金利が最後まで決まっている住宅ローン

全期間固定と書いてある通り、最初から最後まで金利が固定されているという住宅ローンのことです。代表例は住宅金融支援機構の【フラット35】で、2026年7月の適用金利は年3.140%(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付きの場合)と、前月から0.070%低下しました(金利は毎月見直されます。最新は公式サイトでご確認ください)。日銀の利上げを受けて長期金利が大きく動いており、固定型の金利水準もこの数年で様変わりしています。基本はシンプルな金利タイプですが、少し特徴のある全期間固定型住宅ローンも存在するので紹介しておきたいと思います。

派生1:段階金利型住宅ローン

まずは「段階金利型」と呼ばれるものです。

これは段階的に金利が上がっていく住宅ローンで、当初の一定期間は低い金利、その期間が終わると高い金利になるものです。代表的な例が【フラット35】Sです。【フラット35】Sは、省エネルギー性・耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合に、当初の一定期間(5年間など)だけ【フラット35】の借入金利が引き下げられる制度で、引き下げ期間が終わると通常の【フラット35】の金利に戻ります。つまり「最初は低く、途中から上がる」ことが契約時から確定している、段階金利型の構造です。

現在の【フラット35】の金利引き下げは「ポイント制」になっており、住宅の性能や家族構成などのメニューを組み合わせた合計ポイントで引き下げ幅・期間が決まります。例えば【フラット35】S(ZEH)の住宅が長期優良住宅の場合、当初5年間は年▲1.000%の引き下げになります(2026年7月時点・住宅金融支援機構。メニューには予算金額があり受付終了となる場合があります)。

これは固定金利期間選択型と間違いやすいのですが、固定金利期間選択型との違いは、最初から最後まで金利はもう決まっているということです。

固定金利期間選択型では、例えば10年固定だった場合、10年後からは変動金利にするか、もう一度10年固定を選ぶかなど、再度金利の選択をすることになります。その時点の金利情勢次第で返済額が大きく変わる可能性があります。それに対して全期間固定型は、最初から最後までこの金利でいきますと決まっていて、段階金利型は全期間固定型の1種です。

住宅金融支援機構【フラット35】Sの金利引き下げ制度の公式ページ
【フラット35】Sの最新の金利引き下げメニュー(出典:住宅金融支援機構)

派生2:逆段階金利型住宅ローン

また、もう1つ特徴のある全期間固定の住宅ローンとして、「逆段階型」というものもあります。これは先ほどとは逆に、例えば最初の金利は高く、一定期間後からは低いなど、段階的に金利が下がる住宅ローンです。これも最初から最後まで金利は決まっています。

これは、ある意味においてはよい住宅ローンです。

例えばお子さんをお持ちの方は、お子さんがまだ小さくてお金があまりかからないうちは高い金利で支払いをし、お子さんが成長し、負担が大きくなってきた頃には金利が下がり、返済額は少なくて済むというふうにできるので、家計のライフサイクルに合った設計といえます。また、金利が低い期間が長くなるので、先に紹介した段階金利型よりも総額では安くなる設計が可能です。

一方で、住宅ローンの残高が多い最初の金利が高いと利息が増えるので好ましくない、という人もいます。

このタイプの代表例は、かつてSBI新生銀行が取り扱っていた「ステップダウン金利タイプ」(10年後から5年ごとに金利が下がる仕組み)でした。ただし、SBI新生銀行のステップダウン金利タイプは現在サービスを終了しており、新規で申し込むことはできません(公式サイトで告知済み・2026年7月確認)。現在のSBI新生銀行の住宅ローンは、変動金利(半年型)タイプや当初固定金利タイプが中心で、保証料0円・一部繰上返済手数料0円という諸費用の分かりやすさに強みがあります。逆段階金利型を新規で選べる主要な住宅ローンは現在ほとんど見当たらないため、「こういうタイプもあった」という知識として押さえておけば十分です。

最大のメリットは安心感、返済計画の立てやすさ

このように、金利が変わらないにせよ、段階的にあがるにせよ、下がるにせよ、全期間固定型で住宅ローンを借りた時点で最初から最後まで金利が決まっていますので、将来金利がどうなるかわからなくて怖い、不安だという方は、これらの金利タイプを選んでおくと良いでしょう

結果的に、変動金利よりも多く利息を払うことになるかもしれませんが、金利上昇のリスクがないので安心感はありますね。また、返済計画が立てやすいこともメリットです。日銀の利上げで変動金利にも上昇圧力がかかっている今の局面では、「返済額が最後まで確定する」価値を見直す相談も増えています。

3つの金利タイプの違いを整理すると、次のようになります。

比較の観点全期間固定型固定金利期間選択型変動金利型
金利の決まり方契約時に完済まで確定(段階型含む)当初期間のみ固定、期間後に再選択半年ごとに見直しが一般的
金利上昇の影響受けない固定期間終了後に受ける受ける(5年ルール等の緩和あり)
金利水準の傾向3タイプの中では高め中間低め
向いている人返済額を確定させ安心したい人一定期間の支出を固めたい人金利変動リスクを許容できる人

FPとしてよくいただくご質問(全期間固定編)

フラット35と銀行独自の全期間固定型は何が違いますか?

【フラット35】は住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供する公的な性格の住宅ローンで、団信への加入が任意(健康上の理由で団信に入れない方も利用しやすい)、住宅に技術基準がある、といった特徴があります。銀行独自の全期間固定型は団信加入が原則必須の代わりに、団信の保障内容や諸費用で独自色を出しています。同じ「全期間固定」でも、金利だけでなく団信・事務手数料まで含めた総額で比較するのがおすすめです。

全期間固定で借りた後に、金利が下がったら損をしませんか?

全期間固定で借りた後でも、繰り上げ返済や、より低い金利のローンへの借り換えは可能です(借り換えには事務手数料や登記費用などの諸費用がかかるため、金利差・残高・残期間次第で損得が変わります)。つまり「金利が上がったときは守られ、下がったときは借り換えで対応できる」のが全期間固定の実務的な使い方です。判断に迷うときはFPなど専門家に試算してもらいましょう。

全期間固定金利型住宅ローンのまとめ

  • 金利が最初から最後まで決まっている
  • 段階金利(フラット35Sなど)、逆段階金利など途中で金利が変わるものもある(変わり方も契約時に確定)
  • メリットは安心感と返済計画の立てやすさ
  • 変動金利に比べて金利は高い

以上が住宅ローン、全期間固定型の特徴、基礎知識です。金利が変わらないことが最大の特徴です。金利のある世界に戻りつつある今、変動一辺倒ではなく、全期間固定も含めてご自身の家計に合う金利タイプを検討してみてください。最新の金利・制度は住宅金融支援機構や各金融機関の公式サイトでご確認ください。