2017年の総務省調査によると日本における持ち家率は78%です。30代の持ち家率は約5割、2人に1人がマイホーム持ちということです。

しかし、住宅購入資金を自己資金だけで賄えるという人はごくわずか。住宅購入に住宅ローンを利用することは、きわめて常識的な選択です。

そんな高額がからむ住宅ローンなどのトラブルを防ぐために設定された資格が「住宅ローンアドバイザー」。住宅ローンを含めた住宅購入のためのアドバイスを聞くことができます。

ここでは、住宅ローンアドバイザーにどんなことが相談できるのか、相談すべき内容をまとめてみました。

住宅ローンアドバイザーとは住宅ローンの専門家

総務省の2015年の調査では、全国で住宅ローンの負債がある世帯の割合は約40%です。

これは、ローンを支払い終わった世帯は含まれていませんので、「住宅ローンを利用したことがある」という世帯を入れたらこの割合はもっと高くなるでしょう。

このように住宅ローンの需要は非常に高い現状があります。
そのため、各銀行がいろいろなタイプの住宅ローンを提供しています。

住宅ローンの説明会は各銀行で盛んですが、利用者が、自分の状況にぴったりあったプランを選び、それぞれ他行と比較検討するのはなかなか難しいのが実情です。

また、住宅売買の際に発生する住宅ローンの申込みには、不動産会社が取引金融機関に顧客を斡旋するケースが一般化しています。

そのため、利用した不動産会社によって、住宅ローンを組める金融機関が限定されて、顧客が自由に住宅ローンのプランを選ぶ自由が制限されてしまうことがあります。

このような住宅ローン市場での問題点を考慮して導入された資格が、住宅ローンアドバイザーです。

住宅ローンアドバイザーは、債務者となる消費者が無理なく返済出来るように、利用者の立場でアドバイスできる知識と最適な返済プランの提案力を持った住宅ローンの専門家です。

この資格は、国土交通省所管の一般社団法人住宅金融普及協会などの民間団体の養成講座を受講の上、認定試験を合格することで与えられる資格です。

ファイナンシャル・プランナーよりも住宅ローンに特化した知識を持つ点が特徴です。

住宅ローンアドバイザーの資格を持った人は、不動産会社や金融機関に在籍することもあり、その場合、多くが相談料は無料です。

しかし、不動産会社も銀行も、自社が提携する銀行や、自分の銀行で住宅ローンを組んでほしいと思っています。

より客観的なアドバイスを求めたい時、あるいは、まだ購入物件が決まっていないときは、フリーランスの住宅購入アドバイザーに相談することをおすすめします。

その場合、相談料が発生しますが、住宅購入に失敗しないためには必要経費と考えたいですね。

住宅ローンアドバイザーに相談したい5つのこと


それではそんな住宅ローンアドバイザーに対し、具体的にはどのようなことを相談するのが良いのでしょうか?以下で5項目にまとめてみました。

自分は、住宅を購入すべきかどうか

現在の収入、貯蓄、家族状況、これからのライフプランから、そもそもあなたにとって住宅購入が必要なのか、あるいは、可能なのか、ということがわかります。

一生を賃貸物件で過ごす人も増えています。資産を不動産で残す必要があるかどうかも人それぞれです。

また、まだ今は購入の時期ではないかもしれません。購入できるタイミングもアドバイスしてもらえます。

今の収入で、どのくらいの住宅ローンが組めるか

今の収入で、無理なく返済できるローンはいくらくらいなのかを確認しましょう。

返済パターンによっては借り入れ可能総額にかなり幅が出てきます。変動金利、固定金利でも、金融機関によって様々なプランを提供しています。専門家の目で今後の市場の変化も見据えてアドバイスをしてもらえるでしょう。

このプロセスが重要なのは、「いくら借りたい」から出発しているのではなく、「いくらなら無理なく返済できるか」から出発していることです。

住宅購入のよくある失敗「ローン返済が難しくなる」という状況は何としても避けなければならない失敗ですが、このプロセスを行うことでよりリスクを減らせるようになります。

頭金(自己資金)とローンの比率で購入可能な住宅の価格

ローン返済額をそのままにしても、頭金(自己資金)を増やせば購入可能な住宅の価格は上がります。

しかし、貯蓄をすべて頭金に充ててしまうと今後の生活が心配です。貯蓄をどのくらい頭金に充てるべきなのか、これからローンを組んで貯蓄は可能なのか、その点も相談しましょう。

両親などからの援助をお願いできるならば、その金額についてもアドバイスがもらえるでしょう。

住宅購入時、購入後の諸経費についての相談

中古住宅の場合、リフォームやリノベーション費用が必要になる場合がほとんどです。

これを住宅ローンに含めるのが可能な場合も、そうでない場合もあります。(不動産会社提携の工務店を利用する、売り主と交渉して売り主負担として購入価格に加算するなどの方法があります)

新築住宅の場合、消費税が加算されます。中古住宅の場合も別途住宅取得税が都道府県から徴収されます。徴収された税金や、新築住宅の購入費が確定申告で控除される場合もあります。

購入住宅の築年や、立地によってケースバイケースですが、自分で手続きしなければならないので予備知識があると安心です。

また、土地や住宅には固定資産税が毎年徴収されます。相続のときには相続税が発生します。

家のメンテナンスのための諸経費も案外忘れがちな諸経費です。

マンションの場合は管理費に修繕積立金が含まれますが、一戸建ての場合は自分でメンテナンスの計画を作り、経費を積み立てる必要があります。数年ごとの外壁の塗り替え、屋根の修理など、一回ごとに数十万から百万単位でお金がかかります。

このような住宅の価格以外の諸経費についても、住宅ローンアドバイザーに聞いておくことをオススメします。

自分の住宅購入にかかわるお金の動きのフローチャート化

以上の相談をし、フローチャート等を作成すると、今現在から将来までの、住宅購入に関わるお金の流れが可視化されます。

金融機関などのパンフレットに載っている返済例は、あなたのものではありませんが、住宅ローンアドバイザーと一緒にフローチャート等を作成すれば、「あなたの」お金の動きを全体的に見渡すことができるでしょう。

長期的な視点でローンや諸経費の増減を把握することができれば、より安心して住宅購入に踏み切ることができますね。

住宅ローンアドバイザーに会いに行く前に準備しておきたいもの

住宅ローンアドバイザーに有効なアドバイスを貰うために、あらかじめ準備しておきたいものを紹介します。

年収のわかる書類等

住宅ローンを払う人だけでなく、家計を担う人全員の収入を把握できるようにしておきましょう。

正式な証明書である必要はありませんが、入手できる場合には源泉徴収票などを用意しておくと、より確実な金額の計算ができますよ。

家計簿

家計簿をつけていない場合は、およその一ヶ月の支出がわかるようにしておきます。

さらに、毎月ではないが、一年ごとにかかる経費、各種保険料、自動車税など、また、数年おきにかかる車検の費用なども、分かる範囲でメモしておきましょう。

自分たちのライフプラン

実はこれが一番大切です。

住宅を購入するプロセスは、ライフプランがなければ始まらないと言ってもいいでしょう。住宅ローンアドバイザーは、あなたのライフプランなしには、アドバイスができないのです。

ライフプランはあなたとあなたの家族の人生のコンパスのようなものです。それに従ってお金の動きも大きく変わるのです。

もちろん、予定通りに人生は動くわけではありませんが、今の時点で予想できること、希望していることについては、なるべく具体的に考えてみることをおすすめします。

子どもは何人ほしいか、子どもの教育についての具体的な希望。たとえば、幼稚園にするか、保育園にするか。中学校からは私立に行かせたい、大学進学させるか。場合によっては、結婚式に親がどのくらい援助するか、などです。

まだ先の話だと思っていても、予想できることは考えておいても無駄にはなりません。

それに伴って、子どもが生まれたら、夫婦の働き方を変更するかどうか、親の介護についてはどう考えているか、等、これから生きていく上で直面する具体的な問題について、この機会にじっくり考えてみましょう。

また、どんな環境で生活したいか、余暇はどのように過ごしたいかについても考えましょう。これらは、人生観にもかかわる問題で、個人で振り返るだけでなく、夫婦でよく話し合ったほうが良いでしょう。

はじめは、こんなふうに暮らしたい、と漠然と考えることから始めても良いのです。

たとえば、休日をどう過ごしたいか。子どもをどんな環境で育てたいか。そして、住んでみたい街はあるか、どこの鉄道沿線ならよいか、と、少しずつ具体的な条件を挙げていきます。

何項目でも良いのでリストアップしたら、優先順位を付けます。特に、「これだけは譲れない」という項目をいくつかマークしておくことが、後々住宅選びの時に役に立ちます。

失敗事例でわかる!住宅ローンアドバイザーの重要性

みなさんは大型家電や車など、値の張る買い物をする時はどうしていますか?
価格だけでなく、商品知識、買った人のレビューなど参考にして、自分に最適な商品を検討しますよね?

ところが、住宅購入に関しては、ほとんど知識のないまま、なんとなく業者の言うなりに話を進めてしまう人も多いのです。
ここではそんな典型的なパターンを参考にしながら、事前に住宅ローンアドバイザーへ相談することの大切さを解説したいと思います。

4歳の長女、パート勤務の妻がいるAさん(35)の場合

Aさんは35歳、32歳のパート勤務の奥さん、4歳の長女の3人で賃貸の2LDKマンションに暮らしています。子どもはもう一人欲しいと思っています。隣県に住む両親もまだ元気だし、現在のところは、通勤に便利なこの街に満足しています。

ある日帰宅すると、奥さんが、「ママ友のBさん一家が引っ越す」という話をはじめました。転勤ではなく、郊外の住宅地に新築一戸建てを購入したというのです。

そういえば、同僚のCさんがマンションを購入したという噂を先日聞いたばかりでした。「俺もそんな年になったのか」と漠然とAさんは思いました。

翌日土曜日の午後、家族3人で商店街を歩いていたら、不動産会社の社員がチラシを配っています。普段ならスルーしてしまうAさんでしたが、さすがに今日は受け取ってしまいました。

「ファミリー向け中古物件!駅チカ」の文字が目に飛び込んできました。「今なら店内で詳しいご説明ができますよ。話を聞いていただくだけでも結構ですよ」という社員の言葉に背を押されて3人は店内に入ります。

不動産会社で話を聞くのは悪いことではありません。飛び込みで入った店でたまたま良い物件を紹介してもらえた、とか、広告の物件が気に入って、即決めたという住宅購入のケースもないわけではありませんから。

問題なのは、Aさんが、住宅購入について、ほとんど知識がなかったことです。

大事な人生設計についても、これまで奥さんと深くは話し合ってきませんでした。また、今の自分の収入で、いったいどのくらいの価格で住宅購入が可能なのかも漠然としか考えていません。

そんな状況下で、なんとなく業者おすすめの物件を業者提携の銀行住宅ローンを組んで購入してしまったAさん。
数年後どのようになったのでしょうか。

  • 経済状況が変わり(子どもの学費が予想外に高額だった)ローン返済が厳しくなった。
  • 子供が増えて、購入物件の間取りが使いづらくなった。
  • あとから、もっと良い物件があることに気がついた。

住宅ローンを組んでのマイホーム購入でよくある失敗のパターンに陥ってしまいました…。

住宅購入の知識の学び方

上記のAさんの場合、一番の問題はしっかりとした知識に基づいて住宅ローンを組まなかったことです。
住宅購入にあたり、知識を学ぶ方法としては以下の項目が挙げられます。

  1. ネットや書籍で調べて学ぶ
  2. 銀行や不動産の開催するセミナーに参加する
  3. 友人等、最近住宅購入した人に話を聞く。
  4. 専門家に個別に相談してみる

この中で最も自分のかける時間を少なく、かつ専門的・客観的な意見を聞くことができるのが(4)専門家・住宅ローンアドバイザーへの相談なのです。

住宅ローンアドバイザーは、住宅購入時に住宅ローンを組む人向けに必要な情報を公正な姿勢で的確にアドバイスできるエキスパートです。

住宅購入を検討している方は、是非住宅ローンアドバイザーに会いに行ってみましょう。

住宅購入はほとんどの人が初心者、ガイドを得て後悔のないように

住宅購入者の8割は新規購入者という調査もあります。
つまり、ほとんどの人が購入初心者なのです。

住宅購入の知識は浅くても、住宅ローンアドバイザーに相談すると、住宅購入をめぐるお金の動きが可視化されるとともに、自分自身と家族のライフプランをはっきりさせることができます。

最適な住まい探しという旅に、地図とコンパスと、有力なガイドを得たようなものです。

住宅購入は一生に何度もない大イベントですから、自信を持って、後悔しない選択をしたいものです。

そのために、住宅ローンアドバイザーの助言をぜひ、参考にしてみてくださいね。