けているのは、必ずしもそうとは限らないからです)
相談料金を安く設定しているFPは金融機関の営業担当と大差はない
独立して事務所を構えているFPでも、相談料が無料や1万〜5万円程度のFPは、相談料だけで生計を立てるのは簡単ではありません。
そのため、別の収入源が必要になります。手っ取り早いのが保険や投資信託です。キャッシュフロー表を作るようなアドバイスの流れから提案しやすいからです。
ちなみに、キャッシュフロー表を自分で作りたい場合は、こちらの記事に作り方とひな形を用意しています。
相談料を安くしておけば、高く設定するよりもお客さんは集まりやすくなります。こうして集めたお客さんに、相談料より収益の大きい保険や投資信託を販売するという図式です。来店型の保険ショップも、相談無料で保険の販売手数料を収益源にしている代表例です。
相談料を払っていても、アドバイスはやはり商品販売ありきになりがちです。せっかく相談料を払ったのに、不要な保険などを提案、というより営業される可能性があります。安い相談料のFPに実際に相談した方の例は、相談料の安いFPに住宅ローンを相談した実録で紹介しています。
あなたにとっていちばん有利なものを提案してくれないかもしれない理由
「いろいろな保険会社や投資信託の中から、あなたにとっていちばん有利なものを提案します」とうたうFPは多いです。しかし、実情はそうなっていない場合も少なくありません。
なぜなら、同じような保険でも、保険会社によってFPが受け取る手数料(報酬)に差があるからです。たとえば、毎月5,000円(年間60,000円)の医療保険に入ったとします。仮にA保険会社ではFPに支払われる手数料が保険料の60%=36,000円、B保険会社では80%=48,000円だったとしましょう(分かりやすくするための仮の数字です)。
こうなると、B保険会社の保障内容が多少劣っていたり保険料が少し高かったりしても、FPから見ればB保険会社の保険に入ってもらったほうが得ですよね。つまり、あなたにとっていちばん有利な提案ではなく、そのFPの実入りがいちばん多い商品を提案される場合があるということです。
先ほど書いたとおり、売上げに追われているFPほど、この傾向は強くなります。
もちろん、保険や投資信託を扱うFPに相談すれば必ずFPに有利な提案をされる、というわけではありません。高い倫理観を持ち、手数料に関係なくあなたにとっていちばん良い商品を提案したり、不要なものは不要と言えたりするFPもいます。ただ、その見極めは簡単ではありません。
一方で、保険や投資信託を販売しているFPは、その場で保険料を試算してくれたり、商品の最新情報を持っていたりするので、提案がスピーディーだという良さもあります。
住宅ローン等、マイホーム購入に関する知識の量、経験もまちまち
彼らの本業は、建前としては保険や投資信託の販売ではなく、あくまでファイナンシャルプランナーです。住宅ローンやライフプラン、人によっては相続の相談なども受け付けています。
FPだから住宅ローンの相談にも的確に答えてくれるだろうと思いがちですが、そうとは限りません。人によって、住宅ローンやマイホーム購入のお金についての知識・経験にはばらつきがあります。
FPの試験範囲はとても広い一方で、一つひとつの分野は浅めです。それぞれの分野を突き詰めるには、深い勉強と経験が必要になります。
独立して相談料を請求するFP全員が、住宅ローンやマイホーム購入について深い知識と経験を持っているわけではありません。
とても詳しい人もいれば、「ネットで調べれば書いてあるよね」という程度のアドバイスしかできない人もいます。そして、それは料金で判断することもできず、ホームページを見ても判断しにくいのが現状です。
さらに、彼らのメインの収入は相談料ではなく、保険や投資信託の販売手数料です。住宅ローンに深い知識がなくても保険や投資信託が売れれば成り立つため、住宅ローンを深く勉強しようという動機が弱いこともあります。
金融機関には所属せず独立しているが、保険の代理店や投資信託などの金融商品を販売して生計を立てているFPに相談するメリット・デメリットまとめ
- メリット
- いろいろな金融商品の中からあなたにとって有利な商品を提案してくれる可能性が、特定の金融機関に所属する営業担当より高い
- 相談相手が住宅ローンに詳しければ、良いアドバイスをもらえる
- 相談相手の倫理観が高ければ、中立なアドバイス、もしくはあなたにとって有利なアドバイスをもらえる
- 保険や投資信託について最新の情報を持っており、その場で試算・提案を受けられるのでスピーディー
- 良いアドバイスをもらえれば、時間と労力の節約になる
- デメリット
- 費用がかかるので、良いアドバイスをもらえなかったときにお金も時間も損をする
- FPとは名ばかりで、実質は保険や投資信託の販売が中心の場合がある。お金はかかるうえに不要な保険を勧められる、という最悪のケースもある
- 相談相手によって住宅ローン等の知識にばらつきがあるので、相談相手を選びにくい
では、相談料を低くして保険を販売しているFPに相談するのは、どんな人が向いているでしょうか?
- こんな人が向いている
- FPに相談はしたいが、あまり高い相談料は払いたくない人
- 不要な保険などの提案をきっぱり断れる人
- 知り合いの紹介などでそのFPの人となりが分かっていて、信頼できる状態にある人
- 継続的にお金のアドバイスのフォローを受けたい人
保険や金融商品の取り扱いはなくアドバイスだけをしているFPに相談する場合のメリット・デメリット
特定の金融機関に所属せず、どの金融機関の代理店もせず、アドバイスだけで生計を立てているFPに相談する場合です。
相談料金はほぼ間違いなく有料です。商品を販売しない分、住宅購入の資金計画をまとめて依頼すると5万円以上になるところも珍しくありません。定額ではなく、住宅ローンの借入額や物件価格の1%などと設定しているところもあるようです。
なお、1時間単位の相談料で見ると、日本FP協会の認定FP(CFP®・AFP)では1時間5,000円〜1万円未満に設定している人が約半数で、1万円〜2万円未満が約3分の1という調査結果があります(2021年度の同協会調査)。
メリットは、不要な保険や金融商品の提案を受けることはまずないので、その点は安心して相談できることです。相談料や、人によっては講師業・執筆などで収入を得ているため、わざわざ不要な保険を売って稼ぐ必要がありません。
経験も豊富なことが多いので、相談料の安いFPに比べると良いアドバイスをもらえる可能性が高いと思います。書籍を出していたり、メディアに登場していたりする点で安心感もあるかもしれません(ただし、メディアへの露出度とアドバイスの質は比例しません)。
相談の結果、保険を見直したりする場合は二度手間になることも
彼らは保険などの金融商品を販売していないため、保険料を試算するツールを持っていないことが多く、試算できてもインターネット上で公開されている情報の範囲に限られます。
そのため、相談の結果、保険を見直して新たに加入する必要が出た場合は、保険を扱っているところへ出向いて見直し内容を説明し、手続きをしなければなりません(保険代理店と提携しているFPであれば、内容を説明してくれるはずです)。
その後も、保険の手続きは保険代理店へ、具体的なアドバイスはFPへ、という二度手間になります。
つまり、どうすればいいかはFPにアドバイスをもらい、その結果を保険代理店に伝えて手続きしてもらう、という形です。
住宅ローンやマイホーム購入についての知識、経験にはばらつきがある
アドバイスだけのFPも、相談料を安くして保険を売るFPと同様、住宅ローンやマイホーム購入についての知識・経験にはばらつきがあります。FPの試験範囲が広いこともあってか、ホームページを見ると「ライフプランも住宅ローンも保険の見直しも運用も贈与も相続も全部分かります!」とうたっているFPが多いのです。
全部を深く知っていて経験もあるなら良いのですが、そういう人はまれです。
これは外食に行くときの店選びに似ています。
家族で食べたいものがバラバラだったり、何を食べたいかはっきり決まっていないけれど、たまには家事を休んで外食したいという場合は、いろいろなメニューがあるファミリーレストランに行きますよね。
でも、家族全員が焼き肉を食べたいと言っているときに、ファミリーレストランには行きませんよね。間違いなく焼肉屋さんに行くはずです。
つまり、漠然としたお金の悩みで何を相談していいか分からない場合は、「何でも分かりますよ!」とうたっているFPに相談するのが良いでしょう。
しかし、あなたはいまマイホームを買おうとしていて、住宅ローンを借りようとしています。それなら、マイホーム購入や住宅ローンを専門にしている、あるいはその分野の経験が豊富だとはっきり示しているFPに相談すべきだと思いませんか?
とくに住宅ローンは、金利や商品の条件が頻繁に変わります。金利が上がりやすい局面ではなおさら、最新の情報を把握しているFPに相談することがとても重要です。
保険や金融商品の取り扱いはなくアドバイスだけをしているFPに相談するメリット・デメリットまとめ
- メリット
- 不要な保険などの金融商品を売られることはまずない
- 他のタイプのFPに比べると知識や経験が豊富なことが多い
- 書籍を出していたり、メディアへの露出度が高かったりする場合もあり、安心感がある
- デメリット
- それなりに費用がかかるので、良いアドバイスをもらえなかったときにお金も時間も損をする
- 相談相手によって住宅ローン等の知識にばらつきがあるので、相談相手を選びにくい
- 人気のFPは予約が取りづらいことがある
では、アドバイスだけをしているFPに相談するのが向いているのはどんな人でしょうか?
- こんな人が向いている
- 多少相談料が高くても、自分にとっていちばん良いアドバイスがほしい人
- 保険などの手続きが二度手間になるのは苦にならない人
- 継続的にお金のアドバイスのフォローを受けたい人
住宅ローンを相談するFP選びに共通すること
ここまで、タイプ別にFPへ相談するメリット・デメリットをお伝えしてきました。ただ、どのFPでも、実際に会って相談してみるまで、あなたにとって良いアドバイスをしてくれるかどうかは分かりません。
そこで、そのFPのホームページがあれば事前にチェックし、お客様の声が載っていないかを確認しましょう。その中に、あなたと同じような悩みや不安を抱えていた人の声があるかを見てください。その人が満足できたという感想があれば、同じ悩みを持つあなたの問題もきちんと解決できる可能性が高いといえます(もちろん確実ではありません)。
同じタイプのFPなら、料金の差で選ぶのではなく、お客様の声を掲載しているかどうか、掲載しているならあなたと同じ悩みを解決できて喜んでいる人がいるかどうかをチェックするとよいでしょう。資格を確認したい場合、CFP®認定者であれば日本FP協会の検索システムで、所在地や相談料金などの条件から探すこともできます。
なお、日本FP協会も「有料相談の相談料はFPがそれぞれ独自に設定しており、1時間あたりの金額が1つの目安。具体的な金額や料金体系は申込み前に直接確認を」と案内しています(相談料の目安(有料相談)|日本FP協会)。料金の高い安いだけではアドバイスの質を判断できない、という考え方とも重なります。
ファイナンシャルプランナーへ相談することの限界
これから住宅ローンを組んでマイホームを購入するあなたが気になっているのは、「自分はこの金額の住宅ローンを借りて、無事に返していけるのだろうか?」「いくらまでなら借りて大丈夫なのだろうか?」ということですよね。
この疑問や不安を解消するために、FPへの相談を検討されているかもしれません。
しかし、無料のFPでも有料のFPでも、アドバイスには限界があります。それは、あなたの収入以上のプランを描いてはくれないということです。
具体的に言うと、FPに相談してこう言われたとします。「今の収入や今後の収入予測、貯金額から計算すると、借りても大丈夫な住宅ローンの金額は2,500万円ですね。」
いたって真っ当なアドバイスです。しかし、3,500万円の住宅ローンを借りなければ、満足のいく土地を買えない、住みたいと思える家を建てられないとしたらどうでしょうか?
あなたはこう言います。「どうしてもこの土地を買って家を建てたいんです。何とかなりませんか?」
するとFPはこう言うでしょう。「分かりました。では、3,500万円の住宅ローンを借りるために、車の買い替えを7年ごとから11年ごとに延ばしましょう。新車はやめて中古車にしましょう。お子さんの学費も奨学金を利用してもらいましょう。そうすれば、3,500万円でも何とか大丈夫でしょう。」
もしあなたが、車は7年に一度新車にしたい、子どもが進学するなら学費を出してあげたいという希望も譲れないとしたらどうでしょうか?
あなたはこう言います。「車が好きなので新車は譲れません。子どもの学費も、自分が親に出してもらったので、自分の子どもにも出してやりたいんです。」
するとFPはこう言うでしょう。「分かりました。では、奥さまが5年後からパートに復帰する予定でしたが、正社員で働きましょう。月20万円くらいの収入があれば、3,500万円の住宅ローンも車も学費も大丈夫そうです。」
もし奥さまが、長時間外で働くより子どもと過ごす時間を大切にしたいと考えていたらどうでしょうか?
あなたはこう言います。「パートくらいなら何とかなるかもしれませんが、正社員で長時間働きたいとは思いません。子どもとの時間を大切にしたいんです。」
するとFPはこう言うでしょう。「それは難しいですね。マイホームか車か学費か、どれか一つかいくつかを諦めていただかないと、やっていけませんよ。」
これがFPに相談することの限界です。
どのタイプのFPに相談しても、基本的にはこれから得られる収入の範囲内で賢く暮らす方法を教えてくれるものです。あなたが本当に望む暮らしが見込まれる収入を超えているなら、「それは諦めてください」という答えが返ってくることになります。
言い換えれば、あなたの人生に「収入」という枠をはめることになるのです。そして、その枠そのものを広げる方法までアドバイスしてくれるFPは、あまり多くないように思います。
ファイナンシャルプランナーに相談して資金計画することの意味とは?
では、資金計画をする意味は何でしょうか。それは、あなたが送りたい人生にいくらかかり、これから得られる収入でそれをまかなえるのかを確認する作業です。
つまり、このままで理想とする暮らしを送れるかどうかを確かめるのが資金計画です。
マイホーム購入も住宅ローンの借入れも、人生全体で見ればお金の話のほんの一部にすぎません(けれども、とても重要です)。
資金計画では、このままの収入でマイホーム購入、住宅ローン返済やその他、やりたいことや欲しいものも全部実現できるかを確認するだけ
マイホームをはじめ欲しいものを手に入れる、教育費を準備したいなら準備する、住宅ローンを無事に返す、旅行などやりたいことがあれば実現する。これらを今の収入でまかなえるかどうかを確認します。
そのうえで、
実現できそうならそのまま進めばいい
今の収入やこれから得られる収入で、やりたいことも欲しいものも実現できそうだと分かれば、そのまま進めばいいということになります。
「このままで大丈夫」という大きな安心感を手に入れることができるでしょう。
こうなれば理想ですが、必ずしもそうなるとは限りません。
実現できそうにない場合は2つの選択肢がある
では、理想の暮らしを送るには収入が足りないと分かったら、どうすればよいのでしょうか。
その場合は2つの選択肢があります。
1つ目:支出が収入の枠の中に収まるようにあなたがやりたいことや欲しい物を諦めていく作業をする
マイホームの予算を下げる、車を新車でなく中古にする、旅行を減らす、子どもの学費は奨学金にしてもらう、生活費を削るなど、支出を減らす作業です。
こうすれば、借りても大丈夫な住宅ローンの金額が分かりやすくなり、経済的には安心して暮らせるようになります。
しかし、本当にそんな暮らしを送りたいでしょうか。何もかも妥協する生活を送りたいでしょうか。
「欲しいものややりたいことを諦めても、経済的な安心感のほうが大事」ということであれば、FPなどと相談しながら、暮らしに折り合いをつける作業をされるとよいと思います。
そうは思わない、できるだけ妥協せず、やりたいことや欲しいものを実現したいと思うなら、次の選択肢を検討してください。
2つ目:収入を増やす
FPに相談して出てくる資金計画の結果は、ほとんどの場合「このままいったら」が前提になっています。
「このままであれば、借りても大丈夫な住宅ローンの金額は○○万円ですよ」という結果です。
確かに、このままいけばそれ以上借りるのは厳しいかもしれません。しかし、収入が変われば結果も変わります。
今のままでは厳しい返済も、収入が増えれば楽に払えるようになります。新車の購入も、教育費の準備も、旅行も、収入が増えれば実現しやすくなります。
「どうすれば理想のマイホームを買い、我慢や妥協の少ない暮らしを手に入れられるのか?」という方向へ意識を向けるのです。
どちらの選択肢がいいかというと、私は2つ目の「収入を増やす」ことを考えてみるよう強くおすすめします。
収入が増えれば、人生の可能性が広がるからです。できることが増え、手に入るものも増え、我慢や妥協が減っていきます。
私自身、最初は返済がかなり厳しい住宅ローンを借りました。しかし、「どうすればこの住宅ローンを払えるようになるか?」「どうすれば欲しい車を買えるようになるか?」という意識を持ち続けた結果、今では住宅ローンの返済に困ることはなく、欲しいものもほとんど買えるようになりました。
もし家を買うときに、予算内に収めることだけを考えていたら、今も収入はさほど変わっていなかったかもしれません。
もちろん、収入を増やすのは簡単なことではありません。転職・副業・共働きの形の見直しなど、どの方法にも時間とリスクが伴うので、借入額を決めるときは「今の収入で返せる額」を土台にし、収入アップは上乗せの目標として考えるのが安全です。それでも、「どうすれば増やせるか」を考え始めることが、理想の暮らしへの第一歩になります。
ファイナンシャルプランナーへの相談を通じて、住宅ローンや資金計画だけではなく、あなた自身がどんな人生を送りたいのか確認してみましょう
いろいろなタイプのFPに相談するメリットとデメリットをお伝えしてきました。この情報をもとに、相談するFPを選んでいただければと思います。
選んだFPへの相談は、どの住宅ローンにするか、予算をいくらにするかという表面的なことだけでなく、あなた自身がこれからどんな人生を送りたいのかを確認するためにも使うとよいでしょう。無料相談の仕組みと上手な使い方は住宅ローンのFP無料相談の仕組みと注意点にまとめています。
そして最終的には、できる限りあなたが本当に生きたい方向へ進むのをサポートしてくれるFPを選んでください。