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相談内容はこちらです。

 住宅購入の頭金に関して相談させてください。

30歳男性、既婚、0歳と2歳子供あり。
2歳の子供に教育資金で1500万もらっています。

4000万の物件を購入しようか迷っています。
住宅取得等資金贈与の非課税で親から1000万の援助をしてもらい自
分の貯蓄からは1500万までは出すことが可能です。
頭金として最初にいれるのかローン控除がなくなる11年目に1500万
+ローン控除で帰ってきた金額をいれるのがいいのかを迷っていま
す。
月の手取りは30万の生活費に10万使用しています。
ファイナンシャルプランナーに相談したところフルローンをすすめ
られております。

私としては総支払額を抑えたいとおもっているので頭金を入れた場
合と途中でいれる場合のどちらが安くなるのかをおしえてください

他のサイトでは頭金を運用するべきとも載っていましたがそちらも
併せて教えてください。

よろしくお願いします。

頭金として使った方が良いのか?住宅ローン控除終了後に繰上返済した方が良いのか計算

まず、頭金として使った方が良いのか?
住宅ローン控除が終わった後に使った方がいいかの計算です。
住宅ローン控除の額は年収によっても変わりますが、
全額受けられるという前提で計算します。
ー頭金として使う場合
・借入額1,500万円
・住宅ローン金利0.499%(ソニー銀行変動金利
・35年返済
・融資手数料330,000円
・抵当権設定の登録免許税15,000円
この条件だと、手数料等を含む住宅ローンの総支払額が18,180,556円なので
支払う利息や手数料は3,180,556円、
受けられる住宅ローン控除額が1,279,800円となり、
持ち出しは1,900,756円になります。
ー頭金として使わず10年後に繰上返済する場合
・借入額3,000万円
・住宅ローン金利0.499%
・35年返済
・融資手数料648,000円
・抵当権設定の登録免許税30,000円
・繰上返済は返済額軽減型(層で無いと頭金無しの条件と返済年数が変わってしまい、きちんとした比較が出来ないため)
この条件だと、手数料を含めた住宅ローンの総支払額は36,361,348円になります。
住宅ローン控除の総額は2,559,800円です。
10年後に1,500万円と住宅ローン控除の額256万円を合わせた額1,756万円を繰上返済した場合の利息節約効果は3,506,121円です。
持ち出しは利息と手数料6,361,348円-住宅ローン控除額2,559,800円-利息節約効果3,506,121円で、295,427円となります。
まぁ、後者の場合住宅ローン控除で返ってきた税金も繰上返済に充てているので
きちんとした比較にはなっていませんが。

なぜ住宅ローンの総支払額を抑えたいのか?

総支払額を抑えたいということですが、
なぜ総支払額を抑えたいのかを考えたことはありますか?
総支払額を抑えるとどうなるか、
それは、将来自分の手元に残るお金が多くなります。
つまり、総支払額を抑える目的は
将来自分の手元に残るお金を多くすることです。
ということは、住宅ローンの総支払額を抑えることは
将来自分の手元に残るお金を多くするための手段の一つになります。
では、将来自分の手元に残るお金を多くするという目的を達成するために
住宅ローンの総支払額を抑えるという手段が効果的かどうかを考えると
私は決してそう思いません。
私自身もブログで書いているように
低い金利の住宅ローンに頭気のしてお金を回すよりも
住宅ローンよりも高い金利を狙って運用した方が
将来手元にお金がたくさん残る可能性は高いからです。
仮に、頭金として使う予定だった1,500万円を年利1%で35年間運用できたとしましょう。
そうすると、35年間で受け取れる利子は約625万円になります。
支払う住宅ローン利息や手数料が6,361,348円-住宅ローン控除額2,559,800円なので、持ち出しは3,801,548円になります。
しかし、運用で625万円増えているので持ち出しはなく、プラス245万円になります。
住宅ローンの繰上返済や借り入れを減らすために頭金として使うよりも
運用に回した方が得になる可能性が高いことはわかっていただけたと思います。
さらに、住宅ローンの繰上返済や頭金として使うことの
デメリットも紹介します。
まず、団体信用生命保険の保障が減ってしまうことです。
フラット35以外の住宅ローンには団体信用生命保険がついています。
団体信用生命保険とは、借り主が死亡・高度障害になったときに
住宅ローンの残債がなくなるという保険です。
これは住宅ローンの残高に対してかかっている保険なので
残高が少なくなればそれに伴って保障も少なくなります。
その分、他の生命保険で補うことになれば
余計な保険料を払う必要があります。
これに関連した話で、
繰上返済した日や頭金として現金を入れた日やその翌日に
住宅ローンの借り主が死亡したらどうでしょう。
繰上返済してもしなくても、
どのみち住宅ローンはチャラになっていたのですから,
そのお金は全く意味が無かったお金になってしまいます。
また、住宅ローンの繰上返済や頭金として使ってしまうと
それはもう手元に無いお金になってしまいます。
運用に回していれば、運用商品を解約するなどすれば手元にお金が返ってきますが、
繰上返済したお金などを返してもらうことは出来ません。
銀行に「お金が必要なので繰上返済した分返してください。」なんてお願いすると
「それはできませんね。でも、このフリーローンはどうですか?」なんて勧められて
5%や10%の金利がかかるフリーローンを借りて余分なお金を払うことになってしまいます。
これでは何のために繰上返済したのか、頭金を入れたのかわかりませんね。
住宅ローンに限った話ではありませんが、
常にその目的はなにか?その次にある目的は?最終的にどうしたいのか?
最終的にどうなりたいのか?を意識すべきです。
手段にこだわると目的を達成できません。
目的はどれで、それを達成するために一番有利な手段なのかどうか
いつも検証されるといいでしょう。