住宅ローンの当初固定期間が終わっても、必ず借り換えが必要になるわけではありません。ただし、移行後の変動金利が「いま借り換えられる金利」より年0.5%以上高く、残高1,000万円以上・残り期間10年以上が残っているなら、借り換えで利息を減らせる可能性が高いというのがFPとしての答えです。

「当初10年固定で借りたけれど、固定期間が終わったらどうなるの?」――FPとしてよくいただくご相談のひとつです。徳島など地方にお住まいの方からも、地銀やネット銀行で当初固定タイプを選んだあと、期間終了後の金利が気になってご相談に来られるケースが増えています。

今の日本の住宅ローンで圧倒的な人気を集めているのは変動金利タイプです。金利が低い変動金利タイプと、金利を固定できる固定金利タイプの中間に位置づけられるのが「当初固定金利」や「期間選択型固定金利」と呼ばれる金利タイプで、「当初10年固定金利」などと表現されるものです。

金融機関によって呼び方が異なりますが、このページでは「当初固定金利タイプ」と呼ぶことにします。仕組みとデメリットを確認し、解決策としての住宅ローン借り換えについて、FPの視点でいっしょに見ていきましょう。

参考までに、当初固定金利タイプの中で人気の固定期間の傾向がわかる過去の調査結果をお示しします。10年または10年超が大半を占めています。当初固定金利タイプのデメリットは「当初固定期間が終了した後の金利が高くなりやすい」点なので、固定期間が短い金利タイプは敬遠されている、というわけです。

住宅ローン利用者の実態調査による当初固定期間の人気傾向

当初固定金利タイプの住宅ローンとは?=期間終了後は優遇幅が縮む商品

当初固定金利タイプの住宅ローンは、借り入れ直後から一定期間の金利を固定できる商品です。一般的に、当初固定期間中は金利の優遇幅(基準金利からの引下げ幅)が大きく、期間終了後は優遇幅が小さくなるように設定されています。

マイホーム購入直後でローン残高が多い時期の金利を固定してリスクを抑えつつ、ある程度低い金利で借りたい人に支持されている金利タイプです。仕組みの詳細は固定金利期間選択型住宅ローンとは?期間終了後の注意点でも解説しています。

メガバンクでは期間経過後の金利の上がり方がそれほど目立ちませんが、ネット銀行はかなり大きな上昇幅になるケースが多くあります。当初固定期間の金利だけで比べたくなりますが、銀行ごとに当初固定期間終了後の引下げ幅が異なるので注意が必要です。

なお、当初固定タイプの住宅ローンは原則として期間経過後は変動金利に移行されます。改めて固定期間を選び直すこともできますが、その場合の引下げ幅も当初より小さいのが一般的です。

住宅ローンの期間設定型(当初期間引下げ型)の仕組みを示した図

FPからのワンポイント:日銀は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレート)の誘導目標を年1.0%程度から年1.25%程度へ引き上げることを決めました(日本銀行「金融市場調節方針の変更」2026年9月18日)。変動金利の基準金利は短期プライムレートに連動する銀行が多く、政策金利の引き上げが各行の基準金利や返済額に反映されるまでには時間差があります。

当初固定期間が終わって変動金利へ移行するときの「適用金利」は、移行時点の基準金利から引下げ幅を引いた金利です。基準金利は今後も動く可能性があるため、固定期間の満了を迎える方は、返済予定表や契約書で「自分の引下げ幅」と「見直し時期」を早めに確認しておくと安心です。

ご参考までに、当編集部では毎月、14の金融機関・機関の公式の金利ページを実際に開いて、住宅ローンの表示金利を集計しています。2026年9月適用分(2026年9月1日確認)では、前月と比較できた127件のうち、引き上げが106件・据え置きが21件で、引き下げは0件でした(当社調べ。フラット35・50の19件は住宅金融支援機構の同一金利を取扱各社ごとに計上)。

一方で変動金利は27件のうち19件が据え置き・8件が引き上げと、固定金利ほど一斉には動いていません。当初固定期間の終了を控えている方は、こうした毎月の動きも眺めながら、移行後の金利と借り換え先の候補を早めに見比べておきましょう。

当社が実測した住宅ローン金利127件の前月比内訳。引き上げ106件・据え置き21件・引き下げ0件
当編集部が各金融機関の公式サイトで実測した金利のうち、2026年8月と9月の両方で比較できた127件の内訳(フラット35・50の19件は機構の同一金利を取扱各社ごとに計上)

固定金利が終わったら借り換えをしないと損?=「移行後の金利」と「今の借り換え金利」の差で決まる

契約している銀行や金利タイプによって違いますが、判断の軸は「移行後の変動金利」と「いま借り換えで使える金利」の差です。2026年9月時点で、主要ネット銀行・メガバンクの新規・借り換えの変動金利は、当編集部の実測ではおおむね年1.0%台〜1.7%台に収まっています。

ですから、固定期間終了後に移行した変動金利がこの水準より年0.5%以上高い場合は、借り換えを行ったほうが利息を減らせるケースが多いでしょう。ただし借り換えには費用も手間もかかります。数千円や数万円程度の差であれば、無理に借り換える必要はありません。

条件によっては、数十万円~100万円以上の借り換え効果を得られる可能性もあります。当初固定期間が終了する1年ぐらい前までに、いちどしっかりシミュレーションしておくことをおすすめします。借り換え時の注意点は住宅ローン借り換えの注意点|諸費用・審査・団信にまとめています。

銀行ごとの当初期間経過後の金利水準と借り換え検討の目安

次に、当初固定期間が経過したあとの変動金利の水準と、借り換え検討の優先度の目安をまとめました。金利は各行が2026年9月に公表している「変動金利の基準金利」と「固定期間終了後の引下げ幅」から当編集部が算出した参考値です。実際の適用金利は契約時期・プラン・移行時点の基準金利で異なるため、ご自身の返済予定表でご確認ください。

銀行名借り換え検討の優先度当初固定期間終了後の変動金利の目安(2026年9月時点・参考値)
ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)WEB申込コース・当初引下げプランは終了後の引下げ幅が年0.996%と小さく、基準金利3.775%なら年2.779%。借り換え検討の優先度が高い
auじぶん銀行当初期間引下げプラン(固定10年など)の終了後は基準金利から年0.845%の引下げ。基準金利3.141%なら約2.3%
ソニー銀行固定セレクト住宅ローンの当初固定終了後は基準金利から年0.65%の引下げ。2026年9月の基準金利なら約2.1%
三菱UFJ銀行「最初に大きな優遇コース」の固定10年・20年は終了後に店頭表示金利から年1.55%の引下げ。店頭表示金利3.375%なら約1.8%
みずほ銀行・三井住友銀行・横浜銀行・千葉銀行などプランや審査結果で引下げ幅が決まる方式のため、一律の目安は示せません。契約書の「固定期間終了後の引下げ幅」と各行の基準金利で確認を
SBI新生銀行×当初固定終了後も基準金利から年0.900%(自己資金優遇は年0.920%)の引下げが続き、基準金利2.300%なら年1.380〜1.400%。急いで借り換える必要性は小さい
出典:ドコモSMTBネット銀行auじぶん銀行ソニー銀行三菱UFJ銀行SBI新生銀行の各公式金利ページ(2026年9月22日確認)

表を見ると分かるとおり、ネット銀行の当初優遇型は「当初は低く、終了後は高い」設計が多く、メガバンクは終了後の落差が比較的小さめです。例外がSBI新生銀行で、固定期間が終わっても引下げ幅があまり縮まないため、移行後もそのまま借り続ける選択が十分に成り立ちます。

徳島の地銀・信金で借りている方も考え方は同じです。「当初◯年は店頭金利から年◯%引下げ、終了後は年◯%引下げ」という2段階の設計が一般的なので、契約書で終了後の引下げ幅を確認し、いまの店頭金利に当てはめて移行後の金利を計算してみてください。

借り換え先の候補になる銀行=金利・諸費用・団信のバランスで選ぶ

最後に、借り換え先として検討に値する銀行をいくつかご紹介します。どこが正解ということではなく、金利・諸費用・団信のバランスをご自身の条件に当てはめて比べてみてください。

銀行名特徴(2026年9月時点)
ソニー銀行通常の「住宅ローン」なら取扱手数料が一律44,000円(税込)と抑えめ。がん団信50が上乗せなしで付帯し、ワイド団信も取扱。金利の低い変動セレクト・固定セレクトを選ぶと取扱手数料は借入金額の2.20%(税込)になる点に注意。
SBI新生銀行事務手数料は借入金額の2.20%(税込)の定率型。保証料0円・一部繰上返済手数料0円で諸費用が分かりやすく、一般団信は上乗せ0円。がん団信や全疾病保障付団信(上乗せ0円)など保障が手厚く、店舗とオンラインの両方で相談できる安心感がある。5年ルール・125%ルールは採用していない。
auじぶん銀行事務手数料は借入金額の2.20%(税込)。変動金利が魅力的な水準で、50歳以下なら、がん50%保障(急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患の保障付き)の団信が上乗せなしの専用金利プランで使える。完済までの総返済額ではソニー銀行・SBI新生銀行よりメリットが出るケースもある。

各行の金利・手数料・団信の最新の条件は、必ず公式サイトでご確認ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 固定期間が終わると、必ず金利は上がりますか?

A. 必ず上がるわけではありませんが、当初固定タイプは期間終了後に金利の優遇幅が縮小する設計が一般的なため、結果として適用金利が上がりやすい傾向があります。とくにネット銀行は上昇幅が大きくなりやすいので、満了前に確認しておきましょう。

Q. 借り換えの損益分岐はどう考えればよいですか?

A. 一般的には「残高1,000万円以上・残り返済期間10年以上・金利差0.5%以上」が借り換え効果の出やすい目安とされます。借り換えには事務手数料・登記費用・印紙税などの諸費用がかかるため、軽減される利息額が諸費用を上回るかをシミュレーションで確認することが大切です。

Q. 固定期間が終わる前に借り換えたほうがよいですか?

A. 固定期間中に借り換えると、銀行によっては全額繰上返済の手数料がかかるほか、固定期間中の低い金利を手放すことになります。満了の1年ほど前から準備を始め、移行後の金利が確定する時期に合わせて実行するのが一般的です。

Q. 地方の地銀・信金から借りていますが、ネット銀行へ借り換えできますか?

A. 多くの場合可能です。ただしネット銀行は年収や勤続年数などの審査基準が比較的しっかりしている傾向があります。地元の地銀・信金は対面で相談できる安心感がありますので、金利だけでなく、相談のしやすさや団信の内容も含めて、ご自身に合うバランスで選ぶとよいでしょう。迷ったときはFPなど中立の専門家にご相談ください。