国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」(2025年9月公表)によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円、男性でも587万円です。年収700万円台はこれらを大きく上回る「高年収」と呼べる水準で、国内で審査申し込みができない住宅ローンはほとんどありません。安定した高年収を継続している方は金融機関から高い信用力があると判断され、利用できる住宅ローンの選択肢も広がりますので、より条件の良い住宅ローンを選びたいところです(※会社経営者・個人事業主の方は別の見方になります。下記参照)。

一方で、会社経営者・個人事業主の方は高年収を実現できていても、民間の住宅ローン審査では門前払いになることが極めて多い状況です。例えば直近3年間の経営・収支情報を銀行に提出しなければならなかったり、その期間中の経営状態が継続して良好なのか等を審査され、経営や収支が不安定だと判断されてしまうと審査否決となってしまうケースも珍しくありません。

こうしたケースでは、公的な住宅ローンと言えるフラット35への審査申し込みが有力な選択肢になります。フラット35であれば、経営する会社の状況は原則として住宅ローン審査の対象になりません。取扱金融機関のなかでもドコモの銀行のフラット35(買取型)は金利水準に定評があります(融資事務手数料は借入額の2.20%〈税込・最低11万円〉。※かつて全疾病保障を無料付帯していた独自の「保証型」は、2026年7月時点で新規申込受付を停止しています。またドコモの銀行は2026年8月に商号を「ドコモSMTBネット銀行」へ変更済みです)。

 

年収700万円の住宅ローン借入限度額はいくら?

最初に年収700万円の借入限度額を確認してみたいと思います。金融機関が貸し出す限度額と実際に返済していけるかには大きな差がありますが、ここでは前者の金融機関の定める限度額を確認していきます。

ここで紹介するのは、金融機関が「貸し出せる」とする借入可能額の上限の目安です。これは実際に適用される低い金利ではなく、審査で使う審査金利(おおむね年3〜4%程度)と返済負担率(年収400万円以上で35%まで等)をもとに算出される点に注意してください。下表は年収別の借入可能額の一例です(前提条件により変わります)。

年収 借り入れ限度額
700万円 5,110万円
750万円 5,470万円
790万円 5,760万円

こうしてみると、年収の7倍程度の借り入れが可能であることが分かります。

実際に返済していける限度額はいくら?

フラット35を所管する住宅金融支援機構が「住宅ローン利用者の実態調査」において、実際に住宅ローンを組んだ人たちがどの程度の借り入れをしているかの調査を行っています。

この調査によると、年収に占める住宅ローンの返済負担率を15%から20%としている方が多く、全体の6割の方は20%以内にしていることが分かります。

これを年収700万円の方に置き換えると、700万円×20%=140万円(約116,000円/月)が住宅ローン返済額の目安となります。この毎月返済額で、変動金利年0.9%程度(2026年7月時点でも主要ネット銀行の変動金利の最低水準は年0.950%前後)・返済期間35年で試算すると、無理なく返せる借入額は約4,200万円が一つの目安です。金融機関が定める「貸し出せる上限」とは差があり、「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物だと分かりますね。

住宅ローンの返済負担率

年収700万円の住宅ローンの頭金

次に実際に住宅ローンを組んでいる方がどの程度の頭金を用意しているのかを確認します。こちらも住宅金融支援機構が「住宅ローン利用者の実態調査」において、頭金に関する調査が実施されています。これによると全体の90%程度の方は頭金を用意しています。ただし、中には50%、40%と大きな金額の頭金を用意しているケースも見られますが、10-20%程度の頭金を用意しているケースが中央値となっています。

前述の借入限度額を加味すると、年収700万円の方は5,000-5,500万円程度の住宅を購入していると想定できます。

住宅ローンの頭金

年収700万円だとどんなマンションが購入できる?

年収700万円台だとどういったマンションを購入できるかは、2020年8月にSUUMOで確認した物件を一例として紹介します(※下記は2020年8月時点の例です。2020年以降はマンション価格が大きく上昇しているため、現在は同じ予算で買える広さ・エリアが狭まっている可能性があります。最新の相場は各物件サイトでご確認ください)。

中古マンション

東京の場合

足立区、墨田区、板橋区、荒川区、江戸川区

3LDKで70平米前後

築10年以下

最寄り駅から徒歩10分以下

大阪府の場合

中央区、吹田市、堺市

3LDK~4LDKで60-80平米前後

築10年以下

最寄り駅から徒歩数分

新築マンション

東京の場合

練馬区、江戸川区、町田市、大田区、調布市、立川市

3LDKで70平米前後

最寄り駅から徒歩10分以下

大阪府の場合

3LDKで70平米前後

吹田市、枚方市、大阪市天王寺区、堺市、

最寄り駅から徒歩数分

 

年収700万円の住宅ローン借入額判定

次に、年収700万円の方が各借入額を組んだ場合の毎月返済額と判定を見てみます。ここでは変動金利年0.9%程度(2026年7月時点の目安)・返済期間35年・元利均等返済(ボーナス払いなし)で試算しています。金利が変われば返済額も変わるため、最新は各行のシミュレーションでご確認ください。

借入額 月々の返済額 判定
3,000万円 83,300円
3,500万円 97,200円
4,000万円 111,100円
4,500万円 124,900円
5,000万円 138,800円 △(年収700万円台後半なら◎)

不動産価格の上昇に伴いサラリーマンがマイホームを購入しにくい状況ですが、年収700万円台の方でも、頭金を用意しないと都心部で十分な面積を確保できるマイホームを購入するのは難しい状況です。都心から少し離れた物件であれば、3000-4000万円程度でも中古住宅を中心に購入できる機会はあると思いますが、通勤、通学などにかかる時間やコストも加味して物件選びをしたいですね。

 

地方にお住まいの方へ|FPからのワンポイント

ここまで首都圏・関西の物件例を紹介しましたが、徳島をはじめ地方では、同じ年収700万円でも住宅予算の考え方が変わります。土地代が抑えられるぶん、3,000万〜4,000万円台で注文住宅や広めの戸建てを検討できるケースが多く、「借りられる上限」まで借りる必要性はさらに低くなります。一方で地方は車社会で、車の買い替え費用・維持費が家計に占める割合は都市部より大きくなりがちです。FPとしてご相談を受ける際は、住宅ローンの返済負担率を車関連の支出や教育費も含めた家計全体で考えることをおすすめしています。

金融機関選びでは、地銀・信用金庫は対面で相談しやすく、地元の物件事情や自営業の実情を踏まえて話を聞いてもらいやすいのが強みです。金利水準ではネット銀行が有利なことが多いため、「相談は地元の金融機関で、金利の比較はネット銀行も含めて」という併用が現実的です。

 

年収700万円台にオススメな住宅ローンとは?

最後にオススメの住宅ローンとその特徴を紹介していきたいと思います。

SBI新生銀行

店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応し、保証料・一般団信が0円と諸費用がわかりやすいのが特徴です。事務手数料は借入金額の2.20%(税込)の定率型。変動金利の「パワースマート住宅ローン(変動金利・半年型)」は、2026年7月適用でSBIハイパー預金の優遇適用時に年0.990%と金利面の競争力もあり、地方にお住まいで「ネット銀行だけだと不安」という方にも、対面で相談できる選択肢として検討に値します。最新の金利・団信の内容は公式サイトでご確認ください(2026年7月時点)。

 

年収700万円台のローン選び 早わかり比較

銀行 特徴・団信 こんな人に
auじぶん銀行 変動・固定とも低水準。がん50%保障団信(全疾病保障含む)を金利上乗せなしで付帯可。ネット完結で審査が速い。 金利と保障のバランス重視・ネットで完結したい人
ソニー銀行 がん団信50(がん診断で残高が半分)を無料付帯。がん団信100(+0.1%)やワイド団信も低水準。審査はやや厳しめ。 公務員・正社員でがん保障を手厚くしたい人
ドコモの銀行(フラット) フラット35(買取型)の金利水準に定評。会社の業績に左右されにくい。※保証型は2026年7月時点で新規受付停止。 自営業・会社経営者、収入が変動しやすい人
SBI新生銀行 保証料・一般団信が0円。事務手数料は2.20%(税込)の定率型。店舗+オンライン両対応。 対面で相談しつつ諸費用を抑えたい人

※上記は各行の代表的な特徴を整理したものです。金利・団信・手数料は変更されることがあるため、最新の内容は必ず各行公式サイトでご確認ください(2026年7月時点)。

年収700万円の住宅ローンに関するよくある質問(FAQ)

Q. 年収700万円の手取りはどのくらい?返済の目安は?

家族構成や控除によって変わりますが、年収700万円の手取りはおおむね520万〜540万円前後(社会保険料・税引後)が目安です。FPとしておすすめするのは、額面年収ではなく手取りに対して住宅ローン返済が無理のない範囲(手取りの20〜25%以内)に収まるかで判断することです。

Q. 夫婦で収入合算やペアローンを使うべき?

収入合算やペアローンを使うと借入可能額を増やせますが、団信の付き方、どちらかが離職・休職したときの返済、離婚時の取り扱いなど注意点もあります。「2人の収入ありき」で上限まで借りるのではなく、片働きになっても何とか返せる範囲を基準に考えると安心です。

Q. 変動金利と固定金利、2026年はどちらを選ぶ?

2026年6月に日本銀行が政策金利を1.0%程度へ引き上げる(約31年ぶりの水準)など、長く続いた低金利からの転換が進んでいます。変動金利は当面低めの水準ですが今後引き上げられる可能性があり、一方でフラット35など固定型の金利もこの数年で大きく上昇しています(フラット35〈返済期間21〜35年・融資率9割以下〉の2026年7月の最頻金利は年3.140%)。金利が上がっても返済を続けられるか(家計の余力)で選ぶのが基本です。最新の金利は各行公式・住宅金融支援機構でご確認ください(2026年7月時点)。

Q. 頭金はどのくらい用意すればいい?

住宅金融支援機構の調査では、利用者の約9割が頭金を用意しており、中央値は物件価格の10〜20%程度です。頭金を入れると総返済額が減り、フラット35では融資率9割以下で金利が下がる場合もあります。ただし生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)は手元に残すことを優先しましょう。

Q. 教育費とのバランスはどう考える?

お子さまが高校〜大学に進む時期は教育費の支出が増えます。その時期に住宅ローン返済が重くならないよう、返済負担率は低めに設定しておくと安心です。繰上返済を急ぐより、教育費や予備資金を確保してから無理のない範囲で行うのがFPとしてのおすすめです。