この記事では街中でよく見かける「家賃と変わらない金額で家が買える」という広告のカラクリについて少し解説しておきたいと思います。
街を歩いていると、「家賃並みの支払で家が買える!」「今の家賃より安い金額でマイホームが持てる」といった内容の公告・宣伝を見かけることがあると思います。
たしかに、「毎月の住宅ローンの支払額」と「毎月の家賃の支払い額」を比べれて、大差ない状態を作ることはできるので全てを嘘とは言いませんが、ほとんどの場合、その宣伝文句には落とし穴があります。
確かに毎月の支出金額だけ見れば大差はないが・・・
まず、住宅ローンを借りて、マイホームを購入することになった時点で、「数百万円単位」のお金がかかることをちゃんと説明していないケースが多い、と言う点に注意が必要です。
具体的には、不動産会社に支払う仲介手数料や、住宅ローンを契約する銀行に支払うローン事務手数料、保証会社に支払う保証料などです。
毎月の住宅ローンの返済額と家賃だけを比べれば、確かに大差がないのですが、まとまったお金がかかる可能性が高いということは覚えておきましょう。
「家賃と同じ金額」とか「月々これだけで!」みたいなチラシを見かけたら、小さい文字で「初期費用」や「支払い条件」が記載されていると思いますのでしっかりと確認してください。
そのチラシには不動産仲介手数料は書いてありますか?住宅ローンの事務手数料の想定金額は書いてありますか?マイホームを購入したら毎年かかる固定資産税や、登記費用などのお金も考慮されていますか?
マイホームを購入するのは決して悪いことではありません。家賃を支払い続けるよりも持ち家の方がメリットと言える面も確かに多くあります。
ただ、「家賃並みの支払」というチラシの宣伝文句に心を惹かれてマイホームを購入するのはおすすめしません。そういうチラシを見たら初めから疑ってかかったほうが良いでしょう。
マイホーム購入は人生の一大イベント
ここからはあくまでも筆者の個人的な意見です。
個人的には、今回、紹介したような「家賃並みの支払で家が買える」なんていう宣伝をしているところでマイホームを買うべきではないと考えています。
人生はお金だけではありませんが、人生において「お金」は非常に大切なものです。しかも、マイホームの購入は人生を左右する一大イベントです。私たちは不動産会社や工務店にとっては、たくさんいる客の1人でしかなく、それほど特別なことではないかもしれませんが、私たちにとって、マイホームの購入は特別なイベントです。
そんな一大イベントを、将来後悔するかもしれないような宣伝文句で、まるでマイホームを持ちたいという気持ちを悪い意味で利用するようなやり方でマイホーム購入をすすめるような会社は、正直、信頼できる会社ではないと思います。
その「お金」や「住宅ローン」に対していい加減な対応、きつい言い方をすれば詐欺みたいな宣伝文句であなたに家を買わそうとしている会社からマイホームを買いたいと思いますか?
こんな会社が誠心誠意あなたにとっていいマイホームを建ててくれると思いますか?
もし、そのように聞かれたら私は迷わずにNOと答えます。
おさらい
これまでお伝えしてきたように「毎月の家賃と同じ金額を支払うだけでマイホームが持てる」という勧誘には、たくさんの注意点があります。最後に確認点をまとめましたので、参考にしてください。くれぐれも慎重に判断するようにしましょう。
- 総支払額の確認
毎月の支払い額だけでなく、住宅ローンの総支払額をしっかりと確認しましょう。利息や手数料、保険料なども含めた総額を知ることで、実際の負担を理解できます。また、賃貸住宅の場合、建物の修繕はオーナーが行いますが、マイホームを購入したらあなたがオーナーとして管理・修繕していく必要が出てくる点も忘れないようにしましょう。
- 利率と返済期間
住宅ローンの利率や返済期間を確認しましょう。金利が低い場合でも、変動金利タイプの場合は将来の金利上昇に伴うリスクがあります。また、返済期間が長いと利息総額が大きくなることもあります。賃貸住宅は将来の収入状況に合わせて、気軽に住む場所を変えることができますが、マイホーム購入の場合は簡単に引っ越しできなくなりますので、その点は理解しておく必要があります。
- 初期費用の確認
前述した通り、マイホーム購入時には、頭金や仲介手数料、登記費用などの初期費用が必要です。これらの費用がどの程度かかるかを事前に把握しておくことが大切です。
- 固定費用の確認
マイホームを持つと、毎年固定資産税の支払いが必要になります。マンションの場合、管理費、修繕積立金など、毎月の支払い以外の費用も発生します。戸建て住宅の場合は、屋根や壁の修繕費用を積み立てておく必要もあるでしょう。これらの費用は無視できるものではありませんので、事前に把握しておくようにしましょう。
- 物件の状態と価値
そのマイホームの5年後10年後の価値はどうなっているでしょうか?マイホームの将来の価値についてもできる限り検討しておくことが大切です。築年数や立地条件、周辺環境などに寄りますので、マイホーム近辺の他の住宅の売買状況や開発計画を確認しておくことも重要なポイントです。
将来的な修繕費や価値の下落リスクも考慮する必要があります。
- 信頼できる業者か確認
なんといっても、その業者が信頼できる業者なのか、信頼できる担当者なのかは非常に大切なポイントです。インターネットやSNSなどで評判や口コミを調べることも有効です。
過去の取引事例や顧客の声を参考にし、不安があれば他の業者とも比較してみましょう。
マイホーム購入を否定するわけではありませんが、これらのポイントを踏まえて、冷静に判断して物事を進めるようにしましょう!