住宅ローンの金利上昇対策は、突きつめると3つです。「金利が今より2〜3%上がっても返せる借入額にとどめる」「繰上返済に回せる余裕資金を持つ」「変動と固定の総返済額を借りる前に試算しておく」。この記事では、その根拠になる変動金利の仕組みと、4,000万円を35年で借りた場合の試算をFPの立場でお示しします。

前提となる金利環境は動いています。日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレート翌日物)を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げることを決定しました(賛成7・反対2)。新しい方針の適用は9月24日からです。

公表文では「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との方針も示されています(出典:日本銀行「金融市場調節方針の変更について」2026年9月18日)。

ただし、次の利上げの時期や幅は決まっていません。日銀総裁でも、いつ・どれだけ金利が上がるかを正確に答えることはできないのです。ですからこのページでは「金利が上がったら何が起きるか」を先に見て、対策を考えていきます。地方で家計のご相談を受けるFPとしても、最近とくに多くいただくテーマです。

直近では4人に3人(75%)が変動金利を選んでいる

フラット35を所管する住宅金融支援機構が年2回行っている「住宅ローン利用者の実態調査」では、実際に住宅ローンを利用した方がどの金利タイプを選んだかを調べています。2026年1月調査(2025年4月〜9月に借りた1,237人が対象)では、変動型が75.0%、固定期間選択型が14.9%、全期間固定型が10.1%でした(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」)。

変動型は前回(2025年4月調査)より4.0ポイント減り、全期間固定型は1.3ポイント増えました。それでも4人に3人は変動を選んでいる計算で、「上がるとしても、まずは金利の低い変動で」と判断している方が多いことが分かります。同じ調査では、今後1年で金利が「現状より上昇する」と答えた方が73.7%にのぼっています。

2026年1月調査で住宅ローン利用者が選んだ金利タイプの割合。変動型75.0%、固定期間選択型14.9%、全期間固定型10.1%
2025年4月〜9月に住宅ローンを利用した1,237人の回答(住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」2026年1月調査)

変動金利、固定期間型、全期間固定金利の違い

改めて住宅ローン金利の3つのタイプを確認していきましょう。

変動金利の特徴・メリット・デメリット

現在最も人気があるのが変動金利です。変動金利は、メガバンクが優良企業向けの1年以内の短期融資に適用する「短期プライムレート」と呼ばれる金利に連動している金利タイプで、市場金利が上昇するとそれに連動して住宅ローン金利も上昇することがデメリットです。

また、変動金利には125%ルール、5年ルールと呼ばれる金利上昇時に一定期間の返済額の変動を抑える仕組みがあり、結果的に未払い利息が増えていくという落とし穴があるのにも注意が必要です。仕組みの詳細は「変動金利型住宅ローンの仕組みと計算|5年ルール・メリット・デメリット」で解説しています。

市場金利に連動して変動金利も上下するはずですが、この10年余りは変動金利の基準金利はほとんど動いてきませんでした。これは、これ以上金利を下げると金融機関が赤字になる水準に到達していたためといわれています。もっとも2024年以降は日銀の利上げを受け、各行が短期プライムレートと変動型の基準金利を段階的に引き上げています(2026年9月時点)。

当初期間固定型の特徴・メリット・デメリット

銀行のホームページで当初10年○○%と表示されているのがこのタイプの金利で、当初期間固定型は当初定めた年数は固定金利が適用され、その後は原則変動金利に移行する金利タイプです。

当初定めた期間は金利が固定できますが、その後は市場金利の動向で想定以上の変動金利が適用されてしまうリスクがデメリットと言えます。

逆に、その期間経過後に市場金利が低下していれば適用される金利が低くなる可能性があるのがメリットと言えます。

かつて日銀のマイナス金利政策によって全期間固定型の金利が大きく低下したこと、変動金利のこれ以上の低下が見込みにくいことから、近年は利用者が減っていた金利タイプです。ただし2024年以降は固定金利が上昇しており、金利タイプの選び方も変わりつつあります。

当サイトでは、借り換えで完済までの期間が10年、15年などある程度短い場合を除き、利用するメリットはあまりないと考えます。

全期間固定金利の特徴・メリット・デメリット

全期間固定金利は返済終了までの金利が確定するタイプで、フラット35が代表的な住宅ローンとなります。借り入れ時点で金利が確定するため市場金利がどれだけ上昇しても月々の返済額に影響はありませんが、市場金利が下がっても同じく月々の返済額に影響は無いというデメリットがあります。

住宅ローンの金利タイプ

変動金利のリスクとは?

現在最も安く住宅ローンを組むことができる変動金利ですが、変動金利のリスクについて改めて確認していきたいと思います。

金利が上がるリスク

変動金利は短期プライムレートに連動して金利が変動するリスクがあります。マイナス金利政策は2024年に解除され、日銀の利上げを受けて各行が短期プライムレートを引き上げる動きも出てきました。これ以上の大きな金利低下が見込みにくい以上、これからの金利変動リスクは実質的に「金利上昇リスク」と考えてよいでしょう。

変動金利の基準金利に過去20年余り大きな変動が無いことは、住宅金融支援機構の下記の推移グラフからも分かります。

実際には基準金利から優遇された金利が適用され、住宅ローン獲得競争の結果、実際に借りることができる金利が低下傾向にあることは間違いありません。

(2010年1月の三菱UFJ銀行の変動金利の最優遇金利は1.475%でしたが、その後の低金利競争で2023年7月には0.345%まで低下しました。もっとも、日銀の利上げを受けて足元では再び上昇に転じており、2026年9月適用の最優遇金利(新規・変動)は年1.195%と、8月の年0.945%から0.250%上がっています(当編集部が2026年9月1日に公式サイトで確認)。)

メガバンクの住宅ローンは単体では採算が厳しいとされてきたこともあり、実際に日銀の利上げ以降、各行は短期プライムレートの引き上げを通じて変動金利の引き上げに動いています。

なお、当編集部では毎月、主要14の金融機関・機関(住宅金融支援機構=フラット35買取型を含む)の公式サイトを実際に開いて適用金利を集計しています。2026年9月適用分では、前月(8月)と比較できた127件のうち引き上げが106件・据え置きが21件・引き下げが0件でした(当編集部調べ・2026年9月1日確認)。

当編集部が2026年9月に実測した住宅ローン金利127件の前月比の内訳。引き上げ106件、据え置き21件、引き下げ0件
当編集部が主要14の金融機関・機関の公式サイトで実測した127件(銀行×商品×借入区分×金利タイプ×期間×融資率の組み合わせ)の前月比。フラット35・50の19件は機構公表の最頻金利を取扱各社に展開したもの

固定10年・20年・35年とフラット35はほぼ全面的に上昇し、変動金利27件でも「引き上げ8件・据え置き19件」と、8月(引き上げ4件)より動いた件数が増えました。

例えばドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)のWEB申込コースは変動が年1.200%から年1.750%へ上がっています。「固定が先に上がり、変動は銀行ごとに引き上げの時期が分かれる」という金利上昇局面の典型的な形が、9月はいよいよ変動にも及んできたといえます。

民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

未払い利息リスク

変動金利にある未払い利息リスクについても確認しましょう。

5年ルール

5年ルールとは、変動金利で金利が変動しても5年間は月々の返済額を変えない仕組みです。一見、金利が上がっても返済額が変わらないのは有利なように見えますが、住宅ローンの返済をおまけしてくれる訳ではありません。

あくまで返済額が5年間据え置きされるだけであり、本来払うべき利息は累積していくため、未払い利息や元金が膨らみ続けるリスクがあります。

なお、月々の返済は元金返済より利息返済に優先して行われるため、金利が急騰して、月々の返済額の全てが利息だけに消えていく可能性もあります。

125%ルール

5年ルールで月々の返済額が5年は据え置きされますが、その次の期間で返済額の見直しがあってもその前の期間の返済額に対し125%までしか増えないルールがあります。

こちらも5年ルール同様に本来払うべき利息は累積していくため未払い利息や元金が膨らみ続けるリスクがあります。

なお、月々の返済は元金返済より利息返済に優先して行われるため、金利が急騰して、月々の返済額の全てが利息だけに消えていく可能性もあります。

利上げが返済額に届くまでの時間差は、実際の発表で確かめられます。auじぶん銀行は2026年9月18日、変動金利の基準金利を10月1日から年3.141%→年3.741%へ引き上げると発表しました。すでに借りている人は12月の約定返済日の翌日から新しい金利になります。

元利均等返済では5年ルールにより約定返済額そのものは変わらず、元金と利息の内訳だけが変わります(出典:auじぶん銀行「住宅ローン基準金利の改定について」2026年9月18日)。反映の時期や幅は銀行と契約で違うので、ご自身の返済予定表と契約書で確認してください。

なお、SBI新生銀行、ソニー銀行、PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)には5年ルール、125%ルールがありません(各行公式で確認・2026年9月時点)。金利が上がればすぐ返済額に反映されますが、そのぶん未払い利息が生じにくい仕組みです。

住宅ローン金利上昇対策とは?

金利が上昇した場合の総返済額のシミュレーション

最後に金利が上昇した際の総返済額のシミュレーションをしてみたいと思います。変動金利で借りた住宅ローンが10年ごとに1%上がり、最終的には借り入れ時より3%高い金利となったと想定します。

また、比較を行うため当初からフラット35で借入をした際の総返済額も確認しておきたいと思います。

4,000万円の住宅ローンを変動金利タイプ(ここでは0.45%)と固定金利タイプ(ここでは1.27%)で35年返済で組んだケースを前提とします。

 変動金利タイプ固定金利タイプ
金利最初の10年 0.45%

11年から20年 1.45%21年から30年 2.450%31年から35年 3.45%

1.27%
月々の返済額当初10年 102,952円

11年から20年 116,123円

21年から30年 124,715円

31年から35年 127,838円
118,017円
総返済額約4,892万円約4,960万円

10年間ごとに金利が1%上昇し、最終的に年3.45%の金利となった場合でも、固定金利タイプで住宅ローンを借りるのとほぼ変わらない総返済額となることが分かりますね。

それだけ現在の変動金利が低い水準にあるということです。

※上記の金利(変動0.450%・固定1.270%)は、シミュレーションのための想定値です。実際の適用金利は時期によって異なり、2026年9月のフラット35(返済期間21〜35年・融資率9割以下・新機構団信付き)の最も多い金利は年3.460%と、前月(年3.290%)から0.170%上昇しています。

(出典:住宅金融支援機構「最新の金利情報」・2026年9月19日確認)。最新の金利は各金融機関や住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。

変動金利か長期固定金利かは家庭状況、リスク許容度で判断を

金利タイプ向いているケース
変動金利・金利が上昇しても月々の返済に耐えられる場合

・住み換えで途中で住宅ローンを一括返済する場合

長期固定金利・金利上昇による月々の返済額の負担に耐えられない場合

変動金利と長期固定金利のオススメは?

金利タイプ金融機関特徴
変動金利PayPay銀行5年・125%ルールなしの明快な仕組み。2026年7月に変動金利を引き上げ、9月時点は年1.330%で据え置き。最新金利の比較が必須
SBI新生銀行全疾病保障付団信が上乗せ金利なしで付帯(2026年3月開始)
auじぶん銀行がん50%保障、全疾病長期入院保障、4疾病保障のトリプル保障を無料付帯※
長期固定金利SBI新生銀行事務手数料が借入額の2.20%(税込)と分かりやすく、全疾病保障付団信が上乗せ0円。原則仮審査がなく本審査のみで手続きが完結

※満50歳までのお客さまが加入可能。2023年7月1日以降お借入れの方に適用。

FPによくいただくご相談(FAQ)

Q. これから借りるなら、変動金利と固定金利のどちらがよいですか?

A. ご家庭のリスク許容度しだいです。FPとしてお伝えしているのは、「金利が今より2~3%上がっても、毎月の返済を続けられる家計の余裕があるか」という目安です。余裕があり、繰り上げ返済の資金も準備できる方は変動金利のメリットを活かしやすい一方、教育費や車の維持費など固定費が重い方は、全期間固定金利の「返済額が変わらない安心」が向いています。

地方では車関連費が家計に占める割合が大きいご家庭も多いので、その点も含めて考えてみてください。年収別の目安は「年収600万円で住宅ローン3000万円を借りるとどうなる?FPが試算」も参考になります。

Q. すでに変動金利で借りています。金利が上がると毎月の返済はすぐ増えますか?

A. 多くの銀行では5年ルール・125%ルールがあるため、金利が上がっても当面の毎月の返済額はすぐには変わりません。9月18日の利上げも、各行の基準金利の改定(多くは4月・10月の年2回)を経てから既存契約に反映されます。ただし元金の減りが遅くなり、未払い利息が生じる可能性があるため「上がっていないから安心」とは言い切れません。

なお、SBI新生銀行・ソニー銀行・PayPay銀行のように5年・125%ルールがなく、金利の変化がそのまま返済額に反映される銀行もあります。半年に一度届く金利見直しの通知を必ず確認し、必要に応じて繰り上げ返済や固定金利への切り替え、借り換えも検討しましょう。

Q. 金利上昇に備えて、いまできる対策はありますか?

A. FPとしておすすめしているのは、①無理のない借入額にとどめる、②繰り上げ返済や万一に備えた余裕資金を確保しておく、③固定金利や固定期間選択型もあわせて検討する、④定期的に他行の金利と比較し借り換えの余地を見ておく、の4点です。

いちばん大切なのは、「金利が上がった場合の毎月返済額を、契約前に一度シミュレーションしておく」こと。数字で見ておくと、いざ金利が動いても落ち着いて判断できます。繰上返済を急ぐべきかは「住宅ローンは繰上げしない・長く借りるが賢い?金利上昇時代のFP解説」で整理しています。

変動か固定かに「正解」はありません。ご家庭の収入の安定度・貯蓄・今後のライフプランによって最適な選び方は変わります。判断に迷ったときは、地元のFPなど信頼できる相談相手に、家計全体を見てもらいながら決めていくと安心です。