変動金利と比較すると、見た目の金利が高く感じてしまうため検討すらせずにスルーされてしまいがちな20年固定や30年固定などの長めの固定金利商品ですが、実はメリットが多く検討すべきポイントがある商品も存在します。
この記事では、固定金利の実力とともに、隠れたメリットが多い新生銀行の住宅ローンの中から、実はかなり魅力的な金利設定になっている20年固定金利タイプについて紹介していきます。
固定金利ってオトクなの?
住宅ローンを検討している方が広告等でよく目にする金利は、変動金利や10年固定が多いと思います。中には変動金利で0.3%台の金利を提示している金融機関もあり、昔の住宅ローンの金利を知っている人は、今の低金利に驚かれる方もいるかと思います。
これは、長く続いている低金利時代影響ではありますが、加えて、ネット銀行を中心に各金融機関が金利競争を続けてきた結果です。しかも、どの金融機関も利用者の目に留まりやすいように少しでも低い金利を提示しているからです。
住宅ローンを検討している人はこの変動金利の低金利に目が行きがちですが、実は変動金利と同じように長めの固定金利商品についても歴史的な低金利の状態が続いており、住宅ローン返済中の安心感を高めたい人は、それらの固定金利タイプの商品も検討候補に入れておくようにしましょう。
実際に、アメリカでは2020年3月にゼロ金利政策と量的緩和政策を実施してから低金利が続いていましたが、足元の景気回復とインフレの影響を受けて長期金利は上昇局面に入っています。日本でもアメリカの金利に引っ張られる形で、長期金利の上昇が見られています。
住宅ローンの金利が数年〜数十年のスパンの中で上がったり・下がったりを繰り返している前提に立てば、低金利時には固定金利を選択するのも有力な選択肢であり、まさに低金利の今、注目すべき金利タイプび1つと考える事もできます。
それでは一体どの固定金利を選ぶのが得策なのでしょうか。もう少し具体的に住宅ローン選びについて解説していきます。
金融機関の選び方
金融機関各社の住宅ローンを一通り比較してみると見えてきますが、実は銀行によって力の入れている金利タイプが異なります。
変動金利が低金利な金融機関もあれば、20年や30年などの固定金利を低く抑えている金融機関もあります。「変動金利は低いけど固定金利は高い銀行」や、反対に「変動金利はそこまで低くないけど、固定金利は低金利の銀行」が存在するという事です。
したがって、変動金利タイプの金利の水準だけで金融機関を選んでしまうのは問題です。固定金利タイプを利用する場合にはしっかりと固定金利を比較した上で金融機関を選ぶようにしましょう。前述した通り、変動金利が低いからといって、その他の金利も有利とは限らないためです。
固定金利の選び方
さらに、「金利が低い=お得な住宅ローン」という決めつけてしまうと正しい住宅ローン選びが行えません。
住宅ローンのコストは利息だけではありません。事務手数料、保証料、団体信用生命保険料などは決して無視できるものではなく、金利(利息)+諸費用を含めたトータルコストで判断することが大切です。
さらに、固定金利の住宅ローンを比較する時にで非常に大切なのが、固定期間終了後の金利です。
固定金利を選択した場合、適用される金利は「①当初固定金利」で、当初固定期間が終了したら「②当初固定期間終了後」の金利 となります。一方で、基本的に金融機関のチラシやHPで目に入って来る金利は、「①当初固定金利」のみです。
「②当初固定期間終了後の金利」は、世の中の金利水準が変わっていなかったとしても「①当初固定金利」よりも高く設定されているケースが一般的なので「②当初固定期間終了後の金利」は自分で金利を確認してしっかりと比較した上で住宅ローンを選ぶ必要があります。
例えば35年の借入期間において、最初に20年固定金利を選択した場合、1 〜20年までは選択した固定金利が適用されたけれど、21年目以降は金利が跳ね上がってしまって、毎月の返済負担が大きくなってしまった。なんていう可能性もあるのです。最初の20年間だけでなく、残りの15年間のこともしっかりと知った上で比較する必要があるのです(下図参照)。 仮に5年や10年固定金利等を選択した場合でも、考え方は同じです。

当初固定期間終了後の金利の確認方法
当初固定期間終了後の金利は、各金融機関の住宅ローン金利表などで確認できますが、非常にわかりにくく記載されているのと、各金融機関で記載方法等が異なるので比較は簡単ではありません。
先程、住宅ローンは金利+諸費用を含めたトータルコストで判断する必要があると記載しましたが、それではどうやってトータルコストを比較できるのでしょうか。
トータルコストを比較する上で一番効果的な方法は、各金融機関が提供している住宅ローンのシミュレーションツールを使って比較する方法です。
各金融機関のシミュレーションツールに、同じ条件を打ち込んだ上で総返済額を比較するというのがおすすめの比較方法になりますが、銀行のホームページを一つ一つ回って確認するのは大変な作業ですので、こちらの記事で代表的な金融機関の金利やトータルコストを比較していこうと思います!
20年固定金利 | |
新生銀行 | 年1.150% |
住信SBIネット銀行(当初引下げプラン) | 年1.400% |
ソニー銀行(固定セレクト住宅ローン) | 年1.488% |
りそな銀行(はじめがお得!当初型) | 年1.795% |
まず、単純な金利比較では新生銀行に軍配が上がりました。複数の金融機関を比較してみても、新生銀行では20年固定金利をだいぶ低く抑えている事がわかります。
それでは次に、当初固定期間終了後の金利や、銀行ごとに差が付きやすい事務手数料を加味して返済額を計算していきます。借入金額5,000万円、借入期間35年、20年固定金利を選択し、当初固定期間終了後は変動金利(金利は2022年3月現在の条件)を選択したという仮定でシミュレーションしています。
当初金利 (20年固定利) | 当初固定期間終了後金利 (変動) | 事務手数料(税込) | 総返済額 (毎月の返済+事務手数料) | |
新生銀行 | 年1.150% | 年0.650% | 55,000円 | 約5,994万円 |
住信SBIネット銀行(当初引下げプラン) | 年1.400% | 年2.075% | 2.2% | 約6,573万円 |
ソニー銀行(固定セレクト住宅ローン) | 年1.488% | 年1.207% | 2.2% | 約6,479万円 |
りそな銀行(はじめがお得!当初型) | 年1.795% | 年0.820% | 2.2% | 約6,662万円 |
実際にシミュレーションしてみると、当初金利、当初固定期間終了後の金利、事務手数料全てにおいて新生銀行が抜けており、結果として総返済額でも、2位のソニー銀行にも485万円の差をつけていることがわかります。
変動金利の水準で比較するとそこまで目立たない新生銀行ですが、20年固定で比較してみるとかなり衝撃的な結果となりました。
20年固定金利では新生銀行一強といっても過言ではないことがわかります。
当初期間の金利はりそな銀行も低金利の水準のように見えますが、総返済額でここまで大きな差が生まれたのはなぜでしょうか。
その大きな要因は、「当初固定期間終了後の金利」と「事務手数料」の差です。
新生銀行の住宅ローンの特徴
新生銀行の住宅ローンの特徴は、金利タイプを問わずに当初固定期間終了後の金利が低く、非常に良心的な商品設計となっている点です。
最初に固定金利を選択された場合、固定期間終了後、特に指定しなければ自動的に変動金利(半年型)タイプが適用となりますが、その際の金利は「基準金利から−0.9%」となるため、現状の金利水準で考えれば「1.55%−0.9%=0.65%」が適用されるというシンプルな商品設計になっているので、当初固定期間終了後もとても有利に借り入れできる状況となっています。
加えて、事務手数料も55,000円(税込)~と、その安さは業界トップクラスで初期費用をかなり抑えることができる住宅ローンです。
まとめ
日本の住宅ローン金利環境は、2016年に導入された日銀のマイナス金利政策の影響を受けて、過去最低水準となっています。「今後も金利環境に大きな変動はない」とお考えの方は、変動金利を選択するのが得策ですが、「住宅ローンの完済までに、金利上昇局面を迎えるのではないか」とお考えの方や、月々の返済額を固定化させたいという方は、20年固定などの固定金利を利用される事をおすすめします。
今回、金融機関の広告だけでは読み取ることが難しい「当初固定期間終了後の金利」にもフォーカスして、住宅ローンを比較しましたが、住宅ローン選びの際には是非ともこのポイントも意識していただけると嬉しいです。
この記事が皆様の住宅ローン探しにお役に立つことができれば幸いです。