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変動金利とは?
変動金利の多くは、短期プライムレートに連動しています。短期プライムレートは、銀行が最も信用度の高い企業に対して適用する最優遇貸出金利です。
住宅金融支援機構の2026年1月の利用者調査によると、住宅ローン利用者の75.0%が変動金利型を選んでおり、依然として「住宅ローン=変動金利」が多数派という情勢です。
ただし、かつてのような引き下げ競争の時代は終わりました。日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除した後、段階的に利上げを進め、2026年6月には政策金利を1.0%程度まで引き上げています(1995年以来の水準。2026年7月31日の会合では1.0%程度で据え置き)。これを受けて、変動金利は歴史的な低金利から上昇へと局面が変わりつつあります。
実際に、当編集部が2026年8月に主要14の金融機関・機関の公式サイトを確認して集計した実測では、変動金利27件のうち引き上げが4件・据え置きが23件で、引き下げはありませんでした(当社調べ・2026年8月4日確認)。金利水準としては、なお1%前後の銀行が多くあります(例:りそな銀行の借り換え変動0.950%、三菱UFJ銀行の借り換え変動0.995%=いずれも2026年8月時点・各行公式サイトで確認。最新の適用金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください)。

変動金利が実際に見直されるのは半年に1回が一般的

変動金利型の住宅ローンとは、その名の通り、借りている途中で金利が変動する住宅ローンです。一般的に、変動金利は半年に1回、多くの銀行では4月と10月ごろの「春」と「秋」に見直しが行われ、このときに金利が変更になるかが決められます。ただし見直しの時期・仕組みは銀行ごとに異なります。
直近では、2026年6月の日銀の追加利上げを受けて、三菱UFJ銀行・みずほ銀行などの主要行が2026年8月3日から短期プライムレートを年2.125%から年2.375%へ引き上げると発表しました。三菱UFJ銀行は「2026年9月1日から住宅ローンの変動金利の基準金利を見直す」と公式に告知しており(9月分の基準金利は8月31日発表)、変動金利で借りている方・これから借りる方への影響が注目されています。
ネット銀行では日銀の利上げ幅を上回る引き上げも
一方、ネット銀行では大手行に先行する動きが出ています。PayPay銀行は、日銀の政策金利引き上げに伴う市場金利の変動を踏まえ、2026年7月1日から住宅ローンの基準金利を引き上げました。変動金利の基準金利は年2.93%から年3.28%となり、引き上げ幅は0.35%と日銀の利上げ幅(0.25%)を上回ったことが話題になりました。また、ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)も2026年8月に変動金利(通期引下げプラン)を年0.950%から年1.200%へ引き上げています(いずれも2026年8月時点・各行公式サイトで確認)。
ここで注意したいのは、「基準金利」と「適用金利」は別物だということです。基準金利は優遇幅(引下げ幅)を差し引く前のベースとなる金利で、実際に支払う適用金利は「基準金利−引下げ幅」で決まります。また、当編集部の実測では大手行を含む変動金利27件のうち23件が8月時点で据え置きでした。「変動金利が一斉に上がった」わけではなく、いつ・どれだけ上がるかは銀行ごとに判断が分かれているのが現在の状況です。
返済額は5年間変わらないのが一般的
変動金利は半年に1回の見直しで変わる可能性があります。長らく引き上げの事例はほとんどありませんでしたが、2024年のマイナス金利解除以降は、各行で基準金利の引き上げが相次いでいます。
なお、変動金利には「5年ルール」というものがあり、始めに金利1%で借りて、半年後に金利が1.2%になったとしても、毎月の返済額は5年間変わらないのが一般的です。
ソニー銀行やPayPay銀行など、一部のネット銀行ではこのルールを採用していません(PayPay銀行は公式サイトで「5年ルール・125%ルールはない」と明記しています)。
では何が変わるかというと、返済額に占める利息と元金の内訳が変わります。
例えば月々の返済額が10万円だとしたとき、金利が1%のときの10万円の内訳は、利息が1万5,000円で元金が8万5,000円になります。仮に金利が1.2%になると、この10万円の内訳は、例えば利息が1万7,000円で元金が8万3,000円になるということです。「返済額が変わらない=負担が増えていない」ではなく、元金の減りが遅くなっている点に注意してください。
元金均等返済の場合は金利が変わるとすぐ返済額も変わる
このように、金利は半年に1回見直され変わる可能性がありますが、返済額も半年に1回変わるかどうかというと、これは5年間は変わらないということです。ただし、返済方法を「元金均等返済」にしている場合には、半年に1回返済額が変わります。5年ルールが適用されるのは「元利均等返済」の場合です。
5年後の返済額はそれまでの1.25倍まで
では、仮に5年後に金利がものすごく上がっていたとします。当初は1%で借りた金利が、実際には考えにくいですが、5年後に5%になっていたとします。このとき返済額は10万円から一気に15万円になるかというと、そうはなりません。これは「激変緩和措置」(いわゆる125%ルール)といって、大幅な金利の上昇があったとしても、返済額は前回までの1.25倍の金額が最大とされることがほとんどです。
こちらも5年ルールと同じく、ソニー銀行やPayPay銀行など一部のネット銀行では採用されていません。
ということは、金利がものすごく上がった場合でも、返済額の最大は12万5,000円ということになります。ただし注意点があり、金利が急上昇したと仮定した場合に、返済額は激変緩和措置で12万5,000円になっていたとしても、実際には13万円支払わなければいけない状態になることがあります。
金利が急上昇すると未払い利息が発生することも…
こうなると、月の支払額は5,000円足りていないことになります。この5,000円足りない分は「未払い利息」としてずっと残っていくことになり、あとで精算が必要になることになります。この間は元金が減らないので、返済が進まないという状況になる恐れがあるのです。極端な金利急騰は考えにくいものの、金利が上がり始めた今の局面では、仕組みとして知っておきたい点です。
FPとしてよくいただくご質問(変動金利編)
すでに変動金利で借りています。2026年8月の短プラ引き上げで、返済額はすぐ増えますか?
すぐには増えないケースが大半です。まず短プラの引き上げが基準金利に反映される時期が銀行ごとに異なります(例:三菱UFJ銀行は2026年9月1日に基準金利を見直すと公式告知。多くの銀行は4月・10月の年2回見直し)。さらに元利均等返済で5年ルールがある銀行なら、適用金利が上がっても毎月の返済額そのものは次の見直し基準日からの5年間は変わりません(利息と元金の内訳は変わります)。「基準金利の見直し時期」と「返済額が変わる時期」は別物なので、ご自身の銀行の公表を確認しましょう。
「基準金利引き上げ」のニュースを見ましたが、銀行サイトの表示金利は変わっていません。なぜですか?
新規で借りる方向けの表示金利(適用金利)は「基準金利−引下げ幅」で決まるため、基準金利が上がっても、銀行が新規向けの引下げ幅を広げれば表示金利は変わらないことがあります。実際、PayPay銀行は2026年7月に基準金利を引き上げましたが、新規向けの変動金利(全期間引下型)は年1.330%のままです(2026年8月時点・同行公式サイトで確認)。一方、すでに借りている方は契約時に決まった引下げ幅がローン完済まで続くため、基準金利が上がるとその分だけ適用金利も上がります(反映されるタイミングは年2回の基準日など銀行ごとに異なります)。ニュースを見たら「自分の契約の基準金利がどうなったか」を確認するのが正解です。
5年ルールがない銀行で借りるのは不利なのでしょうか?
一概に不利とは言えません。5年ルールがない銀行では金利上昇が返済額にすぐ反映されるため家計の変動は大きくなりますが、その分未払い利息が構造的に発生しないという利点があります。毎月の家計に余裕があり「負担増は早めに知りたい」方には、むしろ分かりやすい仕組みともいえます。
地方在住で地銀・信金を勧められています。ネット銀行とどちらがよいですか?
徳島のような地方では、地銀・信金は対面で相談でき、地元の物件事情や自営業の実情に通じている安心感があります。一方、ネット銀行は金利水準や諸費用で有利なことが多いのが実情です。「金利だけ」でも「近さだけ」でもなく、金利・事務手数料・団信・相談のしやすさを総額で比較するのがFPとしてのおすすめです。なお、店舗相談とオンラインの両方に対応する銀行もあり、例えばSBI新生銀行は保証料0円・一部繰上返済手数料0円と諸費用体系が分かりやすく、店舗でも相談できるため、地方の方が比較候補に加えやすい1行です。
変動金利型住宅ローンのまとめ
変動金利型の住宅ローンは、今も利用者の多数派を占める人気の住宅ローンです。そして、日銀の利上げを受けて実際に金利が引き上げられる局面に入り、これまで以上に仕組みの理解が大切になっています。その特徴を簡単にまとめると以下です。
- 金利の見直しは半年に1回が一般的(時期・仕組みは銀行ごとに異なる)
- 返済方法を元金均等返済にしていない限り5年間は返済額は変わらない(例外あり)
- 5年後の返済額はそれまでの1.25倍まで(例外あり)
- 金利の急上昇があると未払い利息が発生することもある
- 基準金利と適用金利は別物。引き上げの時期・幅は銀行ごとに違う
これが住宅ローン、変動金利の特徴です。金利のある世界に戻りつつある今こそ、ご自身の契約に5年ルール・125%ルールがあるかどうか、いつ返済額が変わるのかを一度確認しておきましょう。最新の適用金利は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。