頭金とは、マイホームの購入価格のうち住宅ローンを使わずに自分で支払うお金のことです。いくら必要かは一律に決まっているわけではなく、「毎月無理なく返せる借入額」から逆算して考えるのが基本になります。 ただ、住宅ローン金利が上がってきた今は、頭金で借入額を減らしたときの利息の軽減効果が、低金利の時代より大きくなっています。以下、試算を交えながら、地方で家を建てる方にも役立つ頭金の考え方をFPの目線で整理していきます。

頭金とは?自己資金との違い

マイホームを買う時に必要とされる”頭金”。まずは言葉の意味から確認しておきましょう。 通常、マイホームを買う時は住宅ローンを利用することになりますが、頭金とはマイホームの購入価格から「住宅ローンで借り入れる金額」を除いたお金のことを言います。 例えば、5,000万円のマイホームを購入する時に住宅ローンを4,000万円借りて、1,000万円を自分で用意する場合、頭金は1,000万円の部分のことを指します。 また、頭金を「自己資金」と呼ぶことがありますが、厳密には異なります。 マイホームを購入する時は、不動産会社や銀行に支払う手数料、火災保険、保証料など、マイホームの価格以外にもお金がかかります。通常、それらの費用はローンではなく手元資金から用意することになりますが、正確には頭金にそれらの費用を加えたものが自己資金になります。 ※もっとも、それらの費用も含んだ金額を頭金と呼んで話すことが多いので、細かい定義の違いを気にしすぎる必要はありません。 なお、SBIアルヒの「スーパーフラット」のように、自己資金の割合が高いほど適用金利が下がる住宅ローンもあります(融資率9割以下=自己資金1割以上から、自己資金の割合に応じて段階的に金利が下がる仕組み。2026年9月時点)。頭金の有無が金利そのものに影響するケースがある、という点は覚えておいて損はありません。

頭金とは、住宅ローンの借入額を減らすためのお金

頭金をたくさん用意できれば住宅ローンの借入額が減ります。例えば、建物2,000万円、土地1,000万円、諸費用400万円かかるとすると、マイホームを買うためにかかるお金は3,400万円程度になります。 この時に頭金が0円だと、住宅ローンの借入額は3,400万円になります。頭金が300万円あると住宅ローンの借入額は3,100万円になります。 住宅ローンの借入額が減れば、支払う利息も減るので、総返済額で考えると減額効果は大きくなります。

頭金を貯めておくべきと言われる理由

一般的に「頭金を貯めてからマイホームを買いましょう」と言われます。その3つの理由について説明していきます。

理由1:毎月の住宅ローン返済額が少なくなるから

頭金を用意して住宅ローンの借入額を減らすと、毎月の住宅ローン返済額が少なくなります。例えば、上記の例で3,400万円のマイホームを買うとして、頭金が0円の場合と500万円の場合と1,000万円の場合で、毎月の住宅ローン返済額がどれくらい違うか計算しました。 ここでは、変動金利と全期間固定金利の中間的な水準として、仮に金利を年1.750%・返済年数35年(元利均等返済)として計算しています(あくまで試算用の仮定です)。
  • 頭金0円の場合:108,316円
  • 頭金500万円の場合:92,388円
  • 頭金1,000万円の場合:76,459円
頭金0円・500万円・1000万円それぞれの毎月返済額の比較グラフ
金利 年1.750%・返済期間35年・元利均等返済で試算(試算用の仮定金利)
頭金が0円の場合と頭金が1,000万円の場合では、毎月の返済額に約3万円の差がでます。 ※かつて住宅ローン金利が今よりかなり高かった時代は、少しでも借入額を減らしておくのが当然でした。その後の超低金利期には「低金利時代=頭金の重要性が低下」と言われるようになりました。 ただし、2026年は状況が変わっています。日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げました(日本銀行の公表文)。 全期間固定のフラット35も、2026年9月資金受取分の最頻金利が年3.460%(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)まで上がっています(住宅金融支援機構の金利情報)。 当社編集部が2026年9月1日に主要14の金融機関の公式サイトを実際に確認し、127件の適用金利を集計したところ、前月と比較できた127件のうち106件が引き上げ、21件が据え置きで、引き下げは0件でした(当社調べ)。新規借入の変動金利(最優遇)は、実測した範囲で年0.950%〜年1.750%でした。 金利が上がるほど、頭金で借入額を減らしたときの利息軽減効果は大きくなります。上の試算の年1.750%は、変動金利の上限側からフラット35までの間に入る仮定の水準として置いています。変動金利と固定金利の選び方は住宅ローン金利上昇対策|変動金利かフラット35かFPが試算で詳しく比べています。

頭金がたくさんあるとマイホームの選択肢が広がる

ご自身の収入や家族構成(家計の収支)が同じであれば、頭金がたくさんあると住宅ローンの返済額を少なくできるので、返済可能な範囲で購入できるマイホームの金額が大きくなります。 例えば、毎月返済できる住宅ローンの金額を8万円と設定していた場合、購入できるマイホームの金額に差が出ます。 以下は、毎月の住宅ローン返済額を8万円に設定した場合に、頭金が0円、500万円、1,000万円ごとに買えるマイホームの金額の違いを計算したものです。 住宅ローンの条件は上と同じ金利(年1.750%)で、返済年数は35年で計算しています。
  • 頭金0円の場合:約2,500万円
  • 頭金500万円の場合:約3,000万円
  • 頭金1,000万円の場合:約3,500万円
このように、マイホーム購入予算を単純に計算する場合は、「借りても大丈夫な住宅ローンの金額+準備できる頭金」で計算できます。毎月の住宅ローン返済額を8万円と設定した場合には、借りても大丈夫な住宅ローンの借入額は約2,500万円になります。 その金額に準備できる頭金を足した金額が、マイホームを購入しても良い金額になります。

理由2:支払う住宅ローンの利息が少なくて済む

頭金をたくさん準備して住宅ローンの借入額を減らせば、支払う住宅ローンの利息を減らすことができます。つまり、ムダなお金の支払いを減らして、将来手元に残るお金を多くすることができます。 以下は、3,400万円のマイホームを購入する場合に、頭金を0円、500万円、1,000万円用意した場合で住宅ローンの総返済額がどう変わるかを計算したものです。 住宅ローンの条件は上と同じです。
  • 頭金0円の場合:約4,549万円
  • 頭金500万円の場合:約3,880万円
  • 頭金1,000万円の場合:約3,211万円
頭金を500万円準備した場合は、頭金が0円の時に比べて住宅ローンの利息は約169万円少なくなります。頭金を1,000万円準備した場合は、頭金が0円の時に比べて住宅ローンの利息は約338万円少なくなります。 住宅ローンの利息を支払わなくてよくなる分、将来手元に残るお金は多くなります。 逆に言うと、住宅ローンの借入額が多くなればなるほど支払わなければいけない利息が多くなり、将来残るお金が少なくなるので、「できるだけ頭金をたくさん準備しておきましょう」と言われるわけです。

理由3:住宅ローンの返済期間を短くできるから

3つ目の理由として考えられるのが、住宅ローンの返済期間の短縮です。 頭金をたくさん準備するほど住宅ローンの借入金額を少なくすることができ、結果、毎月の住宅ローン返済額が少なくなるわけですが、もし住宅ローン返済額に余裕がある場合は、返済額を増やすことで住宅ローンの返済期間を短くすることができます。 上で頭金の金額ごとの住宅ローン返済額を計算しました。
  • 頭金0円の場合:108,316円
  • 頭金500万円の場合:92,388円
  • 頭金1,000万円の場合:76,459円
この例で、頭金500万円・1,000万円の場合も頭金0円の場合と同じ水準の返済額(月約10万9,000円前後)にすると、返済期間はどうなるか計算しました。
  • 頭金0円の場合:35年
  • 頭金500万円の場合:約28年
  • 頭金1,000万円の場合:約22年
住宅ローンの返済年数が短くなると、住宅ローンの総返済額も減ります。返済年数が28年・22年になると、35年と比べて総返済額がいくらになるか計算しました。
  • 35年の場合(借入3,400万円):約4,549万円(利息 約1,149万円)
  • 28年の場合(借入2,900万円):約3,670万円(利息 約770万円)
  • 22年の場合(借入2,400万円):約2,893万円(利息 約493万円)
頭金0円で35年かけて返済した場合と、頭金を1,000万円準備して約22年で返済した場合を比べると、支払う利息はおよそ656万円少なくなる計算です。 ここまでの試算を1つの表にまとめると、次のようになります(3,400万円の住宅・年1.750%・元利均等返済の仮定)。
比較の観点頭金0円頭金500万円頭金1,000万円
借入額3,400万円2,900万円2,400万円
毎月返済(35年)108,316円92,388円76,459円
利息の合計(35年)約1,149万円約980万円約811万円
月約10.8万円で返した場合の返済期間35年約28年約22年
表を見ると分かるとおり、頭金は「毎月の返済を軽くする」使い方と「早く返し終える」使い方のどちらにも効きます。どちらを重視するかは、お子さんの教育費がかかる時期や、定年までの年数から考えるとよいでしょう。

では、頭金はたくさんあるほどいいのか?

このように住宅ローンのことだけを考えると、間違いなく頭金をたくさん準備して、住宅ローンの借入額を減らす・返済年数を短くしたほうが有利です。 上でもお伝えしましたが、住宅ローンの借入額を減らしたり返済年数を短くしたりすると、住宅ローンの利息支払いを減らすことができ、その結果、将来手元に残るお金が多くなるためです。 ただし、お金が必要になるのは住宅ローンだけではありませんので、教育費や病気・失業などに備えるある程度の生活予備費は必ず手元に残しておくべきなのは言うまでもありません。また、繰上げ返済はいつでも行えますので、頭金としての金額を増やし過ぎる必要はありません。

頭金なしでマイホームを買ってはいけないのか?

一般的には「頭金なしのマイホーム購入は危険」と言われることがあります。 危険だと言われる理由は、住宅ローンの支払いができなくなるリスクと、利息の支払いが多くなることで将来手元に残るお金が少なくなり、老後生活に影響が出るためです。 とはいえ、現在は頭金なし(いわゆるフルローン)に対応する金融機関も多く、諸費用まで含めて借りられる商品もあります。 ただし、諸費用の体系は金融機関によって違います。保証料が別にかかるタイプもあれば、保証料なしで事務手数料を借入額の一定割合(例:2.20%(税込))で払うタイプもあります。頭金なしで借りるほど諸費用も膨らみやすいので、金利だけでなく諸費用を含めた総額で比べることが大切です。 大切なのは頭金の有無そのものではなく、毎月の返済を無理なく続けられる計画になっているかです。頭金を貯めにくいときに見直したい家計のポイントは、頭金なしでマイホームを買うために見直したい3つの保険でまとめています。

頭金についてよくある質問

Q. 頭金と手付金はどう違うのですか?

A. 手付金は、売買契約を結ぶときに売主へ支払うお金で、最終的には購入代金の一部に充当されます。頭金は「購入価格のうち住宅ローンを使わずに支払う部分」を指す言葉なので、手付金は結果的に頭金の一部になるのが一般的です。手付金は契約時に現金で必要になるため、頭金0円で買う場合でも手付金分の手元資金は準備しておきましょう。

Q. 頭金を多く入れるのと、後から繰上げ返済するのはどちらが得ですか?

A. 利息を減らす効果という意味では、同じ金額なら早く元本を減らすほうが有利なので、頭金として最初に入れるほうがわずかに効果は大きくなります。ただし、一度頭金として支払ったお金は戻せません。手元資金の余裕を優先し、家計が安定してから繰上げ返済で調整する、という順番も十分合理的です。

Q. 頭金が貯まるまで待つべきですか?それとも早く買うべきですか?

A. 一概には言えません。この数年は不動産価格や資材価格の上昇が続き、頭金を貯めている間に住宅価格が上がってしまうケースもあります。一方で金利も上がっているため、「貯めながら待つコスト」と「今買う場合の返済負担」を、家賃や収入見通しと合わせて比べて判断してください。

Q. フラット35では、頭金1割の有無で金利は変わりますか?

A. 変わります。融資率が9割以下か9割超かで金利の区分が分かれ、2026年9月資金受取分の最頻金利(21年以上35年以下)は9割以下が年3.460%、9割超が年3.570%です。物件価格の1割を頭金にできるかは、金利面でも1つの目安になります。

まとめ|頭金は「返せる額」から逆算して決める

頭金とは、マイホームを買うときに住宅ローンの借入額を減らすためのお金です。 一般的に頭金は多ければ多いほどいいと言われていますが、そうとは限りません。欲しい家を買って住宅ローン返済を無理なく続けるために必要な頭金以上は入れずに、手元資金を残しておくという考え方もあります。 また、頭金なしでもマイホームを買うことはできます。問題は、月々の住宅ローン返済が無理なく続けられるかどうかです。 ただし、金利が上がってきた2026年は、頭金で借入額を減らす効果が以前より大きくなっているのも事実です。頭金がなくても住宅ローン返済に問題がないのであれば、悩んでいる間に土地選びやハウスメーカー・工務店選びに時間を使いましょう。頭金をどの程度用意するかは、住宅価格・金利・ご自身の家計の3つのバランスで判断していくことが大切です。 ※本記事の金利は2026年9月時点の情報です。最新の適用金利や商品条件は各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。