この数年、首都圏のマンション市場では新築マンションより中古マンションのほうが成約件数の多い状態が続いています。中古住宅を買って自分好みにリフォーム・リノベーションするスタイルもすっかり一般的になりました。

FPとしてよくいただくのが、「中古マンションを買ってリフォームもしたいのですが、その費用も住宅ローンにまとめて借りられますか?」というご相談です。結論からお伝えすると、リフォーム資金を住宅ローンに上乗せして借りることは可能です。ただし対応している金融機関とそうでない金融機関があり、住宅ローン控除のしくみにも注意点があります。本ページでは、徳島など地方で中古マンション+リフォームを検討されている方に向けて、しくみと注意点をかみくだいて解説します。

中古マンションの成約動向

首都圏では、ここ数年にわたり中古マンションの成約件数が新築マンションの供給戸数を上回る状態が続いています。下記は中古マンションの成約件数の推移をまとめたものです(過去の市場データの一例です。最新の数値は東日本レインズなどの公表資料でご確認ください)。市場が安定的に推移しているのが分かりますね。

首都圏中古マンション販売戸数推移

引用;東日本レインズ

中古マンションが人気の理由

新築マンションの価格が大きく上昇している

中古マンションの人気が高い背景には、新築マンション価格の高騰があります。東京カンテイの調べでは、首都圏の新築マンション平均価格は2009年に4,443万円でしたが、2023年には6,183万円と、十数年で5割近く上昇しました(金額はいずれも当時の集計値です)。共働きの一般的な世帯にとって、首都圏で新築マンションを購入するハードルは年々高くなっています。

一方、同じく東京カンテイの調べで、2023年の首都圏中古マンションの平均価格は4,675万円。新築と比べると、より現実的な選択肢として検討しやすい価格帯です。「無理のない予算で、立地のよい住まいを手に入れたい」という方ほど、中古+リフォームが有力な選択肢になります。

駅近など好立地のマンション用地が少なくなっている

インバウンド需要によるホテル業界との用地確保競争などにより、そもそも好立地の新築用地が減ってきています。駅近など条件のよい物件を探すうえで、中古マンションが現実的な選択肢になってきている側面があります。

マンションのディベロッパーも、新築供給の先細りを見据えて、管理業務やリノベーションなどの分野を強化しています。

中古マンション購入とリフォームが一般的に

こうした流れの中で、中古マンションの購入と同時にリフォームを行うことが一般的になってきました。リフォームを請け負う業者も増え、住友不動産や三越伊勢丹といった有名企業もリフォーム事業を展開しています。市場調査大手の矢野経済研究所の調査でも、住宅リフォーム市場は底堅く推移しています。

住宅リフォーム市場の推移

中古マンションの住宅ローン審査には注意

中古マンションの購入時に気をつけたいのが、築年数によって住宅ローンの借入期間に影響が出ることです。

金融機関により異なりますが、「築年数+借入期間=○年以内」といった形で、建物の経過年数を踏まえて完済時期を制限している場合が多くあります。たとえば借入期間を「築後50〜60年で完済」と設定している金融機関では、築30年の中古マンションは20〜30年ローンしか組めない、という計算になります。借入期間が短くなると毎月の返済額が上がりやすいため、資金計画は早めに立てておきましょう。

なお、税法上のRC物件の耐用年数は47年とされており、税法上は建物部分の価値が47年で評価されます。住宅ローンの審査基準とは別ものですが、資産価値の目安として知っておくと安心です。

リフォーム資金は住宅ローンに上乗せできる

中古マンション購入が一般的になるにつれ、中古住宅の購入資金とリフォーム資金をまとめて貸し出す住宅ローン(リフォーム一体型・リノベーション一体型などと呼ばれます)が増えています。無担保のリフォームローンを別途組むよりも、住宅ローンに一体化したほうが金利が低く、返済期間も長く取れるのが一般的なメリットです。

下記は、中古住宅の購入と同時のリフォーム資金に対応しているかどうかをまとめた一例です。取扱の有無・条件は変更されることがあるため、最新の対応状況は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください(2026年7月時点でまとめた参考情報です)。

銀行名リフォーム資金の上乗せ備考
ソニー銀行対応 
住信SBIネット銀行対応住宅分とリフォーム分の支払いタイミングが同一の場合
イオン銀行対応 
auじぶん銀行要確認取扱状況は公式でご確認ください
PayPay銀行要確認取扱状況は公式でご確認ください
SBI新生銀行対応住宅分とリフォーム分の支払いタイミングが同一の場合
楽天銀行(金利選択型)対応 
SBIアルヒ(スーパーフラット)対応 
三菱UFJ銀行対応 
三井住友銀行対応 
みずほ銀行対応 

このうちSBI新生銀行は、中古住宅の購入とリフォーム資金を一体で借りられるうえ、事務手数料や保証料といった諸費用のしくみが分かりやすく、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応している点が、はじめて住宅ローンを組む方には安心材料になります。地方にお住まいで近くに店舗がない場合でも、オンラインで手続きを進めやすいのは心強いところです。検討先の一つとして候補に入れておくとよいでしょう。

FPからのワンポイント|一体型かリフォームローンか

「住宅ローンに上乗せ(一体型)」と「リフォームローンを別途組む」のどちらがよいかは、リフォーム費用の大きさと返済計画で変わります。FPとしては、まず次のポイントで整理することをおすすめしています。

  • 金利:一般に住宅ローン(一体型)のほうが、無担保のリフォームローンより金利は低めです。リフォーム費用が大きいほど、一体化による金利の差が総返済額に効いてきます。
  • 返済期間:一体型は住宅ローンと同じ長い期間で返済できます。リフォームローンは返済期間が短めに設定されることが多く、毎月の返済額が上がりやすい傾向です。
  • 手続き・タイミング:一体型は購入とリフォームの資金実行のタイミングをそろえる必要がある金融機関があります。リフォーム会社の見積もりを早めに用意しておくと、審査がスムーズです。
  • 住宅ローン控除:一体型なら住宅取得分とあわせて控除を受けやすくなります(次章で詳しく解説)。

少額のリフォームならリフォームローンや手持ち資金で対応し、大規模なリノベーションなら一体型を軸に検討する、という考え方が分かりやすいでしょう。

リフォームと住宅ローン控除

結論から言うと、リフォーム資金を住宅ローンに上乗せした場合でも住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けることが可能です。現在の住宅ローン控除は、年末のローン残高に0.7%を掛けた金額を所得税(控除しきれない分は翌年の住民税の一部)から差し引くしくみで、中古住宅の場合の控除期間は10年です(住宅金融支援機構・国税庁の現行制度)。

中古マンションを個人から購入する場合は消費税が非課税となるため、控除の対象となる借入限度額は新築より低めに設定されています。整理すると次のとおりです。

中古住宅の区分(個人間売買)借入限度額1年あたりの控除上限の目安
一般の中古住宅2,000万円14万円(2,000万円×0.7%)
認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合などの中古住宅3,000万円21万円(3,000万円×0.7%)

かつては「控除率1%・年間上限20万円」でしたが、2022年(令和4年)の改正で控除率が0.7%に変わっています。古い記事の数字をそのまま当てはめないようご注意ください。

そのうえで、中古住宅で控除を受けるには主に次の点に注意が必要です。

  • 築年数要件は撤廃され、「新耐震基準」で判断:以前は「原則築20年(耐火建築物は25年)以内」という築年数の制限がありましたが、2022年の改正で撤廃されました。現在は登記簿上の建築日が1982年(昭和57年)1月1日以降の住宅であれば、新耐震基準に適合しているとみなされ控除の対象になります。1981年(昭和56年)以前の建物は、耐震基準適合証明書などで耐震性を証明する必要があります。
  • 所得・床面積などの要件:合計所得金額2,000万円以下、床面積50㎡以上、取得から6か月以内に入居して引き続き居住していること、などの要件があります。

控除の借入限度額や要件は税制改正で見直されることがあります。適用を受ける年の最新ルールは、必ず国税庁の公式情報や所轄の税務署でご確認ください

よくあるご質問(FAQ)

Q. リフォーム費用だけを住宅ローンに後から追加できますか?

多くの金融機関では、住宅の購入とリフォームをセットで申し込むことを一体型ローンの条件としています。住宅購入後に時間が経ってからリフォーム費用だけを住宅ローンに上乗せするのは難しいことが多く、その場合はリフォームローンの利用が中心になります。タイミングの考え方は金融機関ごとに異なるため、購入前の段階でリフォーム計画も一緒に相談しておくとスムーズです。

Q. 中古マンションだと住宅ローンが組みにくいのでしょうか?

築年数によって借入期間が短くなる場合はありますが、新耐震基準に適合する物件であれば、住宅ローンも住宅ローン控除も利用できます。地方では地銀・信用金庫が中古住宅の融資に柔軟なケースもあるため、ネット銀行と地元の金融機関を比較して検討するのがおすすめです。

Q. リノベーション済みの物件を買う場合も控除は受けられますか?

不動産会社が中古住宅を買い取ってリフォーム・リノベーションのうえ再販する「買取再販住宅」は、一定の要件を満たすと一般の中古住宅より有利な借入限度額(最大3,000万円)・控除期間(最大13年)が適用される場合があります。物件が買取再販に該当するかどうかで条件が変わるため、購入前に売主や仲介会社、税務署に確認しましょう。

まとめ

中古マンションを購入してリフォームする場合、リフォーム資金を住宅ローンに上乗せして一体で借りることは可能で、金利・返済期間・住宅ローン控除の面でメリットがあります。一方で、築年数による借入期間の制約や、対応している金融機関が限られる点には注意が必要です。

金融機関選びでは、金利だけでなく「リフォーム資金に対応しているか」「諸費用が分かりやすいか」「地方でも手続きしやすいか」もあわせて比べてみてください。リフォーム一体型に対応し、諸費用が分かりやすく、店舗とオンラインの両方で相談できるSBI新生銀行のような選択肢も含めて、ご家庭の資金計画に合う住宅ローンを選びましょう。判断に迷うときは、FPなど中立的な立場の専門家に相談すると安心です。