団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンを利用するときに加入する生命保険です。生命保険である以上、健康状態によっては加入できないことがあります。

FPとして住宅ローンのご相談をお受けしていると、「持病があるのですが、団信に入れなければマイホームは諦めるしかないのでしょうか?」というご質問を本当によくいただきます。結論からお伝えすると、団信に入れない場合でも打つ手は複数あります

この記事では、団体信用生命保険(団信)に入れないケース(病気)や、団信に入れないときの対策を、ご相談にお答えするつもりでわかりやすく解説していきます。

団体信用生命保険(団信)とは?役割をおさらい

団体信用生命保険は、住宅ローン契約者が住宅ローン返済中に死亡もしくは所定の高度障害の状態となった場合に、生命保険会社が住宅ローン債権者の銀行などに保険金を支払い、住宅ローンの残債を弁済する仕組みです。

団信に加入しておくことで、万が一の際に残された家族が住宅ローンの返済に追われることなく、安心してその家に住み続けられるというメリットがあります。

また、多くの住宅ローンでは団信の保険料は金融機関の負担となり、住宅ローン契約者が保険料を支払うことはありません。住宅ローンは数千万円単位の借入になりますが、同じ保障額の生命保険を個人でかけようとすると年間の保険料は数万円にもなります。これが節約できるのもメリットの1つです。

ワイド団信の審査に落ちた時の有力候補の住宅ローンはフラット35です。フラット35は団信に加入せずとも住宅ローンを組むことが可能です。フラット35を取り扱う住信SBIネット銀行(買取型)はネット完結型で来店不要、融資事務手数料は借入額の2.20%(税込・最低11万円)です。

住信SBIネット銀行のフラット35の公式サイトはこちら

団体信用生命保険(団信)の告知義務

団信は誰でも加入できるわけではありません。また、団信は住宅ローンとセットで利用する商品なので、住宅ローン審査申し込み時に団信の加入申し込みをすることになります。

団信の申し込み時には、直近の治療歴や過去数年間の病歴・健康状態についての告知を行います(多くの告知書では「最近3カ月以内の治療・投薬」「過去3年以内の所定の病気での手術・治療」などが質問項目です)。告知内容に虚偽や誤りがあると、告知義務違反と判断されて、万が一の際の保障を受けられなくなるので注意してください。

加入時の審査は告知書ベースの簡易的なものですが、実際に保険金を支払う際には病院にカルテの開示を請求するなど厳格にチェックされるので、加入時の虚偽申告を隠し通すのは至難の業です。

ワイド団信の告知書

団体信用生命保険(団信)に加入できないケース・病気

一般団信に加入できない持病、病歴のある方に向けた団信が「ワイド団信」と呼ばれる商品です。

最初に、ワイド団信の引受保険会社として多くの銀行が採用しているクレディ・アグリコル生命保険が過去にワイド団信で引き受けた病気の実績を確認しておきましょう。

ワイド団信の加入実績に病名が記載されている場合、一般団信には加入しにくい病気だったと理解することもできます。逆にワイド団信の加入実績にない病名の場合、ワイド団信にも加入できない可能性があることを示しています。

病気の種類 ワイド団信で過去に引受実績のある病気
代謝異常による病気 糖尿病、脂質異常症(高脂血症・高コレステロール血症)、高尿酸血症・痛風など
心臓・血圧の病気 狭心症、心筋梗塞、不整脈、心房細動、期外収縮、心臓弁膜症、高血圧症、血栓性静脈炎(静脈血栓症)など
脳の病気 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、脳動脈瘤(脳動脈解離)、てんかん、ギランバレー症候群など
精神・神経の病気 うつ病・うつ状態、自律神経失調症、適応障害、不安障害、強迫性障害、パニック障害、睡眠障害、神経症など
食道・胃・腸の病気 潰瘍性大腸炎、クローン病、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸ポリープなど
肝臓・胆道・膵臓の病気 肝炎・ウイルス肝炎(B型肝炎・C型肝炎)、肝機能障害、脂肪肝、胆石、胆嚢ポリープなど
呼吸器(胸部)の病気 喘息、気管支炎、肺炎、肺血栓塞栓症、結核、睡眠時無呼吸症候群など
目・耳・鼻の病気 緑内障、白内障、網膜剥離、難聴、副鼻腔炎など
ホルモン・免疫異常による病気 バセドウ病(甲状腺機能亢進症)、甲状腺機能低下症、リウマチ性疾患、橋本病、全身性エリテマトーデスなど
血液・造血器の病気・異常 貧血、赤血球・白血球の数値異常など
妊娠・女性特有の病気 妊娠、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮頸部異形成、子宮内膜炎など

団信の加入審査は銀行ではなく生命保険会社が実施する

住宅ローン審査は金融機関で実施しますが、団信の審査は引受保険会社(生命保険会社)が実施します。そのため複数の金融機関に住宅ローン審査を申し込んでも、団信の審査を行う保険会社が同じであれば、団信が理由で複数の住宅ローン審査に落ちる可能性が出てきます。

そのため、引受保険会社が異なる銀行・住宅ローンに申し込むのも、団信に入れないリスクを回避する対策として有効です。

主な銀行・金融機関の団信引受生命保険会社(2026年7月時点)

金融機関 団信引受生命保険会社
三菱UFJ銀行 日本生命/明治安田生命
三井住友銀行 住友生命
みずほ銀行 第一生命
りそな銀行 第一生命
住信SBIネット銀行 SBI生命
auじぶん銀行 ライフネット生命
楽天銀行 住友生命/楽天生命
SBI新生銀行 SBI生命/第一生命(プランにより異なる)
PayPay銀行 クレディ・アグリコル生命保険
ソニー銀行 クレディ・アグリコル生命
SBIアルヒ(スーパーフラット) クレディ・アグリコル生命
フラット35(新機構団信) 住宅金融支援機構が保険契約者となる団体保険(引受は機構が契約する生命保険会社)

※引受保険会社は商品改定などで変更されることがあります。最新の引受保険会社は、各金融機関の公式サイトや「被保険者のしおり」で必ずご確認ください。

団体信用生命保険(団信)に加入できないときの対策

複数の生命保険会社の住宅ローンに申し込みをする

団信の加入審査は生命保険会社が実施するため、引受保険会社が同じ住宅ローンに申し込んでも、団信の審査結果は同じになりやすいのが実情です。たとえば、PayPay銀行とソニー銀行の住宅ローンに申し込みをしても、団信の引受保険会社はどちらもクレディ・アグリコル生命であるため、団信の審査が原因で2行とも住宅ローン審査落ちという回答が出る可能性があります。こうした事態を避けるためには、auじぶん銀行(ライフネット生命)、SBI新生銀行(SBI生命・第一生命)などにも住宅ローン審査申し込みをすることが大切になってきます。

なお、SBI新生銀行にはワイド団信の取り扱いはありませんが、一般団信・全疾病保障付団信ともに金利上乗せ0円で、保証料や一部繰上返済手数料も0円です。クレディ・アグリコル生命の審査で難しかった方が「引受保険会社を変えて」申し込む先の候補として、検討する価値のある1行です。

ワイド団信に申し込みをする

本ページですでに何回か紹介していますが、持病や病歴がある方は、ワイド団信を利用して団信の保障を受けることが最も望ましいと言えます。

ワイド団信についても、同じ生命保険会社に審査をしてもらう限り結果は変わりにくいので、ワイド団信を引き受けている複数の生命保険会社に審査をしてもらうことがポイントです。実際のワイド団信の引受保険会社を次に紹介します。

主な銀行・金融機関のワイド団信引受保険会社(2026年7月時点)

金融機関 ワイド団信引受生命保険会社
三菱UFJ銀行 クレディ・アグリコル生命
三井住友銀行 取り扱いなし
みずほ銀行 SOMPOひまわり生命保険株式会社(上乗せ年0.3%)
りそな銀行 クレディ・アグリコル生命
住信SBIネット銀行 SBI生命(上乗せ年0.3%)
auじぶん銀行 ライフネット生命
ソニー銀行 クレディ・アグリコル生命(上乗せ年0.2%)
SBI新生銀行 取り扱いなし
イオン銀行 イオン・アリアンツ生命
SBIアルヒ(スーパーフラット) クレディ・アグリコル生命

多くの金融機関ではワイド団信の引受保険会社がクレディ・アグリコル生命になっている点に注意が必要です。

クレディ・アグリコル生命以外を引受保険会社としているワイド団信には、auじぶん銀行(ライフネット生命)、みずほ銀行(SOMPOひまわり生命)、住信SBIネット銀行(SBI生命)、イオン銀行(イオン・アリアンツ生命)などがあります。クレディ・アグリコル生命のワイド団信で難しかった場合は、これらの銀行への申し込みも検討したいですね。

ワイド団信をお得に利用するためには?

ワイド団信の保険料は年0.2%〜0.3%程度の上乗せ金利として支払う形になるので(多くの銀行は年0.3%)、通常の団信を利用するよりも住宅ローンの返済負担が増えることになります。

だからこそ、ワイド団信を提供しつつ、少しでも住宅ローン金利が低くなる住宅ローンを選ぶことが重要になってきます。上乗せ幅の面では、ソニー銀行のワイド団信は上乗せ年0.2%と低めです。

  • ソニー銀行(上乗せ年0.2%)
  • auじぶん銀行
  • 住信SBIネット銀行(上乗せ年0.3%)
  • SBIアルヒ(スーパーフラット)

団信への加入が任意のフラット35を利用する

フラット35は団信への加入が任意になっており、団信に加入しない場合の借入金利は新機構団信付きの借入金利から年0.2%引き下げとなります(住宅金融支援機構)。死亡や高度障害など万が一の際の保障が特に不要、すでに他の生命保険を契約しているという場合には、団信なしでフラット35を利用するのも1つの方法です。

ちなみに2026年7月のフラット35の最頻金利は年3.140%(返済期間21年以上・融資率9割以下・新機構団信付き)です。金利は毎月見直されるため、最新の金利は住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。

ただし、死亡や高度障害など万が一の際への備えがない状態で住宅ローンを組むことはリスクが高いので避けたいところです。団信なしを選ぶなら、収入保障保険や引受基準緩和型の死亡保険など、代わりの備えとセットで考えることをおすすめします。

団信に入れないときによくあるご質問(FAQ)

持病のことを告知しなければバレませんか?

絶対にやめてください。告知義務違反があると、万が一のときに保険金が支払われず、住宅ローンだけが家族に残ってしまいます。保険金の支払い時にはカルテの開示などで厳格に確認されるため、隠し通せるものではありません。告知書の質問に該当することは正直に、該当しないことまで書く必要はない、が原則です。迷ったら保険会社や金融機関に確認しましょう。

うつ病や糖尿病で通院中でも団信に入れる可能性はありますか?

一般団信は難しい場合でも、上の引受実績の表のとおり、うつ病・糖尿病・高血圧症などはワイド団信での引受実績がある病気です。症状や治療状況によって審査結果は変わりますので、正直に告知したうえで、引受保険会社の異なる複数の住宅ローンで試してみる価値があります。

ワイド団信にも落ちてしまったら、もう家は買えませんか?

そんなことはありません。団信加入が任意のフラット35(団信なしなら金利は年0.2%引き下げ)を利用する方法があります。また、配偶者に安定した収入があれば、配偶者を主債務者とする借入やペアローンを検討できる場合もあります(審査や保障設計は個別性が高いので、FPなど専門家にご相談ください)。

まとめ:団信に入れなくても選択肢はあります

団信に入れない=マイホームを諦める、ではありません。ポイントは次の3つです。

  • 引受保険会社が異なる住宅ローンに申し込む(同じ保険会社に何度出しても結果は変わりにくい)
  • ワイド団信を取り扱う銀行(ソニー銀行・auじぶん銀行・住信SBIネット銀行など)に申し込む
  • それでも難しければ、団信加入が任意のフラット35+代わりの保険で備える

健康状態の告知は正直に。そのうえで、ご自身の病歴に合った申し込み先の組み合わせを考えていきましょう。