「金利が上がってきたので、借り換えたほうがよいでしょうか?」――FPとしてよくいただくご相談です。住宅ローンの借り換えは、現在の住宅ローンから別の住宅ローンに変更することで、借入金利の低下や返済条件の改善によって月々の返済額を減らしたり、完済タイミングを前倒ししたりできる、家計見直しの王道です。
国土交通省の調べでは、令和4年度の全国の金融機関の住宅ローン借り換え用の資金貸し出し実績は9,200億円となっており、借り換えの実行額を1件3,000万円とした場合、年間で約30,000人の方が借り換えを実現した計算になります。
本ページでは、住宅ローンの借り換えを検討している方に向けて、借り換えの「注意点」をFPの視点で整理してお伝えします。

目次
【最初に】住宅ローン借り換えのメリット
住宅ローン借り換えの最大のメリットは、住宅ローンの返済額を削減できることです。
実際にどの程度の効果があるのか、試算してみましょう。2010年1月に三菱UFJ銀行で変動金利 年1.475%・5,000万円の住宅ローンを組んでいたとします。
これを2020年6月に借り換えた場合と、借り換えをしなかった場合とで、完済までの総返済額の違いを比較してみます(※過去の金利での試算例です。実際の効果は時点によって変わります)。
| 借り換えなし | 借り換え | |
| 2020年6月の残債 | 37,709,765円 | 37,709,765円 |
| 適用金利 | 変動金利:1.475% | 年0.410%に借り換えた場合 |
| 月々の返済額 | 152,480円 | 134,801円 |
| 総返済額 | 44,981,600円 | 39,631,473円 |
| 借り換え融資手数料 | - | 829,400円 |
| 抵当権設定・司法書士費用 | - | 200,000円 |
| 総額 | 44,981,600円 | 40,660,873円 |
| 差額 | 4,320,727円 |
約25年間の返済が残っている状態での借り換えで、430万円あまりの借り換え効果が出る結果となりました。月々の返済額も18,000円ほどの減額となります。
FPからのワンポイント:2026年6月時点では日銀の政策金利が年1.0%程度まで引き上げられ、変動金利も上昇局面に入っています。上の例のように大きな金利差が出るかは時期によって変わりますので、借り換えを考えるときは「いまの自分の金利」と「借り換え後の金利・諸費用」で必ずシミュレーションしてから判断しましょう。
住宅ローン借り換えの注意点
借り換えの諸費用が必要
住宅ローンの借り換えには、銀行に支払う事務手数料などの諸費用が必要です。ネット銀行系では借入金額×2.20%(税込)の定率型が多い一方、メガバンクや一部の銀行では数万円の定額型+保証料という形もあります。例えばソニー銀行の通常の「住宅ローン」は事務手数料が一律44,000円(税込)と、定額型を選べます。なお、かつて事務手数料の定額型を用意していたSBI新生銀行は、2024年10月末の申込分で定額型の取扱いを終了し、現在は借入金額の2.20%(税込)の定率型に一本化されています(最新の手数料は各行公式でご確認ください)。定率型と定額型のどちらが有利かは、借入額・残り期間によって変わるので、しっかりシミュレーションしましょう。
借り換えにも住宅ローン審査がある
住宅ローン借り換えの際にも、与信・年収・職業・担保価値・健康状態などで住宅ローン審査が行われます。
現在の住宅ローンの審査後に、審査にマイナスな事象が発生していると、借り換え審査に通らない可能性が出てきます。このため、借り換えを予定している場合には、ご自身の信用上の環境を整えておくことが必要です。
特に転職や起業の直後は住宅ローン審査にマイナスに働きますので、これらの予定がある場合には、転職・起業の前に借り換えを完了させておくとよいでしょう。
団信の再審査にも注意
また、審査については団体信用生命保険(団信)についても行われ、通院・病歴などで健康状態が悪化していると団信の審査に落ちる可能性があるので注意が必要です。
借り換えに伴う団信の告知義務違反の裁判事例もあるので、告知義務違反は避けましょう。
仮に団信の審査に落ちた場合には、加入条件を緩和したワイド団信を活用するという対策があります。ただし、ワイド団信の利用には年0.2%から年0.3%程度の金利上乗せが必要となるため、借り換えのメリットが薄れてしまう可能性もあります。借り換えのシミュレーションをしてみるのが賢明でしょう。
既存住宅ローンで保証料の返戻があるかも
既存の住宅ローンで保証会社による保証を受け、保証料を一括前払いで支払っている場合には、住宅ローンの繰上げ一括返済後に、保証会社から保証料の返戻を受けられることがあります。この返戻を借り換え時の事務手数料に充てることも可能です(実際の返戻は、繰上返済をしてから1ヶ月くらい必要です)。
疾病保障の充実にも注目
ネット銀行の住宅ローンが主流になってきている中で、疾病保障が充実している住宅ローンが増えています。例えば、がんや病気への備えが無料でできることで、結果的に既存の医療保険・がん保険・生命保険の見直しが可能になる可能性があります。
具体的には、auじぶん銀行が疾病保障の充実した住宅ローンの筆頭です。
auじぶん銀行の住宅ローン
三菱UFJ銀行とKDDIが出資しているauじぶん銀行は、ネット完結型の住宅ローンを変動金利から固定金利まで低金利で提供しており、疾病保障が充実していることで人気を集めています。
auじぶん銀行は、ネット銀行で初めて、がん50%保障・4疾病保障・全疾病長期入院保障※の3つの疾病保障の付帯を開始した銀行で、競合のソニー銀行やドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)に一歩リードしている状況です。
※満50歳までのお客さまが加入可能。
転職・起業などの予定がある場合には早めの借り換えを
転職や起業などの予定がある場合には、早めに借り換えを行うことが大切です。というのも、基本的には住宅ローン審査において転職や起業はプラス要因にならないからです。
住宅ローンを貸し出す金融機関は、継続的な収入が得られ、住宅ローンを毎月きちんと返済できるかという返済能力を重視するため、仕事環境の変化はプラスになりません。
転職・起業後、借り換えが可能になるまでの期間は金融機関によりさまざまですが、比較的すぐに借り換えが可能な住宅ローンとしてはSBI新生銀行、イオン銀行、SBIアルヒ(旧ARUHI)のフラット35が挙げられます。
特に、SBI新生銀行では転職直後でも住宅ローンを借りられることを積極的に告知しています。

いずれにしても、転職や起業の計画がある場合には、その前に借り換えを完了しておくことが、選択肢を広げることにつながります。
住宅ローン借り換え審査に必要な書類
| 種別 | |
|---|---|
| 申込書類 | 住宅ローン申込書 |
| 団体信用生命保険申込書兼告知書 | |
| 本人確認書類 | 運転免許証もしくはパスポート |
| 健康保険証 | |
| 世帯全員の住民票 | |
| 印鑑証明書 | |
| 収入証明 | <会社員> 源泉徴収票 住民税課税証明書もしくは住民税決定通知書 |
| <個人事業主・会社経営者> 確定申告書(直近3年分) 納税証明書(直近3年分) |
|
| 住宅物件に係る書類 | 登記簿謄本 |
| 売買契約書 | |
| 重要事項説明書 | |
| 借り入れ中の住宅ローン書類 | 住宅ローン返済予定表 |
| 返済口座の通帳の写し |
※ネット銀行の借り換えでは、物件に関する書類が不要な銀行も増えてきています。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 借り換えはどれくらいの金利差があれば検討すべきですか?
A. 一般的には「残高1,000万円以上・残り返済期間10年以上・金利差0.5%以上」が借り換え効果の出やすい目安とされます。ただし諸費用(事務手数料・登記費用・印紙税など)がかかるため、軽減される利息額が諸費用を上回るかをシミュレーションで確認することが大切です。
Q. 地方の地銀・信金から借りています。借り換え先はどう選べばよいですか?
A. 金利の低さだけでなく、団信・疾病保障の内容、事務手数料のタイプ(定率型/定額型)、相談のしやすさも含めて総合的に比べるのがおすすめです。対面で相談したい方は地元の地銀・信金や店舗のある会社、手数料や金利を重視する方はネット銀行、と使い分けるとよいでしょう。迷ったときは中立のFPにご相談ください。
Q. 借り換えのとき、健康状態が不安です。
A. 借り換えでは団信に入り直すため、健康状態によっては団信の審査に通らないことがあります。その場合はワイド団信(金利上乗せあり)という選択肢もあります。告知は正確に行い、告知義務違反は絶対に避けてください。
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