SBI新生銀行の住宅ローンには、「3大疾病保障」「8大疾病保障」という名前の団信はありません。その代わりに、2026年3月から金利の上乗せなしで選べるようになった全疾病保障付団信が、8大疾病を含む病気やケガで働けなくなったときの返済を支える保障になっています。

がんへの備えを厚くしたい方には、年0.1%の上乗せで、所定のがんと診断された時点でローン残高の100%が保障されるガン団信もあります。どちらも加入できるのは20〜49歳(完済時80歳未満)で、50歳以上の方は一般団信での加入になります。ご相談の場でもよく見落とされる点です。

3大疾病はがん・心疾患・脳血管疾患の3つ

3大疾病は、がん(悪性新生物)、心疾患、脳血管疾患の3つを指す言葉で、いずれも日本人の死因の上位に入る病気です。団信では、心疾患を急性心筋梗塞、脳血管疾患を脳卒中に絞って保障の対象にしている商品が多く見られます。

がん(悪性新生物)

がんは、本来は決まりに従って増えたり入れ替わったりする細胞が、その決まりを無視して増え続け、周りの組織や臓器を壊していく病気です。3大疾病のなかでも患者数が多く、団信の疾病保障でもいちばん厚く扱われています。

上皮内がんや大腸の粘膜内がんのように、団信の保障では悪性新生物に含めない種類もあります。SBI新生銀行の全疾病保障付団信でも、これらは悪性新生物に含まれないと案内されています。

心疾患

心臓の病気のうち、団信でよく対象になるのは心臓の血管が詰まる急性心筋梗塞です。狭心症や心臓弁膜症、不整脈も心疾患の一種ですが、3大疾病保障の対象かどうかは商品ごとに違うため、しおりの定義で判断する必要があります。

脳血管疾患(脳卒中)

脳卒中は、脳の血管が破れて出血する脳出血やくも膜下出血と、血管が詰まって血液が届かなくなる脳梗塞に分かれます。後遺症で働き方が変わることも多く、返済への影響が長引きやすい病気です。

8大疾病は3大疾病に5つの生活習慣病を加えたもの

8大疾病は、3大疾病に高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎の5つを加えたものです。SBI新生銀行の全疾病保障付団信でいう「8疾病」も、がん・急性心筋梗塞・脳卒中とこの5つの病気を指しています。

5つの病気は、軽いうちは通院や服薬で付き合っていく方も多いのですが、悪化すると透析が必要になったり、脳卒中などのほかの病気につながったりします。40代以降に健康診断の数値が気になり始めた方ほど、団信の告知や保障の範囲を早めに確認しておいてください。

SBI新生銀行で選べる団信は一般団信・全疾病保障付団信・ガン団信の3つ

SBI新生銀行の住宅ローンでは、次の3つの団信から1つだけを選んで申し込みます。全疾病保障付団信とガン団信の両方に入ることはできません。

保障プラン上乗せ金利主な保障内容加入年齢
一般団信なし死亡・所定の高度障害でローン残高を保障20〜65歳(完済時80歳未満)
全疾病保障付団信なし死亡・高度障害・リビング・ニーズ・重度のがんに加え、病気やケガによる就業不能状態を保障20〜49歳(完済時80歳未満)
ガン団信年0.1%死亡・高度障害・リビング・ニーズに加え、所定のがんと診断確定されたらローン残高の100%を保障20〜49歳(完済時80歳未満)

※SBI新生銀行「団体信用生命保険(団信)のご紹介」の掲載内容(2026年10月時点)。団信で保障される上限額はいずれも3億円です。

保証料と一部繰上返済手数料が0円であることと合わせて、疾病保障を上乗せなしで付けられる点はこの銀行の特徴です。一方で、事務手数料は借入金額の2.20%(税込)の定率で、ガン団信を選ぶと金利が年0.1%上がるという負担もあります。

全疾病保障付団信は8大疾病以外の病気やケガも対象になる

2026年3月2日に取り扱いが始まった全疾病保障付団信(引受はSBI生命保険)は、特定の病気に限らず、病気やケガで働けない状態そのものを保障の対象にしています。8大疾病で働けなくなった場合はもちろん、それ以外の病気やケガも対象に入るのが、3大疾病保障や8大疾病保障との大きな違いです。

保障は、月々の返済を肩代わりする段階と、ローン残高そのものがなくなる段階の2つに分かれています。

  • 月々の返済への保障(就業不能保険金)。入院または医師の指示による自宅療養で働けない状態が続いて返済日が来ると、その月の返済額が保険金で支払われます。1回の就業不能状態につき、8疾病なら最大12回、それ以外の病気やケガは最大21回、ローン期間中の通算は最大36回までです。
  • ローン残高への保障(債務繰上返済支援保険金)。所定の就業不能状態が所定の期間を超えて続くと、その時点のローン残高相当額が保険金で返済されます。

このほか、余命6か月以内と判断されたときのリビングニーズ特約と、標準的な治療を受けても効果がなかった場合などの重度のがんに備える重度がん保険金前払特約も付いています。

ここでいう就業不能状態は、入院中か、医師の指示で自宅などで療養していることを指します。軽い作業や事務などの座り仕事ができる場合は、自宅療養に当たらないと案内されているため、「仕事を休んでいる」だけで支払われるわけではない点は覚えておいてください。

加入前に知っておきたい4つの注意点

  • 住宅ローンの実行日から90日間は待機期間で、この間に働けなくなった場合は原因を問わず支払いの対象外です。
  • 8疾病以外の病気やケガでは、働けない状態になってから最初の3か月が免責期間です。同じ原因で180日以内に再び働けなくなったときは、前回と続けて数えます。
  • 精神障害、正常な妊娠・出産、医学的な他覚所見のないむちうち症や腰痛などは対象外です。
  • 加入年齢が20〜49歳のため、50歳以上で借りる方は全疾病保障付団信もガン団信も選べず、一般団信だけになります。

とくに精神障害が対象外になっている点は、休職の理由として少なくないだけに、すでに入っている就業不能保険や勤務先の制度と照らし合わせておくと、保障の足りない部分が分かります。

ガン団信と全疾病保障付団信は「がんの保障が始まる時点」が違う

がんに備えるという点ではどちらも役に立ちますが、保険金が出る条件がまったく違います。ガン団信は、所定のがんと診断確定された時点でローン残高の100%が保障されます。全疾病保障付団信は、がんで働けない状態が所定の期間続いたとき、または重度のがんと判断されたときに残高が保障される仕組みです。

たとえば、早期に見つかって手術を受け、数週間で職場に戻れたケースを考えてみてください。ガン団信なら診断確定の時点でローンが0円になりますが、全疾病保障付団信では働けない期間が短いため、残高の保障までは届かないことがあります。

反対に、がん以外の病気やケガで長く働けなくなる場面には、ガン団信では備えられません。どちらが合うかは、ご家族の病歴や仕事の休みやすさ、すでに入っているがん保険の内容で変わります。

年0.1%の上乗せは35年でどのくらいの負担になるか

ガン団信の負担を数字で見てみます。借入3,000万円・35年・元利均等返済で、金利を仮に年1.5%とすると毎月の返済額は約91,855円です。ガン団信を選んで年1.6%になると約93,332円になり、毎月約1,477円、金利が変わらなければ35年で約62万円の差になります。

繰上返済で残高が早く減れば上乗せの負担も小さくなりますし、変動金利なら途中の金利によって差も動きます。この62万円を、がんと診断された時点で残高がなくなる安心の対価として見合うと思えるかどうかで判断してください。

年齢と家族構成で選び方を考えた2つのケース

家族構成と年齢を仮に置いたケースで考えてみます。実在のご相談ではなく、考え方を示すための例です。

38歳の会社員で、子どもが小学生の家庭の場合

加入年齢の範囲内なので、全疾病保障付団信とガン団信のどちらも選べます。共働きで片方の収入が途絶えても生活費は回るけれど、ローンの返済まで背負うのは苦しいという家庭なら、上乗せなしで働けない状態の返済を支えてくれる全疾病保障付団信が向いています。親族にがんの方が多く、診断の時点で返済を終わらせたい気持ちが強い場合は、ガン団信も比べる価値があります。

52歳で借り換えを考えている場合

50歳以上は一般団信だけなので、病気で働けなくなったときの返済はSBI新生銀行の団信ではカバーできません。この年代では、すでに入っている医療保険や就業不能保険で返済額の何か月分を賄えるかを先に計算し、足りなければ、年齢の条件が違うほかの金融機関の疾病保障付き団信と比べてください。

安心保障付団信(介護保障)は新規申込を終了している

SBI新生銀行では以前、所定の要介護状態になったときに備える団体信用介護保障保険(安心保障付団信)が付いていましたが、現在は新規の申し込みを終了しています。いま選べるのは、上で紹介した一般団信・全疾病保障付団信・ガン団信の3つです。介護への備えを重視する方は、民間の介護保険との組み合わせも含めて考える必要があります。

2027年3月に一般団信とガン団信の引受保険会社が変わる予定

SBI新生銀行は2026年9月8日、一般団信(安心保障付団信を含む)とガン団信の引受保険会社を、2027年3月1日付で第一生命保険からSBI生命保険へ変更する予定だと公表しました。すでに加入している方の手続きは不要で、告知書や診断書の出し直し、追加の費用もかからないと案内されています。

保障内容のうち、ガン団信は引受保険会社が変わるだけです。一般団信は、いまの保障にリビングニーズ特約と重度がん保険金前払特約が自動で付く予定とされていて、すでに一般団信で借りている方にとっては保障が広がる変更になります。

団信の疾病保障は医療保険と役割が違う

医療保険やがん保険は治療費や入院費をまかなうもので、住宅ローンの返済そのものは肩代わりしてくれません。団信の疾病保障は返済を守るための保障なので、両方を持つこと自体は重複ではありませんが、毎月の保険料と保障の重なりは一度見比べてください。

ほかの銀行の団信と比べたい方は、PayPay銀行のがん保障団信とワイド団信の上乗せ金利の記事も参考になります。がんと診断されたあとの返済に不安がある方は、がんで住宅ローンが払えなくなったときの備え方で、団信以外の備え方も紹介しています。

まとめ

SBI新生銀行の住宅ローンに3大疾病保障・8大疾病保障という名前のプランはありませんが、49歳までに借りる方なら、上乗せなしの全疾病保障付団信で8大疾病を含む病気やケガによる就業不能に備えられます。がんの診断時点で残高をなくしたい方は年0.1%上乗せのガン団信、50歳以上の方は一般団信のみです。

どの団信が合うかは、年齢、家族の状況、すでに入っている保険によって変わります。実際に選ぶ段階では、SBI新生銀行の最新の保障内容と加入条件をご自身でも確かめてから判断してください。